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“相場を読む”の実践 – 新・相場道五十三次

“相場を読む”の実践 – 新・相場道五十三次

廣重勝彦
廣重勝彦

今回がこのコラムの最終回です。これまで読んでいただき大変ありがとうございました。心より御礼申し上げます。ということで、これまでお話した内容を踏まえて、「相場を読む」ための方法を一つご紹介いたします。

相場を読むとは

多くの投資家の最大関心事は相場予測でしょう。これは「相場を読む」とも表現されます。テレビの経済番組も株式セミナーも、究極的には相場予測(株価は上がるのか?下がるのか?)がテーマです。

ただ、常識的に考えれば、将来を予測することは相場に限らず極めて難しいはず。たとえば、サッカーの試合前に、「どれだけの得点差でどちらのチームが勝つ?」を予想することは極めて難しい(だからこそ「サッカーくじ」が成立します)。相場予測はサッカー予測よりもさらに難しいのは想像に難くないでしょう。相場はサッカーのように特定のルールや場所に縛られず、参加メンバーが限られていないからです。

つまり、相場予測(相場を読む)を「将来を当てること」とみれば、ほとんどの人にとって不可能なことになってしまいます。そこで、相場予測は「将来に向けた仮説を立てる」という意味でとらえるべきでしょう。年末に株価がいくらになっているのかを当てようとするのではなく、「この条件が整えば、相場はこのように動くだろう」という形で将来の展開を読んでいくのです。

状況を丹念に把握しながら、次に来る相場展開を読んでいくことが大事です。投資家の都合で相場とは関係ない「月末」や「年末」というゴールを設定し、そこで株価が高いか安いかを予想するのはギャンブルに近い行為です。

ファンダメンタルズとテクニカルを融合

さて、相場を読む方法として、ファンダメンタルズ分析(経済動向の分析)とテクニカル分析(価格動向の分析)という二つのアプローチがあります。筆者はその両方を利用しています。ファンダメンタルズ分析による相場展開の読みについて、テクニカル面からそれが実現可能なのかを確かめます。逆に、テクニカル的な読みに対して、ファンダメンタルズ的におかしくないのかどうか確かめます。

たとえば、経済指標が予想より良い、あるいは企業利益が予想よりも良いなどファンダメンタルズ面の改善が見られた時、次にテクニカル面でみて株価が上昇する形になっているかどうかを確かめます。その結果、テクニカル的に上昇トレンドや底入れサインが見られたら、将来にわたり株価が上昇する展開と読むことができます。

逆に、ファンダメンタルズ面で好材料があったとしても、株価チャートがすでに下方トレンドに入ったと確認されていた場合、投資は慎重にならざるを得ません。仮にファンダメンタルズを好感して株価が上昇しても、一時的な戻りの域を出ないと解釈することになるでしょう。

一方、テクニカル面の変化を、ファンダメンタルズ面から確認することもあります。たとえば、テクニカル面から上昇トレンドへの転換が見られた時、ファンダメンタルズ面でその流れをサポートする材料があるのか確かめます。ファンダメンタルズ的な支援材料があれば、短期的な上昇トレンドが中長期のトレンドに発展する展開と読むことができます。逆に支援材料がなければ、短期トレンドにとどまると読むことになります。

このように、「ファンダメンタルズ→テクニカル→ファンダメンタルズ→・・」という確認を繰り返すことで相場の読みが深まると同時に、相場を読む能力が高まっていくはずです。

最近のドル高・円安の背景

直近のドル円相場の例を挙げてみます。3月26日にそれまでの105円台から106円台に乗せた後、じり高となり4月12日には107円台に到達。そして、23日に約1円ジャンプして108円台、25日には109円台にまで急伸しました(図1参照)。

ドル高の要因は米金利の上昇です。米10年国債利回りは3月下旬から4月18日まで2.8%台で推移していました。しかし、19日に2.9%台へ上昇すると、24日には3%台に乗せました(図2参照)。

では、なぜ金利が上昇したのかと言えば、原油価格上昇を背景として物価の上昇期待が強まったためです。実際、WTI原油先物相場(つなぎ足)は3月下旬に65ドル台に乗せると、1か月後の4月23日には68.64ドルまで上昇しました(図3参照)。

なお、原油相場が上昇した理由としては、米国の減税実施にともなう世界景気の拡大や、OPEC(石油輸出国機構)が原油減産を維持するとの見通し、中東の地政学的リスクの高まりがありました。

時系列での読み

ここまでご説明したドル高・円安の状況と背景は、あとから振り返って述べたものです。今度は、3月下旬の時点から時系列に沿って相場を見ていきます。その中で「相場の読み」をご紹介します。

世界景気の拡大や原油需給のタイト化などのファンダメンタルズ要因により、原油相場は3月下旬に上昇トレンドを形成していました。このトレンドはテクニカル面でも確認されました。原油価格のチャートが、4月2日に20日移動平均線が50日移動平均線を上回るゴールデンクロス(GC)を形成したためです(図3参照)。

次に、この原油相場の動きが米金利に影響を与え始めます。原油上昇により物価上昇期待が強まることで、米10年国債利回りが上昇し始めました。また、4月17日に国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し(WEO)を発表し、その中で米国の経済成長率(18年)を2.93%と予想して、昨年10月時点の予想(2.34%)から約0.6%引き上げました。その結果、「景気拡大見通しの引き上げ→物価上昇期待→金利上昇」という連想が働きます。

このようなファンダメンタルズ要因を背景に上昇した米10年国債利回りは4月17日、ゴールデンクロス(10日移動平均線が20日移動平均線を突破)を形成し、テクニカル的にも金利上昇トレンドが確認されました(図2参照)。その後、上昇ピッチが速まり19日に1.9%台に乗せ、24日には一旦3%台に乗せました。3%台乗せは13年12月31日以来4年4カ月ぶりのことです。

金利上昇からドル円相場を読む

このような状況を前提として、ドル円の先行きについてどのように読むことができるでしょうか。

ここではまず、ドルが上昇すると考えます。米国金利が上昇すれば、海外の資本がドルに向かうと想定されるからです。ただし、「米金利上昇→ドル買い」は公式ではありません。そうなるときもありますし、そうならない時もあります。

ただ、私は今回、「米金利上昇→ドル買い」というファンダメンタルズ面での想定は、実現する可能性が高いと見ていました。テクニカル的な裏付けがあったからです。4月6日の時点で、10日移動平均線が20日移動平均線を上回るゴールデンクロスが完成し、テクニカル的にドルの上昇トレンドが推定されていました(図1参照)。

ドル相場がゴールデンクロスした中で、米金利が4月17日にゴールでクロスした時点で、「米金利上昇→ドル買い」を想定したドル買いが有力になります。17日の時点でドルは106.95円、翌日(18日)は107.17円でした。その後ドルが109円台に上昇したことは先述の通りです。

株式相場への応用

ところで、円安は日本の輸出企業にとっては増益要因(ファンダメンタルズの改善要因)なので、相場は円安と読んだ時点で株式を買うことは有効なアイデアでした。その戦略を支持するテクニカル的な材料がありました。日経平均株価は4月11日に10日移動平均線が25日移動平均線を上回るゴールデンクロス(GC)を形成していたのです(図4参照)。

その中で、米金利上昇による円安の可能性が強まった日(先述の17日)は、日本株のとっても買いのタイミングの一つだったでしょう。17日の日経平均株価は21847円でした。日経平均株価はその後上昇し、4月末の終値は22467円(4月27日)でした。

なお、日経平均株価について、4月末に25日移動平均線が50日移動平均線を上回るゴールデンクロスが完成しています。しかも、10日、25日、50日のいずれの移動平均線も上向きに転じており、テクニカル的にみれば上昇基調が徐々に強まっています。

テクニカル的な方法で目標株価を求めれば次の通りです。すなわち、今年のここまでの高値24124円(1月23日終値)から同安値20617円(3月23日終値)までの下落に対する61.8%戻し22784円がまず挙げられます(61.8や38.2はフィボナッチ数、あるいは黄金比です)。なお、同50%戻し(22371円)や同38.2%戻し(21957円)が下値支持線の候補です。

相場の徒然‐最終回にあたり

「新・相場道五十三次」は15年くらい前に「まぐまぐ」で日々連載していたメルマガ「相場道五十三次」(「殿堂入り」していました)を原点として、自分の経験や情報が投資家の皆様のお役に立てればという願いで始めたものです。今回で一区切りとなりましたが、また形を変えてお送りいたします。近日中に「続・相場道五十三次」を書きますので、あらためてgoogle検索していただければ幸いです。

私が証券会社に入った1983年4月から、ちょうど35年が経ちました。この間、さまざまな種類の業務・ビジネスに携わりましたが、いずれもマーケットにかかわる仕事でした。現在も証券アナリストとしてマーケット関連の業務を続けながら、基金運用、セットアップ企業やベンチャー企業のサポート、そして大学での学生指導(ゼミ)なども行っています。ということで、いまでも日々勉強し続けている状況です。そのような活動を通じて、マーケットに対する気付きや、新しい考え方、また面白いと感じる情報をご紹介させていただく所存です。引き続きよろしくお願いいたします。

最終稿にあたり、このコラムの読者の方々にあらためて心より御礼申し上げます。(廣重勝彦)

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