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トレンドの有無を見極める

トレンドの有無を見極める

日経平均株価が16連騰というニュースが、大々的に流れました。一見、投資には絶好調な時期ですが、現実には難しい面もあります。今回のコラムでは、その難しさの一端を検討し、それにどう対処するかを考えてみましょう。

じり高の16連騰

日経平均株価の16連騰は、同指数としては最長記録です。16連騰が始まったのは10月2日でしたが、その後はまさにじり高という様相でした。それを示すように、この間の上昇幅1,448円で上昇率は7.1%でしたが、一日当たりの上昇幅を計算すると90.6円(上昇率は0.43%)にとどまりました。

年初からここまでの1日当たりの変動率(上昇率と下落率の絶対値の平均)は0.56%でしたので、16連騰の間は、平均よりも2割以上、鈍い動きだったことになります。

日々の上昇銘柄の数をみると、この間の上昇銘柄数は1日当たりの平均で1,065銘柄でした。年初から1月24日までの1日当たりの上昇銘柄数は平均990銘柄でしたから、通常(平均)よりも約70銘柄(8%弱)多かっただけです。

このように、16連騰はすごいことには違いないのですが、何か強烈に強い材料を受けて暴騰したわけではありません。市場参加者が少しずつ買いを入れて、手探りで次の相場の落ち着きどころを探っていた感覚です。それだけに、以前よりも株価水準は上がりましたが、だからと言って急に高値警戒感が強まる雰囲気ではありません。

高水準の騰落レシオの意味

連騰を受けて、さすがに東証1部の騰落レシオは一時138(10月17日)まで上昇しました(図1参照)。ただ、株価が上昇するなかでも、騰落レシオは110台から120台の水準に押し戻されました。東証1部の上昇銘柄の数が、一気に増えていかないからです。

ここで、テクニカル分析の復習ですが、騰落レシオは次の式で求めます。

騰落レシオ=値上がり銘柄数/値下がり銘柄数×100

通常はその25日移動平均で、相場の状況を判断します。一般には、120以上は買われ過ぎ、70以下は売られすぎとみられています。ただ、今回のケースでは、9月25日以降は、多くの日が120より上の水準でした。言い換えれば、騰落レシオが最初に120を超えたところで株式を売ってしまえば、今回の上昇トレンドに乗れなかったことになります。

図1:株価と騰落レシオ

これは、騰落レシオのようなオシレーター(株価の割高・割安を示すテクニカル指標)の宿命です。レンジ相場であれば機能するオシレーターですが、株価にトレンドが出れば機能しなくなります。

株価が一定の範囲で往来しているときは、騰落レシオの割高・割安サインは役に立ちます。しかし、高値を毎日更新しているようなトレンド相場では、オシレーターは誤った売買のサインを出すことなります。

そのため、相場の解説で、「騰落レシオが株価の買われ過ぎを示している」というコメントはしばしば聞かれますが、その人が、相場の状況(レンジ相場かトレンド相場か)を見極めて語っているのかどうかが大事です。

「騰落レシオが120を超えたら買われ過ぎ」というのは、レンジ相場であることが前提で言えることです。トレンド相場では誤りです。

レンジとトレンドを見極める

では、どのようにしてレンジ相場とトレンド相場を見極めるのか? これは投資において、最も大きな問題の一つです。もしこの問題が完璧に解けたら、投資においては百戦百勝となるでしょう。そのため、この問題を解消するべく、古くから様々な取り組みがなされてきました。

たとえば、テクニカル分析の分野では、DMIという指標が有名です。DMIは、一般のテクニカル指標のように、売り買いを指示するサインではありません。相場がトレンドを形成しているのかどうかを示すものです。相場の上昇・下落を予想するものではなく、価格が継続して上がる(下がる)状態にあるのかどうかを判断する指標です。

さらに、ADXという指標もあります。これも、売り買いのサインではあません。トレンドの強さを示すものです。価格が継続して上がる(下がる)傾向が強まっているのかどうかを示します。

実は、このテクニカル指標を考案したのは、以前にもご紹介した米国の著名投資家J.W.ワイルダー氏です。RSIを考案した人です。RSIというオシレーターを存分に使うためには、相場がトレンドに乗っているのではなく、レンジ相場でなければなりません。

これを背景に、トレンド相場かレンジ相場かを見極めるべく、DMIが考案されたのです。なお、DMIは、“Directional Movement Indicator (方向性指数)”の略語です。

DMIを使った相場の解釈

DMIの細かい計算方法は、ここでは割愛します。基本的な考え方として、DMIは上昇トレンドを示す+DI(Plus Directional Indicator)と、下降トレンドを示す-DI (Minus Directional Indicator)という二つの指標を用います。

上昇トレンドでは、今日の高値が昨日の高値を上回るケースが多くなります。この性質を利用して算出される指標が+DIです。今日の高値が前日の高値を上回る場合に、+DIも大きくなります。

反対に、下落トレンドでは、今日の安値が昨日の安値よりも低くなる傾向があります。これを利用して算出されるのが-DIです。今日の安値が昨日の安値を下回れば、-DIは大きくなります。

つぎに、この+DIと-DIを使って、相場を次のように解釈します。

(1)+DIが-DIよりも大きければ上昇トレンドが形成される可能性ありと推定。
(2)+DIが-DIよりも小さければ、下落トレンドが形成される可能性ありと推定。

しかし、現実には、+Dと-Dは、しょっちゅう上下が入れ替わります。そのたびに、いずれかの方向にトレンドが出ていると判定したのでは、年中ロスカットをする羽目に陥ります。

そこで、そのトレンドが本物かどうかを判定する指標が登場します。これが、ADX(Average Directional Index)です。ADXは、+DIと-DIの差の移動平均です。

+DI(上昇トレンドを示す指標)と-DI(下落トレンドを示す指標)の差が大きくなれば、上下どちらかの方向かへ、トレンドが強まっているとみることができます。ですので、ADXが大きくなれば、現在のトレンドが強まっていると判断するのです。

以上をまとめると、相場は以下の通り解釈されます。

+DI>-DIで、かつADXが大きくなる・・・上昇トレンドを推定
+DI<-DIで、かつADXが大きくなる・・・下落トレンドを推定

相場が、①や②のケースになれば、、RSIなどオシレーターが買われ過ぎや売られ過ぎを示したとしても、無視しなければなりません。株価は継続的に上昇(上昇トレンド)するか、あるいは継続して下落(下落トレンド)することが想定されるからです。

DMIで16連騰を考える

そこで、このDMIを使って、16連騰を分析してみましょう。チャート(図2)には、9月1日以降の日経平均株価と、+DI、-DI、そしてADXが掲載されています(ここでのDMIの計算は、過去14日間の平均を使っています)。チャートに矢印で示した9月12日以降は、+DIが-DIを上回っていますから、上昇トレンドが仮定される状況でした。

図2:日経平均株価とDMI

そして、10月に近付くと、ADXが上昇し始め、10月に入るとその動きが強まります。+DIと-DI、そしてADXからは強い上昇トレンドが推定できるのですが、実際の株価もそれを映したような動きです。

トレンドの形成を前提とすれば、騰落レシオの売りシグナルの点灯(騰落レシオが120を超える)は、意味がないことになります。

一方、この時期には、米国でもNYダウは同様に上昇基調にありました、DMIで見ても、強い上昇トレンドが示唆されていました。

さらに、ナスダックのチャート(図3参照)を見ると、矢印で示した9月27日に+DIが-DIを上回り、さらに10月の初めからADXも上昇し、上昇トレンドが強まっていることがチャートから見て取れます。実際に株価もそのような動きを示していました。

図3:米ナスダックとDMI

ただ10月19日ころからは株価の上値は重く、また+DIとADXはともに、やや低下し始めています。そして、10月25日には+DIが-DIを下回りました。

チャートの解釈では、これはナスダックの上昇トレンドが一服することを示唆している可能性があり、いまは相場の動きを慎重に見極める時期ということになります。

相場の徒然-ファンダメンタルズでトレンドを考える

本文では、テクニカル指標を使って、トレンドの有無を判定する方法を検討しました。しかし、現実に投資をしようとするときに、この一つの指標だけでトレンドの有無を決めつけるわけにはいきません。ほかのテクニカル指標を参考にしても良いのですが、やはり違った観点から、すなわち実体経済や社会現象の観点(ファンダメンタルズ)から考えるのが正攻法です。

ケース・スタディとして、今回の16連騰をあらためて考えてみます。ここでは、連騰以前のもみ合い相場の背景を探ることがスタートになります。具体的には、次の二つの背景がありました。

(A)政治疑惑報道による安倍政権の弱体化への懸念
(B)朝鮮半島をめぐる地政学的リスクへの懸念

これらの懸念材料を受けて、日本市場のメーンプレーヤーである海外投資家が日本株を売るのではないか(あるいは売っているのではないか)という懸念が強まり、株価が低迷し、あるいは下落する場面がありました。

図4:海外投資家動向

しかし、その後、安倍首相は内閣支持率が底入れしたとみるや、衆議院の解散・総選挙に打って出ました。さらに、報道機関の選挙に関する情勢調査で与党が有利との結果が出たことで、懸念(A)が後退しました。

また、北朝鮮のミサイル発射や核実験が、足もとでは鳴りを潜めています。くわえて、11月上旬には、トランプ大統領が来日し、その後に韓国と中国に歴訪することが決まったことで、米国の軍事的なオプションは当面は採用されないだろうとの見方ができます。これは、(B)の懸念を後退させました。

そうなると、海外投資家は投資方針を、日本株の売りから日本株の買いの方向に戻すだろうという見方になります。実際に、取引所が発表する投資主体別売買動向によれば、グラフ(図4参照)のように海外投資家がここにきて、売りから買いに転じたことが見て取れます(なお、棒グラフは、年初からの海外投資家の売り越し金額・買い越し金額の累計)。

そこに、世界的な景気の回復と、海外株価の上昇が加わります。さらに、日本の上場企業の利益水準は過去最高となる一方、日本銀行の超金融緩和政策は長期に継続すると見られています。

このようにみれば、日本市場には新たな投資資金が流入する可能性が高いと見られます。これは、上昇トレンドが出やすい環境です。

このように、テクニカル指標を参考にしながら、ファンダメンタルズ要因を積み上げていけば、トレンドの有無を見極めやすくなり、その結果として、投資のパフォーマンスを引き上げることができるでしょう。

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