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オシレーターと騰落レシオを考える

オシレーターと騰落レシオを考える

前回まで、テクニカル分析に関して、トレンド分析、移動平均線、パターン分析などを見てきました。今回は少し視点を変えて、オシレーターについて考えます。

オシレーターとモメンタム

これまで説明してきたテクニカル分析は、基本的には、株価のトレンド分析でした。相場が上昇トレンドにあるのか、下落トレンドにあるのか、あるいはもちあい(横ばい)になっているのかということを、どのように見極めるかについて検討してきました。

今回は、このような株価の方向ではなく、その動きにどれほどの勢いがあるのかを調べる方法を考えます。

株価が上昇トレンドにあるとしても、勢いよく上昇しているときと、勢いが弱くなっている時では、将来的な株価の動きは異なってきます。言い換えれば、株価が右肩上がりに上昇していることを受けて、上昇トレンドラインを引くことができるとしても、その上昇の勢いによっては、上昇トレンドが維持できなくなることもあります。

そこで、この相場の方向だけでなく、その勢いを計ることができれば、次の相場の展開が推測できるのではないかという発想に行きつきます。それを具体化したものが、オシレーターです。相場の勢いのことモメンタムと言いますが、オシレーターは市場のモメンタムを示す指標です。

実は、このオシレーターは1世紀前から研究されてきました。いまでは、さまざまなタイプのオシレーターがあります。ただし、基本的な発想は同じで、相場のモメンタムが増加しているのか、ピークアウトしたのか、あるいは減少しているのかを数値で示すものです。

例えば、上昇トレンドの中でオシレーターがモメンタム(相場の勢い)の減少を示したら、上昇トレンドが一服するか、あるいは終わろうとしている可能性があるとの見方ができます。一方、下落トレンドの中でオシレーターがモメンタムの減少を示したら、モメンタムが弱まったとして、底値が近いという見方もできます。

このようなオシレーターには、ストキャスティックス、RSIやMACDなどがあります。これらについては改めてご説明します。今回は、日本の株式市場で、もっともポピュラーなオシレーターの一つである、「騰落レシオ」を考えます。

騰落レシオとは

騰落レシオは、市場の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率です。これにより、市場の過熱感、すなわち相場が買われすぎではないか、あるいは売られすぎではないかを確認しようとするものです。

計算方法は次の通りです。

25日騰落レシオ(%)=過去25日間の値上がり銘柄数の合計/過去25日間の値下がり銘柄数の合計×100

これは、25日騰落レシオと言われます。一般に騰落レシオといえば、東証1部上場銘柄の25日間のデータが使われます。日本経済新聞の「マーケット総合1」の「市場体温計」という欄に、日々の騰落レシオが掲載されています。25日は、土曜日も証券取引所が開いていた時代の名残でしょうが、ほぼ1カ月の取引日数を示します。

なお、より短い時間帯の相場状況をとらえようとするケースでは、過去5日間や6日間のデータを使った騰落レシオもあります。これは、1週間のオシレーターと言えます。

騰落レシオの基本的な解釈方法は、数字の大きさに注目します。100%は、値上がり銘柄数の合計と値下がり銘柄数の合計が同じということですから、相場は中立的な状態で、買われ過ぎでもないし、売られ過ぎでもないということです。

次に、120%と70%という数字が重要とみられています。騰落レシオが120%以上ならば、相場は過熱気味(買われ過ぎ)と判断されます。逆に70%以下ならば、売られ過ぎと判断されます。

相場の大勢を見る

実際の相場で確認してみます。

(図1)騰落レシオと日経平均株価

図1は、昨年11月以降の25日騰落レシオと日経平均株価(日足)を示しています。この中で、①と③では騰落レシオが160を超えたところでピーク(天井)を付けています。①は165.6(16年12月15日)、また③は164.6(17年5月24日)でした。逆に、騰落レシオが70を下回り、68.1(17年4月17日)をつけたところ(図1の②)で騰落レシオはボトム(底)を入れました。

まず、①を見ると、それ以前の株価は急速な上昇トレンドにありました。いわゆるトランプラリーです。しかし、騰落レシオが①でピークアウトしたあたりで、株価は横ばいになりました。上昇力がいったん弱まったことが見て取れます。

次に、③を見ると、ここでも昨年4月下旬から、株価の急上昇が騰落レシオの上昇と連動していました。その後、騰落レシオが160を超えたところでピークアウトすると、株価は再び横ばいになりました。

騰落レシオは①でも③でも、ピークを付けた後は急速に低下します。しかし、株価は横ばいにはなるものの、それまでのトレンドが変わったと判断できるほどは下落していません。

一方、②では、騰落レシオは、70を割り込んだところから、反発に転じました(68.1、17年4月17日)。日経平均株価が取引時間(ザラバ)での底値を付けたのも4月17日(18224円)でしたから、騰落レシオの底入れと同じ日です。その後は株価の上昇と同様に、騰落レシオも大きく上昇していきました。

これを見ると、騰落レシオというオシレーターは、相場のモメンタムを示していると言えます。通常は騰落レシオが120に届けば、相場の過熱を示すと解釈されるにもかかわらず、①や③では160を超えました。これは、相場の上昇基調が相当強いことを示しています。

逆に騰落レシオは売られ過ぎを示す70を下回ると、すぐに反発に転じました。これらをトータルで考えると、相場の長期トレンドは上向きにあると言えそうです。上昇モメンタムは継続し、下落のモメンタムはある程度行けば弱まるからです。この意味では、相場の大勢を判断するためには、騰落レシオの観察が役に立ちます。

しかし、騰落レシオを売買シグナルとして使うのは、現実には難しい面が多いと言えます。例えば、騰落レシオの一般的な見方である「120%以上は相場の過熱」という公式にしたがって取引をすれば、図1の例では、株価がピークを付けるはるか手前で株式を売却してしまうことになったからです。

騰落レシオの流れに注目

(図2)騰落レシオと日経平均株価

騰落レシオと日経平均株価の関係について、もう少しさかのぼってみます。図2は、昨年1月から11月までの騰落レシオと日経平均株価の動きを示しています。折れ線が騰落レシオ(25日)で、点線が日経平均株価(日足)、また太線の横棒の上の方は騰落レシオが120のレベル、また下の横棒は70の水準です。

まず、売られ過ぎを示す70割れの水準を見ると、1月、2月と6月に70を割り込んだ場面がありました。株価は、2月12日(終値14952円)と6月24日(14952円)で底値を入れています。これだけだと、騰落レシオが70を割れると、株価が底入れしているようにも見えます。

しかし、昨年1月のケースでは騰落レシオが70を割り込んだのは1月7日でした。この時の日経平均株価は17767円でした。騰落レシオが底入れしたのは1月21日(騰落レシオ53.8)でしたが、この日の株価は16017円でした。ところが株価はその後も下落しており、結局、底入れしたのは2月12日で、株価は14952円でした。

このように、騰落レシオの70割れが株価の底入れのサインとは言えません。また、騰落レシオが底入れしたことも、株価の底値を示すものではありません。ただ、この自分の下落モメンタムが相当に強かったことは読み取れます

一方、騰落レシオが120を超えたケースは、3月、7月、10月、11月に見られます。3月のケースは、上昇相場が下げに転じることを示唆しました。7月のケースは、株価の上昇が一服しもちあいになることの前触れとなりました。これらのケースでは、ひとまず騰落レシオが機能していると言えます。逆にみれば、騰落レシオが120を大きくこえることができないことから、相場の基調はあまり強くないという見方もできます。

そして、10月のケースでは、騰落レシオは146.6(10月25日)まで上昇しました。その後、米大統領選挙に絡んで、株価は急落しました。このときも、騰落レシオの買われ過ぎサインにしたがって、買いポジションを縮小していれば、急落は免れたことになります。

しかし、ここは中期的に見れば売りのタイミングではありませんでした。その後、トランプラリーが始まり、株価は大きく上昇したからです。

実は、騰落レシオが146.6まで上昇したことに、相場の基調がそれまでよりも強まっていたことが示されていました。そうであれば、投資家としては、次の押し目が買いのタイミングと言えたでしょう。騰落レシオがどこまで伸びるか、その流れにも注目してください。

相場の勢いを知るための道具

以上をまとめると、騰落レシオは、売買のサインとして使うのではなく、相場のモメンタムを知るために使うことが大事です。

騰落レシオの「70-120」というルールを使った売買は、現実的ではありません。騰落レシオの70割れが常に売られ過ぎのサインとは言えず、また120超えが直ちに買われ過ぎのサインとは言えないからです。

むしろ、相場が上昇する時に、騰落レシオがどこまで高くなるのかを見ることで、基調の強さがわかります。逆に、相場が下落するときに、騰落レシオがどこまで下落するかを見ることで、相場が底固いためか、下落圧力が強いのかを計ることができます。それは、相場の将来的な見通しを考える際に、重要な材料になるでしょう。

なお、騰落レシオを、2010年1月~現在までのデータを使って分析しました。騰落レシオの平均は104.1で、標準偏差は20.1でした。

1.5標準偏差の範囲は、73.3~134.8。したがって、この範囲から下は、ひとまず売られ過ぎの可能性があると言えます。また、134.8以上は買われ過ぎの範囲に入ってきたということは言えるでしょう。

さらに、2標準偏差の範囲は、63.1~145.0。騰落レシオがこの範囲よりも下になった場合、また145より上になった場合は、それまでの相場の動きが変化する可能性が高まっていると見ておくことは必要でしょう。そのうえで、実際の売買は、他のテクニカル分析方法や、ファンダメンタルズ指標等を参考にして決めていくことが大事です。

ちなみに、騰落レシオと日経平均株価の相関係数(2010年~現在のデータによる)は0.16であり、ほぼ相関がありません。これは、騰落レシオが、株価とはまったく異なる観点から相場を判断する材料として使えることを示唆しています。

相場の徒然―7のつく年ですが、何か?

7のつく年は波乱があると言われます。1987年はブラック・マンデー、1997年はアジア通貨危機、2007年はサブプライム危機(翌年のリーマンショックの前触れです)がありました。そして今年も7のつく年、さらに年の前半が終わったことで、ますます年後半の相場の動き注目されています。

先週お話ししたように、もともと夏から秋にかけては日経平均株価の月間騰落率(過去20年の平均)はマイナス(下落)が続くため、この時期の相場は弱いというイメージが投資家にインプットされています。これに7のつく年の伝説が加わることで、プロの一部は警戒感を示しています。

そんな一部の見方を横目に、NYダウは7月の下旬になっても史上最高値を更新中。市場のメインストリームは、世界的な景気の拡大と、第4次産業革命を評価する動きが、上昇相場をけん引し続けているという解釈でしょう。

基本的には、人工知能(AI)、IoTやロボティックス、自動運転やブロック・チェーンなどに見られる今世紀最初の技術革新が、上昇相場を推進していくという構図には変化はありません。

また、世界景気をみても、一部で心配されていた中国も、底固さが見られます。4-6月期の国内総生産(GDP)成長率は6.9%と、市場予想(6.8%)を上回りました。

ただ、短期的に見れば、これまでの世界景気の拡大基調が、少し緩む可能性には目配せが必要です。というのも、7月26日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)が、ハト派的(金融引き締めを急がない)姿勢だったことは、米連邦準備制度理事会(FRB)のメンバーが、米国景気の見通しに対してやや慎重な姿勢に変化しているようにも見えるからです。

7の年のアノマリーにおびえる必要はありませんが、しばらくは内外の景気動向には注目する必要があるでしょう。まず、7月28日に発表される米国の4-6月期のGDPが注目されます。1-3月期の前期比年率1.4%に対して、4-6月期は同2.5%に加速すると予想されています。

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