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ゼロと1が共存するテクニカル分析

「所与の条件」に逆らわない

過去3回にわたり、最近のトピック、とりわけ地政学的リスクと総選挙をどのように考えるのかについてお話をしました。今回は、あらためてテクニカル分析について解説いたします。

テクニカルは量子コンピューター?

わたしの主観で恐縮ですが、テクニカル分析で相場の動向を正確に予測しようとするのは無理だと考えています。それでも、テクニカル分析は相場予測のヒントを与えてくれると考えています。すなわち、テクニカル分析は必勝法ではなく、勝つための秘訣(ひけつ)を教えてくれるものです。

これまでに、株価パターン、移動平均線、そしてRSIなど、オーソドックスなテクニカル分析の方法をご説明しました。ほかにも、一目均衡表やエリオット波動理論、ストキャスティクスやMACDなど、著名な多くのテクニカル手法があります。

このようなさまざまな方法を勉強することは無意味ではありません。ただし、そこで費やした時間やエネルギーが、すぐに報われるわけではないことも事実です。その理由は、テクニカル分析では特に、経験値の積み上げが必要であるためです。

経験値が低いうちは、テクニカル分析が信じられなくなります。というのも、テクニカル分析で買いシグナルが出たときに、そこが絶好の買いのタイミングになるケースもありますが、同時にそこが下落の始まりとなる場合もあるからです。この矛盾した答えが同時に存在するのがテクニカル分析であることを理解するのには、ある程度の時間と経験が必要となります。

このようなテクニカル分析の性質は、いま注目されている量子コンピューターの考え方を連想させます。筆者の知るところ、量子コンピューターでは、ゼロと1の二者択一で計算するのではなく、ゼロと1が重なり合った状態で計算するとされています。これにより量子コンピューターは、従来のものよりも高速に複雑な計算をこなすとのこと。テクニカル分析も、売りシグナルと買いシグナルの二者択一ではなく、売りシグナルであり買いシグナルでもあるという二つの可能性が共存しています。

この性質がテクニカル分析を難しくしています。その結果として、テクニカル分析は役に立たないと考える人がいても当然です。しかし、二つの可能性が存在しているだけであり、テクニカル分析が間違っているというわけではありません。そのような性質があることを前提にして、テクニカル分析を使う必要があるということです。

しなやかな考え方が大切

この点を明らかにするために、具体的にテクニカル分析の使い方を見て行きます。改めて、移動平均線による売買シグナルを検討します。

図1は、今年7月以降の日経平均株価と、その50日移動平均線の推移を示しています。

図1:日経平均株価と50日移動平行線

まず、①の時期は、50日移動平均線が下値支持線(サポート・ライン)として機能していました。そのため、株式の買いポジション(買い持ち)ならば、その状態を維持することが大事です。

また、短期売買(デイトレード)が中心の人であれば、①の時期には、移動平均線にまで押せば(下がれば)買うことが考えられます。その後、株価が反発すれば、短期で売ることになります。移動平均線からの反発を利用する取引です。

もちろん、株価が移動平均線をブレイクする(割り込む)こともあります。その場合に備えて、ストップロス(ロスカット)の用意をしておく必要があります。

次に、この下値支持線を明確に割り込んだ②の時点(8月9日)で、これまでの支持線が上値抵抗線(レジスタンス・ライン)になったとみる必要があります。したがって、中期の買いポジションがあれば、いったんは利益の確定売りを出すこともあり得ます。

また、デイトレードなど短期売買であれば、この時点から売りポジション(信用取引の売りや先物の売り、コールオプションの売りなど)を実行する場面でした。

そして、③は上値抵抗線を突破した場面です。この抵抗線を超えた当日は、まだ本当に突破したという確信が得られません。しかし、上値突破から3日目(9月14日)に、過去2日の価格を包み込むような上向きの線(包み足の陽線)が出たときに、50日移動平均線から上に放れる可能性が高まったと見ます。これは、買のシグナルでした。

このように、下値支持線は買いの水準を示しますが、あるときから売りの水準を示す上値抵抗線に変わります。テクニカル分岐には、このような変化に対応できるしなやかな考え方が必要になります。テクニカル分析は絶対的な答えを導き出すものではなく、もっとも可能性が高い相対的な答えを導き出すものです。

フィボナッチの支持線・抵抗線

フィボナッチ級数(黄金比)を使った支持線・抵抗線の考え方も同様です。フィボナッチ級数による相場分析では、38.2%と61.8%という割合(黄金比)が重視されます。これらの割合は、下げ相場であれば株価の戻りのめどを示し、逆に上昇相場では株価の下落めどを示します。

具体的には、前者であれば、天井から底値までの38.2%の上昇と61.0%の上昇が戻りのめどになります。また、後者であれば、底値から天井までの38.2%押し(下落)と61.8%押しが下値のめどになります。なお、通常は、これらの割合に、半値戻し(半値押し)の50.0%を加えて分析を行います。

実例を見ましょう。図2は、最近のドル円相場の動き(終値の動き)を示しています。

図2:ドル円相場(日足)

直近のドルの天井は、118.18円(2016年12月15日)であり、直近の底値は107.84円(2017年9月8日)でした。このドルの下落に対する38.2%戻しは111.79円、50%戻しは113.01円、そして61.8%戻しは114.23円です。これらは、上値抵抗線と下値支持線の重要な候補となります。

ドルは9月上旬に大きく下落したのち急反転し、9月20日に112.22円をつけました。この時点で、38.2%(111.79円)を上回ってきましたので、従来の上値抵抗線であった38.2%戻しの水準が、今度は下値支持線になった可能性が高いと見ます。したがって、これ以降は、ドルの売りではなく、ドルの買いを検討する必要があります。

その後、9月25日には、ドルは111.73円まで下落し、38.2%の水準を試します。短期売買であれば、ここでドルを買ってもよいでしょう。もちろん、38.2%水準が下値支持線として機能しなかった場合に備えて、ドルの買いと同時にロスカット(損切り)の準備も必要です。

実際に、翌日からドルは改めて上昇に転じました。この現行の執筆時である9月27日にドルは112.84円となり、50%戻し(103.01円)を試す動きになっています。

テクニカル分析では経験値が大事

このようなテクニカル分析の解釈は、絶対的な答えを求めていません。ゼロでもあるし1でもあるということです。買いシグナルでもあるし、同時に売りシグナルでもあるということです。

このように考えると、テクニカル分析が当たる、当たらないという議論は無意味になります。むしろ、テクニカル分析をどのように使っていくかがが大事です。だからこそ、経験が必要です。

ただし、難しいテクニカル分析を勉強する必要がありません。やさしい分析方法を繰り返して考え、そして使うことで経験値を上げること。そうすれば、テクニカル分析が大きな効果を発揮してくれるでしょう。

相場の徒然―投資と投機とテクニカル分析

長期投資と短期売買は、前者が「投資」で後者は「投機」と言われます。投資と投機の定義はいろいろありますが、投資は時間価値の追求であり、投機は交換価値の追求と言えるのではないでしょうか。投資は、経済や企業の活動によって生み出される利益が、時の経過とともに拡大することを前提に、資金を増やそうとする行為です。

一方、投機は株式とお金の交換比率の変化に着目して、利ザヤを獲得しようとする行為です。投資の成果を得るためには、経済や企業が成長するための「時間」が必要です。これに対して投機では、いま目の前にある価格だけが重要であり、時間は関係ありません。自分の買値より高い価格で買ってくれる人があるかどうかです。

ただ、投機については、経済発展を背景にしていないことから、悪者扱いする人もいます。しかし、株式とお金の交換をスムーズに行えるのは投機のおかげです。だれもが長期的な目線で投資だけを行えば、市場では、売りも買いがまばらな状況になるためです。

このような社会的に大事な存在である投機は、何をもとに行えばよいのか。それは、市場参加者の心理、市場の需給(売りたい人が多いのか・買いたい人が多いのか)でしょう。これを見極める大きな助けとなるものは、テクニカル分析です。

実際に、株式相場よりも外国為替相場(FX)の方が、テクニカル分析が活発です。その理由は、FXでは、国家の経済状況(金利、インフレ率、経常収支や景気動向)がファンダメンタルズです。しかし、このファンダメンタルズが、日々の外国為替相場を直接説明するものではないからです。

一方、株式では、ファンダメンタルズが最終的には企業の利益に集約され、株価を説明する要因になります。言い換えれば、FXのファンダメンタルズは極めて複雑であるために、為替相場の説明においては、よりシンプルなテクニカル分析が重視されるということです。 

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