
J-REITはここから数カ月の軟調が予想される
今年に入ってから金融株、不動産株やJ-REITとインフレ期待による資産株の上昇がすごい。年始に1670程度だった東証REIT指数は、直近高値1780程度まで6.5%上昇した。去年の11月の中旬にNAV1倍程度の1600程度まで約一年間掛けて下落し、そこを起点に上昇に転じている。
しかし、ここからは色々な年度末特有のイベントがあり、J-REITの更なる上昇は難しいのではと考えている。
決算対策による利益確定の売り
1月の配当期日以降、2月は公募増資や上場が2本も予定されており、投信を中心にセカンダリーで購入するため、今持っている資産の売却が予想される。結果的に、需給悪化による軟調な相場展開が予想される。
さらに、年度末決算に向けた保有資産の売却も出てくると思っている。ちなみに、去年、初めから軟調だったJ-REITは4月の中旬まで売られ続けていた。ただ、2016年は同じ期間にそこまで売られている形跡はない。
日銀の緩和縮小?でスプレッドが縮小し、下落
日銀による金融緩和も年内縮小のうわさがちらほら上がってきているようだ。既に、為替の方に影響が出ており、ドル安が一方的に進んでいる。ただ、緩和縮小に伴い円が全面高になっているような感じはなく、ドルが一方的に安くなっている。日経ヴェリタスがまとめた日銀の引き締めに関するタイミングでは、今年の12月以降いよいよ行うのではないかと考えている人が過半数以上となっており、いよいよという感じだ。今年は何かとこの件がメディア等に触れられそうなイメージ。
ちなみに、引き締めの中身に関しては、ゼロ金利政策が撤廃され、利上げが予測されており、これまで苦しんでいた金融機関にとってハッピーな内容になるらしい。一方で、ETFを通した資産購入の規模縮小も予想されており、株式市場にどのような影響が出るのか楽しみだ。
オフィスビル大量供給の2018年問題による市況の悪化で、下落
いつものように、三鬼商事が毎月発表しているオフィス市況をベースに分析すると、新築物件と既存物件のテナントの入れ替えが起きているようだ。具体的には、下記のグラフと表を見てもらうと分かる通り、去年の10月から既存物件の稼働の悪化と、新規物件の稼働の良化が同時に起こっている。募集賃料はおおむね良化傾向にあるものの、新築物件への入居契約を急ぐあまり、条件が悪化する可能性もある。結果的に、REIT適格な大型物件はもしかしたら多少成長の鈍化がみられるかもしれない。
2017年は年初の金融庁のご指導の下、証券、銀行、信託が新規営業を止めた毎月分配型の投資信託の調整売りのため、これまで買われていた格付け上位の優良銘柄が一年を通して、大きく売られた。
その一方で、NAV倍率が1倍を割っているような一般的な割安銘柄が買われ、利回りが大きく低下した。それでも、NAV倍率が0.9倍を切り銘柄まだ多く、当初思われていた以上にまともだった割安銘柄への投資家が増えており、実はこれらの銘柄は年度末の影響を受けづらく、底堅く推移するものと思っている。いつものように、個人的には長期で上場しており、NAV倍率が0.85倍と非常に安い価格帯で推移している、スターツプロシードを押している。
また、先週末24日に積水ハウスがスポンサーとなっていた、積水ハウスリート投資法人と積水ハウスレジデンシャル投資法人が合併を発表した。翌25日から投資口価格が大きく窓を開けて、上昇していて、正直驚いた。大手企業の合併は凄いインパクト。発表によると、『今後はレジデンス、オフィスビ、そしてホテルを主な投資対象とする総合型REITとして、運営し、積水ハウスグループの総合力を活用し、更なる成長を目指す。』と書いてある。
これは、野村不動産の時もそうであったように、一時的に小分けに上場していた投資法人は不動産市況が高騰しており、外部成長が難しい状況の中、スケールメリット等でコストカットを受けるために、一体化する流れが出てくるかもしれない。投資家が受ける合併に伴うデメリットは合併に伴う端数株の発生とグループ間の合併なのに、合併費用が掛かることぐらいで、メリットの方が大きい。具体的には、今後の分配金が上昇する可能性が非常に高い。
それは、上記の通り、不動産運営だけでなく、資金調達時も含めた、各種コストカットが出来、今回合併と共に発表した物件の入れ替えにより、その譲渡益が分配金に上乗せされると予想できるから。さらに、今回の合併で資産規模が4,000億円以上になり、J-REIT市場ではトップ10ぐらいの資産規模になる。
リーマンショック後のように、J-REIT各社は、配当が減るネガティブな増資は極力控えてきた。その為、今後市場が調整局面を迎えた時に、市場には投資適格な物件が比較的安く売りに出ているのに、資産規模が大きくなると、増資に伴うコストの低減と、出資額の増加の影響が薄まっており、分配金へのネガティブな影響を最小限にとどめることが出来るからだ。
さらに、積水ハウスリートに至っては、物件数が少なく、6棟で資産規模2,000億円と分散が余り出来なかったが、合併により、レジデンシャルを追加することで、100棟超、資産規模4,400億円となり、分散効果が大きい。その為、今回の合併により、安定的なキャッシュフローを構築でき、公募増資を使い、スポンサーである積水ハウスの物件を購入し、安定的な成長の基盤を確保できたとみる。更に、スポンサーである積水ハウスに関しても、大型REITのスポンサーになることで、今後は開発を積極的に行うことが出来、業績の安定、利益の確保が出来るようになる。発表後から株価調整を続けているがこちらも地味に楽しみ。
積水ハウスの合併のリリースと異なり、大和証券グループによるサムティレジデンスへの出資も驚いた。大和証券Gは上場・非上場を含め、多くの投資法人のスポンサーになっていて、今回で5社目になる。例えば、大和証券オフィス投資法人、日本賃貸住宅投資法人、日本ヘルスケア投資法人と今回のサムティレジデンシャル。そして、私募REITである大和証券レジデンシャル・プライベート投資法人にもスポンサーになっている。同社は不動産アセットマネジメント事業の更なる拡大を目指すようだ。
個人的には、今回のスポンサードにより、もしかしたら、サムティレジデンスも穴場かもしれないと思っている。なぜなら、NAV倍率は0.9倍で、配当は5.8%とかなり出している。今は市況だけでなく、1月の権利落ち後調整局面に入っているが、適切な所で拾っておくのも悪くない。
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