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テクニカル分析のシンプルな使い方 – 新・相場道五十三次

テクニカル分析のシンプルな使い方 – 新・相場道五十三次

廣重勝彦
廣重勝彦

今回は現実の相場の中で、テクニカル分析をどのように使えばよいのかを検討します。古典的なシンプルな方法ですが、その背後にある考え方を知ることにより投資判断が改善されるはずです。

トライアングルの使い方(その1)

グラフ(1)は、日経平均株価(終値)の日足チャートです。昨年11月以降、今年3月29日までの値動きを示しています。この中で、最も古典的なテクニカル分析手法である「パターン分析」を実施してみました。

日経平均株価(終値)

具体的には、昨年11月7日につけた天井の一つ22937円(17年11月7日)と次の天井22938円(同12月11日)を結んで上値抵抗線(レジスタンス・ライン)を引きます。次に、底値の一つ22028円(17年11月15日)と次の底値22177円(同12月6日)を結んだ線が下値支持線(サポート・ライン)です。

その結果現れた株価のパターン(グラフ中のA)は、「トライアングル(三角保合い)」と言います。特に、下値支持線が切り上がるのに対して、上値抵抗線がほぼ同じ水準にとどまっているグラフ(1)の形は、「アセンディング・トライアングル(上昇三角形)」と言われます。

 これは「買いに備えるパターン」です。というのも、下値支持線が切り上がるというのは、株価の底固さを示しています。投資家が買い指値を時間とともに引き上げているイメージです。

一方、上値抵抗線が水平だということは、上値では戻り売りが出ているものの、積極的に下値を売り込む動きになっていないということです。株式を保有している人が指値で高値に売り注文を出しているものの、売り急ぐ動きにはなっていないというイメージです。

このようにイメージから判断すると、アセンディング・トライアングルのパターンを使った基本的な戦術は、「株価が上値抵抗線を突破したら買い」です。買い指値がいよいよ切り上がり、やがて抵抗線上の売り指値をすべて消化したら、上昇基調が一段と強まるとみるのです。

実際に、そのチャンスは年明けの1月4日に訪れました。この日、日経平均株価は23073円で取引をスタートし終値は23506円でした。この日こそ、アセンディング・トライアングルにおける上値突破と判断して、買いを入れる場面でした。株価はその後上昇し、1月下旬には24124円(1月23日終値)に達しました。

トライアングルの使い方(その2)

トライアングルの使い方はこれだけでは終わりません。「売りのサイン」として機能するケースもあります。

日経平均株価は1月23日にピークを付けたあと下落に転じ、やがて以前突破したトライアングルの上値抵抗線に接近しました。この時点で、新たな戦術が浮かびます。すなわち、「以前の上値抵抗線を明確に割り込めば売り」というものです。

この戦術は、「トライアングルの上値突破による買いエネルギーの出尽くし」を逆手にとるものです。トライアングルを突破して上昇を続けた相場も、やがて下げに転じて元のトライアングルの中に戻ってきたら、以前のような買いエネルギーが枯渇したと判断するのです。

実際の相場では、2月5日になると、日経平均株価はトライアングルの上値抵抗線(22938円)を割り込んで、22682円で引けました。この日が売りのタイミングでした。その後、株価は下落を続けて、2月14日には21154円まで値を下げました。

 

トライアングルの使い方(その3)

トライアングルには、もう一つの利用方法があります(かなりマイナーな解釈、あるいは少数意見ですが・・・)。それは、相場の転換日を見つける方法です。

具体的には、支持線と抵抗線の交点に注目します。ここは、株価が三角保ち合いから放れる可能性が高いポイントとされています。

ただ、現実のトライアングルAでは、株価が交点に達するよりも前に上値抵抗線を突破しました。それでも、トライアングルの交点には意味があります。将来において株価が変化するタイミング、すなわち「変化日」の候補と考えられるからです。実際には、支持線・抵抗線の交点に来るのを待たないで株価は上放れましたが、その交点は将来、株価が天井をつけて下落する、あるいは株価が底を入れて上昇に移るといった変化のタイミングと見るのです。

実際には、支持線・抵抗線の交点(X)が現れたのは3月22日でした。そして、株価が実際に底入れしたのは3月23日(終値は20617円)と、ほぼ一致しています。

トライアングルのパターンを確認したら、その支持線と抵抗線を先に延ばして交点を求めてみましょう。その日に注目しておけば、仮に相場に変調の兆しが出れば、迅速に対応していくことが可能になります。

ウェッジの見方

次に、グラフ(1)のなかで、現在の株価の位置を見ましょう。

日経平均株価(終値)

いまは、Bで示したパターンを形成しています。下値支持線は21154円(2月14日)と21042円(3月5日)を結んだライン。上値抵抗線は22398円(2月27日)と21968円(3月13日)を結んだラインです。

これは、「下降ウェッジ」と言われ、下落トレンドの終盤に出る株価パターンとされています。言い換えると、相場の方向が間もなく変わるサインとなります。

下降ウェッジは上値抵抗線と下値支持線がともに切り下がっているものの、下値支持線の角度が上値抵抗線の角度よりも緩やかです(パターンBを参照)。その解釈は次の通りです。

上値抵抗線はいま株式を持っている人が売り指値を出している水準であるのに対して、下値支持線はこれから株式を買いたい人が買い指値を入れる水準です。買い手は下値支持線の水準で待ち構えています。

株価のトレンドは下向きなので、売り指値・買い指値ともに時間とともに下がってきます。ただ、株価の下落を警戒して、少しでも株価が戻したらすぐに売りたいという弱気の人が多いために、上値抵抗線は低下します。一方で、株価が割安だと見る冷静な買い手が参加し始めています。機関投資家など大口の投資家が株価の押し目に買いを入れるため、下値支持線の下がり方は緩やかになります。

やがて上値抵抗線と下値支持線が交われば需給が一致。売りものを買い手が吸収してしまえば、株価は上昇に向かうことになります。

したがって、下降ウェッジのパターンを使った戦術は、「上値抵抗線を突破したら買い」です。最初の目標は上値抵抗線の起点(最も高いポイント)。ただし、上値抵抗線を突破した後に改めてウェッジの中に株価が吸収されるならば、ロスカットが必要になります。

現実の相場では、ウェッジは下値支持線をブレイクして(割り込んで)、3月23日に20617円まで下落しました。しかし、これは前日(22日)に、トランプ米大統領が中国製品を対象とした大規模な関税賦課を命じたことを受けて、NYダウが前日比724ドル(2.9%)安と、1日の下げ幅としては1か月半ぶりの大幅下落となったことが原因です。したがって、NY株式の売りが続かないとみると、日経平均株価は元のウェッジの中に値を戻しました。

3月29日日現在、上値抵抗線は21500円水準にあり、日々切り下がっています。これを株価が上回ることができれば、上昇トレンドに転換する「兆し」と言えるでしょう。

なお、このウェッジの上値抵抗線と下値支持線が交わるタイミングは4月24日。この前後の日は、株価の動きが変化する候補日として記憶の片隅に入れておくことが大事でしょう。

ドル円相場のトライアングル

ドル円相場を見ましょう。グラフ(2)は2月以降の日足チャートです。ここでもトライアングルCが見られます。上値抵抗線は107.65円(2月21日)と106.82円(3月9日)を結んだライン。一方、下値支持線は105.75円(3月2日)と105.89円(3月19日)を結んだラインです。

ドル円相場

3月23日に、トライアングルの支持線を割り込み、104.74円までドルが下落しました(グラフの①)。米中の貿易戦争への懸念でリスク回避の円買いが広がった結果です。しかし、株価と同様に値を戻すと、今度は上値抵抗線を突破しました。同時に、1月8日以来初めてドルが20日移動平均線を上回りました。この日はまさに、抵抗線と支持線が交わった日でした(グラフの②)

今後のサポート(支持線)は、トライアングルの上値抵抗線と20日移動平均線。一方、レジスタンス(抵抗線)50日移動平均線になります。

相場の徒然―FANGと『規制』

3月下旬になって表面化してきたFANG等に対する批判や規制の動きについては、今後注目していく必要がありそうです。

最近の波乱相場の要因として「貿易戦争」が取り上げられています。しかし、これは11月の大統領選挙に向けたトランプ大統領のパフォーマンスであり、相場の流れを変えるほどのインパクトはないとみられています。

これに対して、フェイスブックのデータ不正利用や自動運転の事故、またハイテク企業への投資制限については構造的な問題を含んでおり、相場のトレンドを変えうる力があるといえます。

グラフ(3)は、「NYSE・FANGプラス」という株価指数です。いわゆるFANGを中心とした次の10銘柄で構成されています――アマゾン(AMZN)、アップル(AAPL)、ネットフリックス(NFLX)、アリババ(BABA)、エヌビディア(NVDA)、アルファベット(GOOGL)、百度(BIDU)、テスラ(TSLA)、フェイスブック(FB)、ツイッター(TWTR)。

NYSE・FANGプラス

この指数は2014年9月19日を起点(1000)として算出されているのですが、順調に上昇し今年3月12日には2770ポイントとつけました。約3年半で2.7倍になったということです。

しかし、この日をピークにこの指数は急落し、3月28日には2382ポイントとつけました。高値からは約14%の下げであり、テクニカル的に「調整相場(高値から10%以上下落のケース)」に入った格好です。

きっかけは、トランプ政権が半導体や5Gなどの先端技術に対して、中国企業の投資を禁止する構えだと報道されたことです。投資制限により米先端企業への資金流入が細るとの懸念が強まりました。

加えて、ハイテク企業の不祥事も株価下落に拍車をかけました。フェイスブックがデータを政治利用されたことや、ウーバーの自動運転車が事故を起こしたことなどが市場心理を冷やしました。しかし、それらは政治的な問題や技術的な問題であり、トレンドを変えるほどの材料ではなさそうです。

重要なのは、報道等では大きく取り上げられませんが、AIやビッグデータなどの先端技術に対して、各界のリーダーたちが警戒感を示し始めたことです。

前回のコラムでご報告しました今年のダボス会議(世界経済フォーラム)では、仮想通貨やAIなどについて議論を深める一方で、データの独占やプライバシー侵害などの問題がクローズアップされていました。先端技術の光の面だけでなく影の面にも視線がそそがれ、「規制」の必要性を訴える声も出始めていました。世界リーダーが集う会議でのこのような「空気」が次第に、株式相場に対しても影響を与え始めているように見えます。

もちろん、新たな技術革新の波が後退することはないでしょう。ただ、その波がすさまじい勢いで社会を変えようとしていることも確かであり、それがもたらす問題についての議論を本格的に始める時期が近付いているようです。

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