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空売りを使った株主優待クロス取引[第12回]

空売りを使った株主優待クロス取引[第12回]

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結論から言えば、株価下落を避けてかつ株主優待を獲得する方法といえば、もう逆に知らない人の方が少ないかもしれませんが、ちまたでいうところの株主優待クロス取引となります。簡単に手法を掲載しておきます。

まず空売りの基本を抑えておこう

この手法はあくまでも優待権利日のみに着目する投資法であり、ちまたでは「優待タダ取り」というような言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。簡単に言えば両建てのポジションを持つということになり、この場合は一般的にクロス取引とも言われております。 「両建て?」と言われても一体、投資初心者の方には何の事かわからないという方もいらっしゃると思いますが、簡単に言えば「空売り」を使うということです。「空売り」とは、言葉の如くカラ(実際には株券を持っていない)の状態で売るという意味で、FX取引では「ショート」と言われるものになります。

空売りの大まかな流れ

実際にその空売りの手順は以下のとおりになります。

  1. 最初に証券会社から、ある銘柄の株券を100株借りてきます。
  2. すぐに証券取引所を通じてその株券を売却します。(例えばカゴメ株価3,500円で売却(カラ売り)できたとします。)
  3. その後、3,000円まで下落したとします。
  4. そこで、証券会社を通じてその株券を3,000円で100株購入します。
  5. 1.で借りた株券をそのまま返却します。
  6. 手元には(1.の売却代金3,500円 - 4.の購入代金3,000円)×100株=50,000円の差益が残ります。(*手数料・税金等は考慮しておりません。)

以上のように、いまさらでありますが、とにかく、空売りとは株価が下落すると利益になるということだけを理解していただければと思います。ちなみに株価が上昇すれば、逆に損失となります。

株主優待獲得への道のり

では、実際にどのような仕組みで株主優待を獲得できるかを時系列に沿って説明していきたいと思います。

前回、記載した大和証券グループ本社は3月末と9月末の権利確定日の株主優待になりますから、3月28日が優待権利日になりましたので、その日までに708円(3月28日の場合)×1,000株で現物買い注文(優待を獲得する株数)と同時に708円×1,000株の信用売り(カラ売り)注文を前場が始まる9時までに成り行き注文(購入価格はいくらでも構わない注文方法)でオーダーします。(実際に私は3月28日の寄り付きに注文を出しました。)

そして翌日の3月29日に反対売買(現物買い→現物売り・信用売り→信用返済買い)をするのが一般的でありますが、この場合において、信用取引の決済(株券の返却方法)の仕方に現渡しというコストがかからない手法を用います。

この現渡しという手法は、簡単に言えば、そもそも前述したように信用取引の売り(カラ売り)という行為は、株券を借りて売って現金化しているようなものでありますので、最終的にその株券を返せばいいので、ここで同じタイミングで購入した現物株をそのまま返却するということであります。

手数料だけで株主優待がゲットできる取引

なお、一般的には、株価は権利確定日の翌日には下落しますが、前述しましたように買いと売りの両建てのポジションを持っていますので、仮に現渡しでなく、反対売買で返済した場合しても株価がいくらになろうが手数料等を除けば損失はしません。

実際に翌日の株価で検証すると、場が始まる9時の初値は705円でありましたので、前日の現物買い注文の損益は、(705円-708円)×2,000株=-6,000円になりますが、信用売りの注文の損益は、(708円-705円)×2,000株=+6,000になりますので、トータルプラスマイナス0円となることがわかります。

仮に9時の初値が710円の株価になったとしても、現物買い注文の損益は、(710円-708円)×2,000株=+4,000円になりますが、信用売りの注文の損益は、(708円-710円)×2,000株=-4,000円になりますので、結果は同じになります。

そして、現渡し後は最後に3ヵ月後ぐらいに株主優待として、2000株でありますと、片2,000ポイントの使えるカタログが自宅に送付されてきますので、商品ではなく大和ポイントプログラムを選択します。ちなみに、配当金については、残念ながら、両建てのポジションを持って権利日を確定することから、カラ売りに対して配当落調整金の支払いが生じるので、基本的には優待のみが獲得できる手法になります。

それでは、ここまでの優待に係ったコストを最後に検証してみたいと思います。

  • 現物買い手数料 781円(現渡しをするので反対の売り手数料はかからない)
  • 信用売り手数料 622円(現渡しをするので反対の信用買い手数料はかからない)
  • 逆日歩 0円(*一般信用活用)

合計1,403円になります。

信用売の手数料について考える

信用売りには、手数料が安い全てのネット証券で使用できる制度信用売りと一部の証券会社で使用できる一般信用売りがあります。

私の場合は、同じ信用売りでも手数料が安い制度信用の売りではなく、逆日歩といういわゆる金利が高額になることもあり、大型株でも絶対にかからないとは言い切れないので、どうしてもリスクを最小限にしておきたいことから、今回は一般信用の売りが使えるカブドットコム証券を活用したところであります。

ちなみに一般信用取引は、松井証券やSBI証券、ここ最近では、楽天証券でも一般信用の売り注文ができるようになっておりますから、使い勝手や手数料で比較する方がほとんどであります。ステージによっては、手数料が無料になるカブドットコム証券、あるいは50万までとか100万円までの間で手数料が決まっている松井証券の利用が私の周りでは多いところであります。

なお、コストに関しましては、信用取引手数料無料のキャンペーンや株主優待の物株式手数料のキャッシュバックでさらに削減ができますし、さらにはそもそも現物買いをするときに実はそのまま現物買いをするのではなく、信用買いをした後に現引き(品受)を使うと、手数料を安く迎えられることが多いので、実際にクロス取引が慣れてきたら、このあたりのコスト面もいろいろ比較していただければと思います。

個人的にはGMOクリック証券での一般信用の売りができるようになると、こちらも手数料がそもそも安く、GMOグループの傘下のGMOクリック証券においては、そのGMO自体の子会社の数社がGMOクリック証券での手数料を軽減する株主優待を導入していることから、導入の暁には、カブドットコム証券でのステージが無料等に満たない月においては、株主優待クロスをGMOクリック証券にシフトする方向性で検討しております。

主要ネット証券の手数料比較

参考程度ですが、主要なネット証券の手数料について、記事執筆時点での内容を掲載しておきます。最新の手数料については、各証券会社の公式HPで確認するようにしてください。

カブドットコム証券手数料(2017年5月現在)

カブドットコム証券手数料

松井証券手数料(2017年5月現在)

金融商品取引所での信用取引(制度・無期限)は、現物取引とあわせた1日の約定代金合計により手数料が決定する「ボックスレート」が適用されます。1日の約定代金合計が一定範囲なら、何回取引しても定額料金です。
※上場投資信託(ETF)・上場投資証券(ETN)・不動産投資信託(REIT)も準じます。

【ボックスレート】

1日の約定代金合計金額手数料(税抜き)
10万円まで0円
30万円まで300円/0円(※)
50万円まで500円
200万円まで2,000円
100万円増えるごとに1,000円加算
1億円超100,000円(上限)
  • ※ 1日の株式約定代金合計が30万円まで無料となるのは、新たに信用取引口座を開設してから6カ月後の月末までです。
  • ※ 信用取引口座を開設して6カ月以内に口座を閉鎖した場合には、閉鎖日以降の取引については当該無料の対象とはなりません。
  • ※ 信用取引口座を閉鎖後、再開設を行った場合には、原則として当該無料の対象とはなりません。
  • ※ 信用取引口座の開設には審査があります。審査結果によっては、「信用取引口座」の開設をお断りする場合があります。

追伸

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