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【新・相場道五十三次 第2回】なぜ株式投資をするのか?投資戦略・投資戦術を考える

【新・相場道五十三次 第2回】なぜ株式投資をするのか?投資戦略・投資戦術を考える

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廣重勝彦
廣重勝彦

「あなたは、なぜ投資をするのですか?」・・・投資をはじめるときに、まずこの問い(投資の動機はなにか?)について考えてください。というのも、その答えが、あなたの投資戦略・投資戦術を決めるからです。ここでは、典型的な三つのタイプで考えてみます。

投資をはじめる3つのタイプ

  • タイプA:退職金の一部を活用した株式投資で、旅行資金などを稼ぎたい。
  • タイプB:将来に備えて、株式投資で資産形成をしたい。
  • タイプC:積極的な投資をして、大きな財産を築きたい、あるいは投資で生計を立てたい。

Aさんは、株式でコツコツとお小遣いを稼ぎたいということでしょう。そのために熱心に勉強して投資の知識がつけば、少し積極的に投資をして、海外旅行に行けるくらいの利益も得たいでしょうね。Bさんは、家計のやりくりは大変だけれども、このままでは将来が不安。ですので、いまのうちから老後に備えて、何かしなければならないと真剣に考えている人です。そして、Cさんは、必死に投資の勉強をして、試行錯誤しながら投資の必勝法を見つけようとされているのではないでしょうか。

もし私に、Aさん、Bさん、Cさんのような友人がいて、その方から、「どうしたらよいかな?」という質問をされたら、きっと次のように返答します。

Aさんに対しては、リスクは大きく取らないでほしいと伝えるでしょう。ここでの「リスク」は、損失の危険性という意味です。大切な退職金を大きく失わない範囲で投資をしてくださいと言います。Aさんの場合、退職金をうまく活用して老後の生活を充実することが大事ですから、冒険はできません。

Bさんに対しては、長期投資を前提に、投資資金を少しずつでもよいから積み上げていきましょうと提案します。ただ、Bさんの場合、ある程度リスクを取っても構いません。生活費以外に積み上げているお金ですから、その減少は今の生活を脅かすものではないからです。一方で、将来のための資産形成は預貯金だけでは難しいでしょう。リスクを前向きに取ることが必要になります。

Cさんに対しては、いまはじめようとしている投資は、企業経営と同じですよと伝えます。できれば、ベンチャー企業をスタートさせるくらいの気構えで取り組んでくださいということです。

投資スタイルを明確にする

このように、「なぜ投資をするのか?」という質問を考えることによって、あなたの投資スタイルが明確になり、それにふさわしい投資の戦略が立てられます。例えば、リスクを抑えた投資ならば、日本内外のトップクラスの企業への投資や、株価指数(インデックス)に連動する投資信託あるいは上場投資信託(ETF)を活用する投資が考えられます。リスクを前向きに取るのであれば、規模は小さくても成長力のある企業に投資する、あるいは成長が期待される国への投資も考えられますが、その時には、為替リスクを取ることにもなりま。

いずれにしても、自分の投資の目的にあった投資スタイル、そして投資戦略・投資戦術を選ぶことが大事です。戦略・戦術は、そもそもは軍事用語です。戦略は、軍組織全体を運用する方法で、大局的・長期的な視点で策定される計画です。一方、戦術は、戦地での部隊や兵士の動かし方など、具体的な方策です。

時間が後押ししてくれる

Bさんについて言えば、長期投資が基本戦略となり、複利効果を最大限に生かすことが重要です。複利の効果は、平均的な収益率は高くなくとも時間が後押しすることで資産の拡大をもたらしてくれるのです。

また、Bさんの場合、先述の通りリスクを前向きに取ることができるので、例えば逆張りと言われる戦術も使えます。これは、大きく下落した株式や、大きく通貨が下落した国の株式を買うという戦術です。大きく下落している株は、一見リスクは高いのですが、逆に大きな反発(上昇)につながる可能性があります。

例えば、日経平均株価を見ると、1996年6月26日の22,666円をピークに下落を続け、約7年後の2003年4月28日に7,607円でいったん底入れしたあとに再度上昇に転じますが、2007年7月9日の18,261円が天井になりました。1年半を超える下落ののち、2008年10月24日には再び8000円を割り込み、2003年の安値7607円に迫りました。いわゆるリーマンショックの時期です。この時期、世界的不況の様相が濃くなり、多くの人が、投資することよりも、投資から逃れることを優先する状況でした。

日経平均株価(月足)

しかし、現在の株価は19000円を越えています。仮に2008年10月から投資していれば、株価の値上がりだけで投資資金は2.5倍になっています。実際には、これに年間2%程度の配当が加わるため、投資を続けていれば更なる含み益が期待できます。

前向きなリスクをとる

もちろん、リーマンショックの時には投資することなど考えられなかったはずだから、現実にこのような利益は得られないとの意見もあるでしょう。しかし、Bさんのように長期投資でリスクを前向きにとるということを決めていれば不可能ではありません。

リーマンショックのように、リスクが高い時にも継続できる投資戦略を使えばよいのです。きちんとした戦略があり、それを実現するための戦術が決まっていれば、それを粛々と実行するだけです。ピンチをチャンスにすることすら期待できます。

逆に、戦略が決まっていなければ、相場に合わせて戦術をコロコロと変えていくことになりかねません。これでは利益を上げることができないばかりか、損失が続く懸念があります。

投資資金を適切に配分する

最後に、Cさんに対しては戦略の中心は資金管理であると伝えます。Cさんの場合、資金を継続的に増やすことが目的であり、一つの事業とみなせます。したがって、現在の資金量はいくらか、資金をどこにどれだけ使うか、実際の資金の出入り、投資した資金に対するリスクとリターン、そして資金の評価額などをしっかりと把握しながら、適切に配分を調整していくことが必要です。

投資の徒然:優秀な戦術は最高の戦略にはならない

投資においても、まず、目的を達成するための全体像(戦略)を描いてから、それに合った手段(戦術)を選ぶことが大事です。

この点については、マネジメントの始祖ドラッガー氏の言葉が参考になります。同氏は、企業経営に関して「部分最適の集合体は全体最適にはならない」と指摘しました。これを投資に置き換えると、優秀な投資戦術を集めてきても、最高の投資戦略にはならないということです。

実際に、もうかる投資のテクニック(戦術)をあれこれ実践していくうちに、本来の目的から外れた投資になっている人は少なくありません。コツコツと稼ごうと思っていた人が、いつの間にか大きなリスクを取っているケースです。あるいは、資産を大きく増やすことが最終的な目的であるのに、目先の売買に一喜一憂している人もいます。このようなちぐはぐな状態を避けるためには、投資のグランドデザインを描いて、常にその視点から、投資戦術を選んでいくことが重要になります。

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