
不動産市況の活況と、海外投資家の安定的な購入が続いているJ-REIT
アメリカと中国の貿易摩擦や季節的な要因もあって、株価指数等の急落があったものの不動産市況に悪影響はなく、大型オフィスビルへの移転が着実に進んでいると前回書いた。
今回は、まず、その後の市況について書き、次に、直近上場の投資法人として、最後に、現時点でお勧めできる銘柄とその傾向について触れようと思う。
安定上昇中の東証REIT指数
先日4月の最終27日に、東証REIT指数は2018年2月末に付けた1728の戻り高値を更新し、好調なオフィス市況を背景に、今後も順調に推移し行くと個人的には思っている。
今のJ-REITの市況等を話す上で、とても大切なことは金融庁の指摘によって、2017年終始続いた毎月分配型の投資信託による売却がかなり進んだことだろう。2017年1月に1868だった、東証REIT指数はその後継続的に売られ、2017年11月に1603を付け、約15%の下落をみせた。途中、7月にもボトムを付けたものの、その後も売られていった。日経平均が好調な年だったので、J-REITの弱さが目に付いた一年であった。
しかし、下落が続いたJ-REITに抜け目なく、目を付け、投資していたのが外国人投資家だ。当時の米国は、利上げが続いているものの長期金利は2.0%程度まで下落しており、将来的に政策金利同様に高くなっていきそうな勢いであった。その為、配当利回りと債券利回りのスプレッドの縮小が進んでおり、REIT自体への投資妙味が薄れていくと思われた。
現に、US-REITは去年の今頃と比べると、10%近く下落している。本来は金利上昇時には賃料収入も上がるものだが…。そのためか、最近、日経新聞にも書かれていたが、外国人投資家は去年の夏ごろからJ-REIT継続的に買い続けていた。添付の棒グラフを見てほしい。マイナス金利導入を機に買われたJ-REITは投資信託の買いが入っていたものの、その後一年半継続的に売られていた。
改善基調が続くオフィス市況
毎月、三鬼商事が発表しているオフィス市況を見てみる。2017年の夏ごろから新築オフィスビルの稼働率の良化が続いており、空室率が10%を切るレベルまで来ている。これまで何度も、このレベルを越えられるかどうか、抜けてもなかなかその水準で安定していなかったので、今回はどうだろうか?
個人的には、今回は結構強いと思っている。なぜなら、既存のオフィスビルの市況が依然と異なり底堅いからだ。前回、空室率10%を目指した時は東日本大地震が終わり、アベノミクス直前の2012年だった。その時は既存のオフィスビルの空室率が高止まりしていて、募集賃料の下落も続いていたからだ。
今回は、既存のオフィスビルに関して、ほぼ満室状態の空室率3%を切る水準で安定的に推移しており、募集賃料も上昇傾向が続いているからだ。その結果、テナントは増床や移転を継続しており、新築のオフィスビルの市況の良化が今後も続いていくと思われる。
直近IPO銘柄は?
まず、外国人投資家の買いが入り、国内の不動産市況が良好な中に上場したいくつかの銘柄に関してその後の動きを見てみる。
正直、直近上場の銘柄は冴えない。例えば、2月に上場したCREロジスティックは多少上げているものの、同じく2月に上場したザイマックスは横ばい、11月に上場したカナディアンソーラーも同じく、横ばいで推移している。期待が高かった三菱地所物流は下落基調となっている。
一方で、王道、特にオフィスビルに特化して投資している投資法人は上昇基調だ。例えば、日本ビルファンドやジャパンリアルエステイトなどの投資口価格は好調のため、市況を踏まえ、今後も持っていていい銘柄だと思っている。さらに、中でもNAV倍率的に、割安に放置されているグローバルワンは最近好調著しい。保有物件は大きな物件が多く、今後の市況で更に映えるのではないか?
一方、老舗銘柄であっても、時代の流れから商業系主体の日本リテールファンドなどは横ばいではあるが、厳しいと思う。また、一時騒がれたホテルへ投資する法人も全体的に落ち着いている。現在もホテルの稼働は活況なものの新規供給が多く、収支や賃料が伸びない。先日、浅草近辺の市場を調べた時も花やしきの周りに10個ぐらいお知らせ看板が出ており、その殆どがカプセルホテルや簡易宿泊所、ホテルだったのを見て、その供給の多さに事業の撤退を提案した。いくら何でもこんなにホテルが建つと浅草近辺でも厳しいと思ったからだ。
さらに、電子商取引の活況で物流倉庫に関しては相変わらず、安定している。しかし、好況であっても賃料の伸びがない。その為、市況の良し悪しに左右されないものの今のような回復・成長局面ではあまり買い進められない。
現時点で考えられる優良投資先とは?
これまで見てきた中で、しばらくの間は海外の金利差や国内市況の影響からオフィスビルへ投資を行っている銘柄が手堅いのではないかと思う。その中でも、これまで日の目を見ていなかったグローバルワン、そしてインベスコやONEリートだろうか?もちろん、迷ったら、日本ビルファンドやジャパンリアルエステイトもきちんと買われていくと思う。
ちなみに、インベスコはNAV倍率が相対的に低い割に配当利回りが6%近く、買われる要素が高い。一方、シンプレクスインベストメントアドバイザーズからみずほ信託にスポンサーを入れ替えた、ONEリートも正直物件自体は??だが、投資口価格は安定的に推移しており、今後のオフィス市況次第では面白い存在だと思う。
その他、ホテルや商業施設は厳しいと思っているので、空売りしてもいいかもしれない。物流施設はニュートラルで。
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