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なぜ、スターツ?その2

なぜ、スターツ?その2

はじめに

先日発表された地価調査。土地価格が二極化していることがさらに明確になった。発表後もいろいろなメディアで、不動産価格の天井やピーク越えの記事が目に付くようになった。実際、東証REIT指数は今年に入ってからずっと下落傾向か続いている。もっと長期で見ると、東証REIT指数は2015年の1月をピークに横ばいまたは下落傾向にあるように見える。不動産のサイクルにおいて、実物不動産が下落し始める半年から1年程度前から、REIT価格が下落し始めるのが通常の不動産サイクルだ。今回も、このサイクルの通りになっていくんだろうか…。

例えば、不動産価格の高騰により、業者のプロジェクトがさばき切れず、行き詰まっており、都内でも分譲マンションの在庫は積み上がり始めている。また、レインズを見ても高層マンションの売り物件がものすごく増えている。

さらに、J-REITによる今年の上半期の不動産購入総額を見ても、2013、2014、2015、そして2016年のそれと比べて、半分以下の4,000億円程度になっている。大手不動産会社の株価は地価調査の発表で含み益に着目している投資家から、割安に映ったようで見直し買い?が入っている。しかし、東証REIT指数への買いは入っていない。これは日本銀行では、緩和の維持が決定され、金利を低く抑える政策が今後も続くものの、アメリカやヨーロッパでは中央銀行の資産縮小が決まっており、出口戦略の発表から金利の上昇が起こっている。

これまで金余りから株式市場を盛り上げていたリスク資産はいったいどこに向かうのか?債券にも一部移っていたり、日系生保や不動産会社ではこの資産縮小の中、円キャリーで成長著しい海外不動産の購入に動いている向きもある。そのような状況の中、今回もスターツプロシード投資法人に関して、さらに細かく見ていこうと思う。

1.スターツのスポンサーサポート体制に関して

前回書いた通り、スターツは1969年創業、既に50年近くある会社。事業内容としては建設や不動産を中心に、ITや出版、それ以外にホテル、高齢者支援や保育事業を行っており、かなり幅拾い印象。

あまり国内のREITには関係ないが海外展開も積極的。世界22カ国、34都市に拠点を広げており、そのそれぞれで住宅仲介や商工仲介を中心に、サービスアパートメントや建設業を行っている。

スターツコーポレーション自体は、リーマンショック後の2009年3月に125円を付けた。直近の高値3,000円と比較すると、約8年で20倍を達成している優秀な会社。グループ会社ではOZマガジンやピタットハウス、アクセス24による物件管理、そして高床免振構造を売りにした建設なども行っている。

スターツアセットマネジメント㈱では、投資法人の資産運用を行っている。また、物件紹介などを行うパイプラインとしては、スターツコーポレーション本体やスターツディベロップメント㈱、スターツCAM㈱などがあり、上場当初25棟、保有物件合計83億円あった資産は、10年以上たち、111棟、保有物件合計873億円まで拡大している。レバレッジの割合を示すLTVも48.9%、有利子負債のコスト比率も0.95%となっており、信用格付けは、JCRであるものの、A-(安定的)まで来ている。

2.スターツの過去5年以上の長期稼働やその収支に関して

まず、賃貸面積の推移とエリア別の稼働率の推移を添付のグラフを使って、上場当初から見てみると、直近一年間の稼働率は地方主要都市の悪化が見られるものの、地方主要都市の稼働率に関しては、これまでも定期的に下落する傾向にある。

ただし、これは地方主要都市の物件保有数が他のエリアを比較して、極端に少なく、賃貸可能面積が小さいため、分散を効かせ、収益や稼働率の安定化を図ることができず、地方主要物件の稼働率にはバラツキができているのかもしれません。今後、ポートフォリオの成長と共に現在の地域別分散状況で2%しかない地方主要物件のバラツキは、あまり気にならなくなると思っている。

一方で、首都圏主要都市や政令指定都市にある物件群の稼働状況に関しては、若干の下落傾向がみられるものの、2007年からの10年間以上稼働率は95%以上をキープしており、スターツのグループ企業であるピタットハウスを用い、運営がうまくできていると言える。

次に、稼働率の悪化に伴い、運営経費の上昇がみられるのか、利益の圧迫があるのか、2007年からその推移に関して調べてみた。


既述の通り、稼働率の変動と経費率の変動にはあまり関係がない。事前に考えていた『地方物件だから、退去後の入居付けに多額の費用が発生している』ということでもないようだ。一般的に聞く、『長期のフリーレントや業者への広告費として、ADの支払いがかさんでいるのでは?』と思ったが、地方主要都市に関しても、首都圏や政令指定都市と同じような経費率70%以上で推移していた。結果的にこれまでの10年に関して、地方の高齢化や人口減少から空室が増えていると言われているが、市況の悪化による影響はないようだ。ピタットハウスがうまく営業できているということなんだろうか。

3.スターツは買いなのか、売りなのかこれまでの情報を基にした判断に関して

スターツプロシード投資法人は、アベノミクスが始まる2013年以前は6~7%台で推移していた。それがここ5年間の配当利回りは5%を中心に最大でも5%後半ぐらいまで売り込まれることもあった。現在の投資口価格は15万円で、配当利回りは5.5%となっています。これらの情報だけでは当法人はそんなに魅力的に映らない。しかし、前回書いたように、親会社は皆が思っているほど弱くない。そのため、当法人がM&Aにより買収される可能性は小さいと判断できる。また、NAV倍率が0.78倍とかなり割安な状態で、市場で取引されている。このNAV倍率0.78倍がいかに割安かと言うと、レジデンシャル系を投資対象としたREITの中では抜けている。

グラフを見ても分かる通り、一般的に、ほかの資産タイプと比べて、安定していると言われている住居系の中でも群を抜いて割安になっている。似たような資産規模のサムティレジデンシャル(3459)と比較しても、配当利回りは負けているものの、NAV倍率はスターツ(8979)の方が低く、将来的に売られにくく、割安と言える。その他の住居系REITのNAV倍率は、最も時価総額が高いアドバンス・レジデンス(3269)が1.33倍、次が日本アコモデーション(3226)で1.17倍となっている。これらのトップクラスの信用性を持ったREITと比較しなくても、スターツプロシードはそこそこの配当があり、NAV倍率から現在の株価はかなり抑えられており、チャンスではないかと思っている。

大学院で街づくりを学び、不動産証券化初期の頃より、鑑定、融資や投資業務に関わり、現在は、不動産投資個人の物件だけでなく、仕事としても収益物件の管理を行っている個人投資家。
本業は2017年春より、玉突き人事にて、外資系企業社長に就任。
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