喫煙規制に続いて酒の安売り規制/酒造メーカーが「規制」を利用?!
6月から酒の安売り規制が始まった。ディスカウンターなどによる過度な安売りを禁じるもので、議員立法で昨年決まったもの。政治力のある町の酒屋を守るためだと解説されているが、実は世界的な酒をめぐるせめぎあいの中で起きている事象でもあることは、意外と知られていない。
酒造メーカーにプラス、種類ディスカウントにマイナス
事は、まず2005年にさかのぼる。世界保健機関(WHO)は総会で、アルコール類の有害な摂取を問題視し、加盟国に対策を求め、2010年には「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を採択した。これを受けて日本国内でも反アルコール団体がロビー活動を強め、2013年に議員立法で「アルコール健康障害対策基本法案」が国会に提出され成立している。
その一方で、世界の酒造メーカーがWHOや国連と協議を始める。世界の大手酒造メーカーで構成されるGAPGは2012年にWHOと協議の上、①未成年の飲酒の低減、②マーケティング自主基準の強化、③消費者への情報提供、④飲酒運転の低減、⑤小売店との連携、というコミットメントを発表した。これが6月から始まった安売り規制の大本となっているのだ。
「WHOは、たばこ規制ではたばこメーカーの根絶を目指しているが、アルコール規制ではそうではない。酒造メーカー側が、飲みすぎ規制をテーブルに載せたのが功を奏した。酒造メーカーにとっては、飲食店や小売店での安売り抑制という課題があった。飲みすぎを規制することで、安売りに歯止めをかけたい。この点で酒造メーカーとWHOの利害が一致したのだ」(反アルコール団体幹部)。
例えば今、居酒屋では飲み放題コースが定着しているが、これは卸価格の引き下げ圧力になっている。飲み放題を法制度で禁ずることで、価格の安定化を図り、一方で、利幅の高い高級酒の市場を広げる。これが酒造メーカーの戦略なのだという。
よってこの流れは、株式市場的に見ると、キリンHD(2503)などビールメーカーや宝HD(2531)にはプラス。ワタミ(7522)や鳥貴族(3193)など大衆居酒屋は戦略変更が強いられるかもしれない。やまや(9994)のような酒類ディスカウントには逆風だ。
おわりに
そのほか、「海外進出強化を掲げる動向にあって、小山田頭取は英語が苦手で、米金融筋とうまく行かなかったため、やめざるを得なかったらしい」(前出・ジャーナリスト)との風評も流れている。まさかとは思うが…。いずれにせよ、メガバンクの人事だけに様々な「神の手」「天の声」があるのだろう。株価は少なくとも、さほど材料視はしなかったようだ。
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