
「REIT相場に上昇期待?」日経新聞のその後と考察
先日2017年11月11日に、日経新聞に『REIT相場に上昇期待』の記事が載っていた。個人的にREITは将来的な伸びを考えて割安?ではと思っている。
というのも、マイナス金利の更なる深堀は難しく、そうなると金利の先高観と、2018年以降のオフィスの大量供給から賃料や空室率等の不動産ファンダメンタルの良化が見込めないことから結果的に思ったより、収益性が上がらず、投資口価格も反動での上昇はあるかもしれないが、大きくは上がらないのではと考えている。
今回の新聞では、『下値では長期運用の資金による買いが入り始めた。年末にかけて相対的に割安なREIT市場に投資マネーが還流する』と書かれている…。
下値で買ってくれる人はいるかもしれない。でも、買い上がることまで考えている投資家がどれほどいるか。JREITに関するネットニュースが増えたのはサラリーマン投資家のボーナス資金をあてにしたあおり記事に見えてくる。
この記事のもくじ
JREITへの投資主体が2016年11月から一年間でどうなったか実際に調べてみる
投資信託は金融庁からの指摘の入った今年の四月以降一貫して、JREIT売却が進んでいる。記事には、『毎月分配ではない投信の買いが入っている』と書かれている。しかし、そこまで顕著に分からなかった。
むしろ、売り越し金額は毎月増えており、11月に入ってそれが好転したと言われても確認のしようがない。もしかしたら、証券等の担当者の思い込みや思惑などが記事に入り混じっているかもしれない。
ちなみに、記事に出ている野村アセットマネジメントのJREITバリューファンド年2回決算型などは10月から資金が流入しているらしい…。老後の心配が多い現役世代の資金が当JREIT投信に入ってきているようだ。
確かに、スプレッド(JREIT分配金利回りと長期金利の差)の推移を調べてみると、2012年11月以前のアベノミクススタート前は、このスプレッドが4%以上あるのは当たり前だった。それが2017年に入ってから初めて、4%以上に広がったことで、割安と言っている。が、果たしてどうなんだろうか。
投資信託以外の金融機関、生保、損保、銀行に関しては、下記の表を見てもらうと分かるように1,4,7,10月は機械的な売り越し傾向が見られる。ということは、3月、6月、9月、12月末あたりから始めるJREITの空売りは実は効果的かもしれない。
また、記事の中では海外投資家もJREITのスプレッドに注目している旨が書かれていた。確かに、外国人投資家は9月、10月と買い越しをしており、日本の投資信託の機械的な売りを外国人投資家が拾っていっていると見えなくもない。これは正しく、ポジティブなニュース。
そして、年金基金の買いも12月は期待できる。2017年は株が上がり、JREITが下がったので、彼らは機械的なリバランスを実行すると思われており、12月は年度調整を含め実行され、今後買い増しが広がる可能性が指摘されている。
JREITを代表するような個別の投資法人の株価を分析してみる
既述の通り、毎月分配型の投資信託の売却が継続しているため、一般的に優良とされ、これまで買い進まれてきたスポンサーがしっかりしている大型投資法人は冴えない。例えば、日本ビルファンドやジャパンリアルエステイト投資法人が年初来安値を更新し続けている時期もあった。
一方で、配当利回りが高い、信用力が相対的に低い銘柄は買われ、色々と調整が起こっていた。この流れが今後も続くのか、これまでの売買データや市況が明るさを取り戻していないところを見る限り、来年の2018年問題の糸口がもう少し見えてくるところまで調整は続くような気がする。
一般に言われる、プレミアム公募増資を発表し、分配金を上昇させた星野リゾート投資法人は、新株が市場に出回る中、株価の調整が行われた。しかし、最近はこの配当利回りの上昇を評価されてか、価格が戻ってきている。オリンピックを含め、日本観光やインバウンドについては、今後も一定程度の需要が見込めるため、配当金及び投資口価格は安定的に推移するかもしれない。
JREITの取得や市場での活動を調べてみる
日経新聞にJREITは買い!の記事が出る前日にケネディクスレジデンシャルとジャパンシニアリビングの合併がリリースされた。個人的にこの一ヶ月で発表されJREIT内のニュースの中ではこれがインパクトあった。
元々、ケネディクスはジャパンシニアリビングにも絡んでいたので、この合併はそれほど驚くニュースではない。しかし、合併比率を考慮し、ジャパンシニアリビングやケネディクスレジデンシャル共に株価が急騰している。
この合併を皮切りに、NAV倍率が低迷している企業は他社と合併するのか、又は自社株買いを発表するのか等、対投資家に対して何かしらのアクションを取らざるを得ない状況になりつつある。
NAV倍率が妙に低い銘柄としては、以前、分析したスターツプロシード投資法人は15万円前後だった投資口価格が、現在では16.6万円まで上昇しており、2か月間で10%の上昇を見せている。
ちなみに、日本ヘルスケア投資法人もNAV倍率が0.82と低く、下値不安が少ない銘柄だと言える。同じように、グローバルワン投資法人もNAV倍率が0.82とオフィス主体の投資法人としては、異様に低く、自己投資口の取得を行うことを発表した。これにより、来期の配当は7,900円から7,990円まで90円上昇すると予測されている。
現在もそうだが、この投資法人は1口NAV及び1口当たり純資産額に対し、投資口価格が0.82と相対的に下回っているため、潤沢な??手元資金を活用し、1口当たりNAV及び1口当たり分配金の向上を図ろうとしている。
JREITへの投資の成否を自分なりに分析してみる
現在の投資のトレンドである高配当でNAV倍率の低い下値目途がある程度付きそうな銘柄への投資はタイミングを見つつ、個人的にはしていきたいと思っている。
例えば、配当利回り6.0%以上で、NAV倍率が0.86倍と低いトーセイリート投資法人や同じくサムティレジデンシャル投資法人に関しては今後も思ったより健闘するのではと思っている。
一方で、これまで買い進まれてきた大型投資法人に関しては、引き続きタイミングを見ていきたいと思っている。今回の日経新聞の記事で各投資法人の投資口価格は短期的に上昇した。しかし、投資家別売買動向を見ていると、大きな変化はなく、投資信託の売りは継続しており、外国人投資家の買いが入っているがこれらが続くのか確認してから動いても遅くないと思っている。
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