金融業界の非常時対応BCP(事業継続計画)/真剣に考える必要がある電磁パルス(EMP)攻撃
銀行業界は9月1日、防災訓練を実施した。全国銀行協会と金融庁、日銀らが共同で行う恒例行事だが、3日前に北朝鮮のミサイル発射と、それに伴うJアラート(全国瞬時警報システム)の作動があったこともあり、例年より緊張感が高まっていたとも伝えられる。
BCP(事業継続計画)体制で見えた関東と関西での補完関係
訓練は首都直下地震などを想定したもので、店舗や行員の安全確保とともに、金融システムの維持、いわゆるBCP(事業継続計画)体制のチェックを行うというもの。銀行、金融庁、日銀の間で緊急時連絡先や代替連絡先を通じて現状確認を行うなどの実演訓練を行った。
「責任者の私が頭取の隣にいて、各部署の指揮をとる訓練をしましたが、正直、早朝に地震が起き、交通機関が止まったら、東京支店に行くまで4時間掛かる。私が現場で指揮を執れる状態ではないですよ」(地銀危機管理責任者)。
銀行の危機管理体制は、まだまだ不十分だということのようだが、だとすると、北朝鮮のミサイルが首都圏に放たれれば、首都機能だけではなく、日本全国の金融システムも崩壊してしまうのだろうか。
もちろん、そんなうかつなわけではない。システムのバックアップ体制などの強化は当然、進めている。例えば最近では、セブン銀行(8410)は8月、日本ユニシス(8056)と野村総合研究所(4307)と共同で、勘定系システムに「東阪交互運用方式」を導入することを決めた。
これまでは本番機を東京のデータセンターに置き、バックアップ機を大阪に置いていたという。これを、双方を交互に本番機としてリスク対応の強化を図るのだという。三井住友銀行(8316三井住友フィナンシャルグループ)も既に、昨年9月、NEC(6701)の支援を受け、東西の相互バックアップ環境を構築したと発表している。
こうしたバックアップ体制があれば、仮にミサイル攻撃を受けても銀行の金融システムは維持できるのだろう。
ところが、その見方は甘いと自衛隊OBは言う。
「北朝鮮の朝鮮中央通信は9月3日、開発した水爆を用いて『電磁パルス(EMP)攻撃』も可能になったと報じた。その通りなら、日本全土のシステムが麻痺する」
EMP攻撃は高高度で核爆発を起こし、そこで発する電磁気で地上の電子機器を麻痺させる攻撃。その具体的効果はまだ不透明だが、場合によっては電気製品が壊れるという。今後、銀行のシステム構築でもEMPを踏まえた対策が必要になるとも言われる。
おわりに
株式市場では、技研興業(9764)を中心に電磁波遮断の技術を持つ企業が防衛関連の一角として人気化し始めている。当初は思惑のみの非現実的な材料との見方が主流だったが、意外とサーバールームを守るなど業績につながる動きが出てくるかもしれない。
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