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東芝に接近、デンソーの真意/自動運転技術開発での人手不足が背景か

株の教科書.com編集部
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東芝(6502)の株価は2月17日に178円安値をたたいたのち、直近では278円まで出直っていた。ところが、ここにきて再び不透明感が漂い、株価は調整局面に入っている。

相次ぐデンソーの提携劇

東芝に接近、デンソーの真意/自動運転技術開発での人手不足が背景か

東芝(6502)の企業としての存続に関する問題がこじれている。東芝にとって「虎の子」である半導体事業の売却に米ウエスタンデジタルが異議を唱えたことで、売却自体が当面凍結となる可能性も出てきている。東芝は債務超過となっており、売却の遅れで資金調達が滞ると今後、上場廃止も含めて経営に大きな影響が及ぶことになる。

そうしたなか、デンソー(6902)が4月28日に東芝と共同でリリースを公表した。「IOTを活用したモノづくり、高度運転支援・自動運転などの分野で協業」するという。デンソーと東芝は、昨年10月に次世代画像認識システム向けの人工知能(AI)を共同開発すると発表している。これも自動運転の実現を見据えたものだ。

東芝は社会インフラ、エネルギー、電子デバイス、情報システムの4部門を分社化する。理由は、財務悪化で発電設備やビル設備など特定建設業の受注を得られないからだという。「それだけでなく、最悪の事態を念頭に、東芝の切り売りによる生き残りも意識した措置だとも見られている。また、政府は東芝の技術が海外に流出することを懸念しており、事業を分割することで、流出してはならない技術を守ろうという意図も働いているのではないか」(経済ジャーナリスト)と臆測されている。

デンソーも同様に、東芝が外国メーカーに売却されれば、共同開発してきた技術が海外に取られてしまう。それを防衛する意志を、あえてリリースを出すことで示したのではないか、とも推測されているのだ。

トヨタ(7203)がスズキ(7269)やマツダ(7261)と提携を広げているように、デンソーもここへきて提携戦略を強めている。昨年7月にはNTTデータMSE(NTTデータ、9613)に資本参加し、同11月にはイマジネーションテクノロジー社と中央演算処理装置(CPU)に関する共同研究を始め、12月にはNEC(6701)とやはり自動運転に関する協業を発表。今年4月には富士通テン(富士通、6702)の子会社化、イビデン(4062)への出資も発表している。実に、矢継ぎ早の対応だ。

「デンソーは自動運転の技術開発に注力するため、『ADAS推進部』を立ち上げた。今、デンソーのホームページを閲覧すると、同推進部が技術者の中途採用を大量に行っている。それだけ自動運転事業の人手、人材が足りないのだろう。だから他社の力を借りざるを得ない。それこそ、手に入れられるなら東芝の技術も買いたいのではないか」(自動車担当記者)といった臆測まで飛び出している。

おわりに

3月の年初来高値5323円に対して現在4700円台に一服しているデンソーの株価。PER14倍、PBR1.1倍、配当利回り2・5%と株価指標的には決して高くないのだが、市場の人気は決して高くない。個人投資家にとってはやや買いにくい株価水準。機関投資家にとっては準優良株的な見方をされている。自動運転時代を見据えてデンソーが脱皮できるかの場面にあるのかもしれない。

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