トヨタ役員人事に流れる噂/生産技術部門の解体が目標か
トヨタ(7203)の役員人事が一部で話題になっている。ネットメディアや月刊誌『選択』、『週刊現代』が特集を組み、『週間東洋経済』のトヨタ特集でも若干触れられている。トヨタに何が生じているのか。
この記事のもくじ
日野自動車への転出は懲罰人事か
今回の人事のポイントは何かというと、トヨタの生産技術部門のトップだった牟田弘文専務役員が、日野自動車(7205)の副社長に転出すること。これが懲罰人事なのだとうわさされている。トヨタ専務が日野の副社長なら栄転のようにも見える。しかし、同時にトヨタから下義生常務役員が日野の社長に就任する人事も発表された。つまり牟田専務は今後、格下の常務役員だった人物の下で副社長を務めることになる。そんなことから、懲罰人事だと囁(ささや)かれているのだ。
牟田専務が〝追放〟された理由について前出の各誌は、豊田章男社長に反発したことが理由だと解説している。2015年8月の上海事故への対応と、昨年行ったカンパニー制に対して強く反発したのだという。これが豊田社長の逆鱗(げきりん)に触れ、更迭とあいなったのだと。
「こうした豊田社長批判の情報は、トヨタの元幹部から流れている。系列部品メーカーに天下った生産技術畑の役員と伝えられている。その役員から直接、もしくは間接的に今回の人事の背景、つまり豊田社長の激怒させた点や、その人事を整えたのが総務・人事本部長であるとの情報がもたらされている。実はこれ、豊田社長と生産技術畑とのバトルと見るのが順当なのだ」(ベテラン経済記者)。
トヨタは昨年から、牟田専務が担当してきた生産技術・製造本部の解体に取り掛かっていた。昨年の組織改正では、カンパニー制の導入に伴い、生産技術・製造本部は各カンパニーに分割吸収された。生産技術の統括機能は生産管理本部が担い、牟田専務は本部長に就任。ところが、今年の組織改正で生産管理本部は生産企画本部に再編。つまり、かつてからの生産技術部門が完全に解体されたわけである。
この組織改正には、トヨタ会長を務めた豊田英二氏の存在が関わっていると見る向きもある。『選択』記事に詳しいが、生産技術部門は英二氏が仕切っていた部門だったという。そのため開発部門も生産技術の方針に逆らいづらく、トヨタの中では社長よりも影響力を持っていたとも言われる。そうした構図の解消を今回、豊田会長は図ろうとしたのだという。いわば、豊田英二氏の影響力からの脱却というわけだ。ちなみに3月末に放映された、トヨタをモデルにしたドラマ「リーダーズⅡ」に、豊田英二氏は登場していない。
おわりに
5月10日に決算発表を控えるトヨタ。米国トランプ政権の誕生以降、株価パフォーマンスは芳しくない。トヨタの6000円近辺の株価はPER10倍、PBR1.05倍と大型株では割安な水準。内部でのゴタゴタも低迷する株価に影響している可能性がある。
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