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「正しい予測」と「正しい投資」を区別する – 新・相場道五十三次

「正しい予測」と「正しい投資」を区別する – 新・相場道五十三次

廣重勝彦
廣重勝彦

一般に、株式で成功するためには「正しい予測をしなければならない」と考えられています。言い換えれば、相場で儲けるためには将来を予測する必要があると考えている人が多いということです。

しかし、「正しい予測ができれば儲かる」としても、「常に正しい予測ができる」わけではありません。また、仮に正しい予測ができたとしても、簡単に儲かるわけではありません。逆に、正しい予測ができなくても儲からないわけではありません。実は、予測と投資には複雑な関係があるのです。

正しい予測と投資の利益

前段の考え方をまとめると以下の通りです。

① 正しい予測ができれば儲かる可能性がある。
② 常に正しい予測ができるわけではない。
③ 正しい予測ができても簡単に儲かるわけではない。
④ 正しい予測ができなくても儲けることはできる。

このうち、①「正しい予測ができれば儲かる可能性がある」ということについて論を待たないでしょう。正しい予測により、未来の株価がわかるからです。しかし現実には、②の通り「常に正しい予測ができるわけではない」ということも容易に想像がつくでしょう。想定外のことは必ず起こります。

一方、③「正しい予測ができても簡単に儲かるわけではない」の例として、たとえ正しい予測ができても、実際に株式を買うのが遅れて高値をつかんでしまうことはよくあることです(自分の予想通りなのに損をするケースです)。

そして④の「正しい予測ができなくても儲けることはできる」は、「正しい行動」をとれば、たとえ十分な予測がなくても儲けることが可能ということです。

予測のシナリオ

ところで、テレビやラジオ、雑誌などマスコミで取り上げられる相場の話題はほとんど、正しい予測に向けられています。正しい予測をすることで儲けようという作戦です。しかし、正しい予測が難しいのは誰もが実感していることではないでしょうか。

そこで、この問題を緩和するために、予測のシナリオを使う人がいます。たとえば、ある会社の株価が上昇すると予想するときでも、「この株式は20%上昇する」とは言わず、年間で20%上昇するという「メインシナリオが70%の確率で発生する」と表現します。次に株価が下落するケースを指摘し、「リスクシナリオが確率30%で発生する」と指摘します。さらに、メインシナリオよりも大きく上昇する可能性についても言及し、「20%を超えて上昇するサブシナリオは確率10%で発生する」と表現しておきます。この例を整理すると次のようになります。

  • メインシナリオ(株価が年率20%上昇する確率):60%
  • サブシナリオ(株価が年率20%を大きく超えて上昇する確率):10%
  • リスクシナリオ(株価が下落する確率):30%

なお、ここで「確率」という言葉を使っていますが、このようなシナリオ分析の多くでは、数学的・統計的な意味での「確率」ではなく感覚的な意味の確率です。この例では、予測した人が、年率20%の株価上昇が60%くらいの確信度で起こるだろうというイメージを表現しているにすぎません。

ただ、この方法を使えば株価が「20%上がる」といった一点張りの予測よりも、正しい予測になる可能性が高まります。というのも、実際の結果がメインシナリオかサブシナリオ、あるいはリスクシナリオのいずれかに該当することになるからです。いずれも事前に指摘していますので、予測が「はずれた」ということにはなりません。

これも、③「正しい予測をしても簡単に儲かるわけではない」ということの現実的な意味です。

予測の正しさではなく、予測の使い方が肝心

投資の現場では、正しい予測があることに越したことはないとしても、これまで見てきた通り、正しい予測を追いかけることで得られる利益は期待するほど大きくはありません。投資で儲けるという目的に絞るならば、「どのような投資行動をとるか」の方がはるかに大事です。

その際に、投資のプランを作ることが必要です。株価動向にしたがってどのように投資をしていくかを決めるということです。相場の予測はそのプランを作る際の参考という意味では大いに役立ちます。

たとえば、「6割の確率で20%値上がりし、さらに1割の確率で20%を超えて上昇する場合にどこで利益を確定するのか。一方、3割の確率で下落するリスクがあるとして、その際にロスカットするのか、あるいは下落した場合にもさらに買い増すのか。」― ―という形でプランを作っていくということです。

予測が利益を生むのではなく、予測(それが正しくても正しくなくても)の使い方が投資の利益をもたらすということです。

相場の徒然-その1:日経平均株価のシナリオ

日経平均株価は、年初を基準に2月27日まで4.8%下落しています。年初からここまでの株価の動きに最も似ている年は、過去25年間のデータでみると2010年でした。そこで、グラフには、2010年と今年の日経平均株価について、年初を100としその後の動きを示しました。

2010年の相場に似た動きを続けると仮定すれば、4月にかけて株価は上昇に転じていくことになります。投資プランを立てるなら、これを前提に3月の投資姿勢は「買い」が基本となります。これまで注目していた銘柄について、押し目買いを入れるタイミングになります。

ただし、3月に入り改めて2月の安値を下回ることがあれば、2010年の動きとは異なります。その際に、ロスカットをするのか、またはさらに買い増すのかはあらかじめ決めておく必要があります。

どちらの方法をとるかは、人それぞれの投資スタイルにより異なります。信用取引などの短期投資ではロスカットが基本です。一方、資産形成のための株式投資(長期投資)ならば、大きく下げればバリュエーション(PERなど)面で株価が割安になる局面ですので、買い増すことが基本になります。

相場の徒然-その2:株価急落の背景

さて、2月相場ではNYダウが鋭角的に下がりました。その要因として、次の3つが挙げられます。

  1. VIX上昇にともなうポジション整理
  2. 主要トレンド(移動平均)からの大幅上方乖離
  3. 金利上昇への懸念

1月の米国株式相場は上昇の勢いを強め主要トレンドライン(50日移動平均線や200日移動平均線)から大幅に上方乖離していたために、どこかのタイミングで株価の調整があるだろうと懸念する向きは少なくありませんでした。そんな中、金利上昇が株価下落につながる弱気材料とみなされました。

もっとも、金利上昇は株式の売りが殺到した理由にはなりません。雇用統計の改善に示される米国景気の拡大に伴う現象であり、企業業績の一段の改善につながるためです。むしろ、「金利が上昇したことで、いずれインフレ懸念が強まる」という短絡的な見方を背景に、市場心理が悪化したことが問題でした。その結果、市場心理を示す米ボラティリティ指数(VIX)が上昇し、株式のポジション整理が活発化しました。

株価の動きではなくVIXの上昇(ボラティリティの上昇)が、2つの経路を伝わり株式の売りにつながった格好です。

第一はVIXデリバティブの清算です。これはVIXの上げ下げで利益があがったり損失が発生したりする金融商品(詳細は後述)ですが、VIXが2月に入り急速に上昇したことで一部の投資家に大きな損失が発生しました。その結果、損失の穴埋めのために株式の売却が進んだのです。

※VIXは波乱相場で数値が上昇することから「恐怖指数」とも呼ばれる。問題なのはVIXが低下すれば利益が出るタイプのインバース・ボラティリティーETFだった。このなかで最も人気が高かったベロシティシェアーズ・デイリー・インバースVIX短期ETN(コード「XIV」)は、1月11日に145.00ドルだったが、その後のVIX急騰を受けて7日には6.23ドルまで急落し、価格が約23分の1に低下した。

第二は「リスクパリティ」と呼ばれる投資手法によるポジションの整理売りです。この手法では、VIXが上昇すると株式を自動的に売却せざるを得なくなります。多くの機関投資家がポートフォリオ構築の基準として採用しており、この方法による投資金額は2兆ドル(約214兆円)にも達しているとの推計もあります。

機関投資家の一部は、運用資金を株式や債券に分散投資する際に、その投資比率を相場のぶれ具合(ボラティリティ)で決めます。これがリスクパリティです。これによれば、株式のボラティリティを示すVIXが上昇すれば、株式への投資比率が高くなったとして自動的に株式を売却することになります。その金額が巨額であるだけに、市場への影響が極めて大きかったのです。

相場の徒然-その3:「調整相場」の考え方

NYダウは1月26日に史上最高値となる26616ドルを付けた後、2月8日には23860ドルまで下落しました。この間の下落率は10.4%です。

株価が直近の高値から10%下落したケースは、テクニカル的に「調整局面」と定義されます。リーマンショック後の米国株式の調整局面を振り返りますと、「価格調整」とともに、数か月に及ぶ「日柄調整」を伴いました(以下の表を参照)。なお、ここでは調整終了の基準は、株価が下落する前の高値を更新した時としました。

NYダウの調整局面

リーマンショック後に調整局面入りとなったケースは、今回を含めて合計で5回あります。過去4回の中で最も軽い調整となった前回のケースと比較しても、現時点では価格と日柄の両方で調整が足りません。

前回のケース(ケース4、15年11月3日から16年2月11日)を見ると、17918ドル(15年11月3日)から15660ドル(16年2月11日)まで12.6%下落し、NYダウが改めて高値を更新するまでに5.4か月(土日休日を含む)かかりました。ほかのケースを見ても、最短の日柄調整は4.1カ月(ケース1とケース2)でした。

今回(ケース5)は過去最高値を更新した1月26日からちょうど一カ月目の2月26日に、NYダウが25709ドルまで上昇して、2月の急落に対する61.8%戻し(25563ドル)を達成しました。景気拡大が続いていることに加えて、急落の原因がVIXがらみのテクニカル要因の影響が大きかったことから、株価の戻りピッチが速くなっています。ただし、投資プランを検討する際には、リスクとして過去のパターン(日柄整理に相当な時間を要したこと)にも留意しておくことが肝要です。

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