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REITの凋落とスターツプロシードの強襲が続いた10月相場

葉山
葉山
REITの凋落とスターツプロシードの強襲が続いた10月相場

1.現状のREIT相場に関して

REIT市場は非常に厳しい状況にある。今年7月につけた1620、そして、今月付けた1619と2016年1月以降、3度目のNAV1倍を切る1600下抜けにトライしているかのように見える。ちなみに、投資法人によっては既に2014年や2015年レベルまで下落しており、3、4年ぶりの安値を更新している。

これには、後述する実体以上に、様々な要因で需給の悪化が関係していると思っている。なぜなら、まず、三鬼商事が毎月発表している以下のグラフを見てほしい。

2014年以降稼働率、募集賃料共に上昇してきている。つまり、現在は不動産ファンダメンタルに関しては、良化傾向にあると判断できる。

ただ、都合が悪いことに、来年はアベノミクス発足以降に計画された大型ビルの大量供給が始まり、需給がかなり悪化することが既に予想され、不動産ファンダメンタルの悪化もありうる。

次に、今年の春先より始まった投信の不買運動や解約による資金の流出がかなり尾を引いているようだ。

また、日経新聞が9月に報じたように、REIT市場の下落により、これまで買っていた地銀、信金などの金融機関によるロスカットが始まっているようだ。特に、1600を切るとその流れが顕著になると思われる。

最後に、直近2カ月程度の日経平均等株式市場の好調さから、資金の流出がかなり起こっているようだ。アメリカの利上げに続き、先週、ヨーロッパでも緩和の引き締めがにわかに始まり、唯一緩和を続けている日本に関しても、黒田さんの任期が終わる2018年には、現在の経済成長を鑑み、長期金利の誘導目標が切りあがるかも?と言われ始めている。

以上、様々な悪い要因からREITは調整を続けており、8月初旬の戻り高値と比べて現在、約5%の下落となっている。この流れを変えるのはなかなか難しいと考えている。

2.スターツプロシード投資法人に関して

一方、先月必死に研究したスターツプロシード投資法人は9月末に、物件の入れ替えを発表し、同時に業績・配当を修正したことで、決算月である10月は非常にいい成績だった。私が投稿し、説明した時は15万円を切っていたが、この一ヶ月で高値16.3万円を超えるまで、8.6%の上昇を示した。もちろん、配当は取らずに売ってしまったが。。。スターツは権利落ち後に下落した。しかし、まだ下がり切っていない感がある。その為、安定的な投資口価格の水準になるまで、しばらく様子を見た方がいいと思っている。

1.で書いたように、来年以降金利の調整が世界中で進む可能性が高く、REITもその影響を避けることは出来ないと思っている。したがって、個別銘柄と投資のタイミングは厳選して投資しなければ、今後は利益を出すのは難しいと思っている。

3.今後のREIT相場に関して

2020年のオリンピックまで大崩れはない?ものの、今年から来年2018年にかけて、REIT市場の調整はさらに進むと思っている。それは、現状がいかに割安だと思われても、金利の調整や需給問題から一旦誰も買い向かわない状態になりそうで、1600を切ったら、フリーホール状態での調整になるかもしれない。

その際に、ヘッジファンドによる購入がこれまで同様に始まるだろう。現時点では、それがどのレベルで始まるかは分からない…。ただ、NAV倍率の推移を見てみると、2009年のリーマンショックの時につけた0.6倍は異常として、2011年の東日本大地震の時につけた0.8倍程度までは有りえるかもしれない。

単純に計算すると、REIT指数1300程度までの下落を今後数年でつける時が来るかもしれない。その時をヘッジファンドはREIT市場への再投資のタイミングとして、じっくり待っているのかもしれない。

ちなみに、現行の分配金から下落時の利回りを計算すると、5.15%程度まで上昇することになり、税金を払った後、5%程度なので、案外信ぴょう性がありそうな数字…。

4.まとめ

この章にたどり着くまでに、既に書いてしまったが、先日の選挙で安倍政権が継続することに決まったものの、REIT市場にはネガティブに働いた。個別銘柄に関しても、相当厳選し、タイミングを見て、投資を行わないと痛い目に合いそうだ。

と言うのも、日本の賃貸借契約を見てみると、たとえ、事務所であっても賃料の上昇は難しく、以前2007年も賃料の上昇を見越した外資が投資をしたものの結局上がらず、投資口価格の調整が始まったのは有名な話だ。

ところで、2012年から始まった固定買取制度を使った太陽光等の再生可能エネルギーなどの売電による収支で成り立っているインフラ投資法人が最近非常に安定している。3銘柄、タカラレーベン、いちごグリーンと日本再生可能エネルギー、上場している。

これらは今年の半場までは調整が続いていた。しかし、ここ数カ月はじっくりと買われており、配当利回りが7%を切る水準まで来ている。これは、高配当REITと同水準で、いよいよインフラ投資法人が世間に認められてきた感がある。

その為、今月末に上場するカナディアンソーラーインフラ投資法人が、上場後どのような動きになるのか楽しみだ。これまでのインフラ投資法人は上場後売られていたが、今回は案外底堅い動きを見せてくれるかもしれない。

実は、この現象は他の投資法人でも起きている。例えば、スターアジアは一時8%を超えるまで売られていたが、期末が終わりは分配金の調整と共に、7%を切る水準となっている。他にも、さくらやインヴィンシブルなどが一時7%以上まで売られていたが、現在は6%中旬まで買われている。

東証REIT指数が調整を続ける中、インフラ投資法人や信用力の少ない中小の不動産投資法人が7%を切る水準まで買われているのはなぜか?

それは、既述の投資信託や地銀・信金・信組が買っていた信用力の高い投資法人が売られ、格付けなど信用力の低いものの、配当利回りが高い投資法人が買われる流れになっているからだと思う。

超低金利の中、各金融機関の本業の収益は厳しく、これらの投資法人を買わなくてはいけない状況で、将来、何かあった時、大きなロスにつながる可能性が高い投信法人を仕方なく購入している可能性が高い。ただ、しばらくはこの投資法が安泰かもしれない。個人もこの流れにどう乗るか考えなくてはいけない。

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