脱資源で三菱商事vs三井物産
大手商社の業績が堅調。第3四半期決算で、三菱商事(8058)や三井物産(8031)、丸紅(8002)、豊田通商(8015)の4社が上方修正した。伊藤忠(8001)は予想据え置きだが、過去最高益を見込んでいる。大手商社に今、何が起きているのか。
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BtoBからBtoCへ舵を切る
前期決算では三菱商事と三井物産が初の赤字決算を出したことがニュースになったが、両社ともV字回復を果たした形だ。ただその理由は、鉄鉱石や原料炭など資源価格の上昇。そもそも前期の赤字は、銅価格の下落で両社が出資していたチリの銅事業を減損処理しなくてはならなかったため。住友商事(8053)は今期決算でもチリの銅事業で減損を出し、この問題をまだ引きずっている。
結局、商社の決算は資源価格次第ということなのか。
「資源で上下する体質は変わっていない。しかし、三菱商事、三井物産とも赤字決算を目の当たりにし、脱資源を宣言した。三菱商事は、資源は『残高維持』、つまり資源ビジネスを増やさない方針。三井物産も『投資規律の徹底』を社長自らが公言し、資源傾倒からの転換を進めようとしている。その通りに行くか否かが、今後の両社の行方を決める」(アナリスト)。
両社が資源に代わって力を入れるのは、生活関連。BtoBからBtoCへ、つまり消費者向けの商品。三菱商事がローソン(2651)を子会社にしたのも、生活関連の販路拡大を念頭に置いていることは言うまでもない。
「三井物産はセブンイレブン(セブン&アイHD、3382)があるが、こちらはどこまで言う通りになるかは定かではないが、鈴木敏文氏が去ったことで、力関係に何らかの変化が出るかもしれない」(流通担当記者)。
そしてもう一つ両社が力を入れるのは、中小企業分野だという。三菱商事は中期計画で、成長分野を扱う会社に投資するだけでなく、「事業の中に入り、三菱商事の「経営力」をもって主体的に価値を生み出し、成長していく」としている。三井物産も、パートナーとの「価値あるビジネスの創造」を唱えている。
おわりに
商社のビジネスは商品を売買仲介するトレードから、資源などへの投資に変わり、さらに今後は、投資にとどまらず、投資先の経営のかじ取りを自らが行う意思を示している。「この流れが進めば、下町ロケットに出てくるような町工場に商社がどんどん介入していくことになる。良しにつけ悪しきにつけ、現場ではいろんなドラマが展開されるだろう」(前出アナリスト)。
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