
景気の先行きを予想できる?重要指標「イールドカーブ」とは
債券市場を理解する上で非常に重要なのが「イールドカーブ」の概念です。日本銀行(日銀)では大規模金融緩和の一環として、イールドカーブの操作を目指すイールドカーブ・コントロールを導入するなど、イールドカーブは、今後の市況を読み解く上で、非常に重要な指標の一つと言えます。
今回は、イールドカーブの基礎知識と、日銀が進めるイールドカーブコントロールがどのようなものかを見てみましょう。
この記事のもくじ
「イールドカーブ」は債券の残存年数と利回りの関係
イールドカーブとは、債券の残存年数と利回りの関係を表した曲線です。表の横軸に債券の残存年数、縦軸に利回りをとってグラフを描写します。
債券金利は短期金利に比べて長期金利が高いため、イールドカーブは右肩上がりになります。この右肩上がりの曲線のことを順イールドと言い、短期金利が長期金利を上回ってイールドカーブが右肩下がりの曲線を描いている状態を逆イールドと言います。
イールドカーブが急傾斜になるスティープ化
イールドカーブは基本的に右肩上がりの曲線を描きますが、長短金利の金利差が広がることで曲線が急傾斜になることがあります。これを、イールドカーブのスティープ化と言います。
これに対して、長短金利の金利差が縮小してイールドカーブが直線に近づくことをイールドカーブのフラット化と言います。
イールドカーブから景気動向を予想する
一般に好況時には需要が供給を上回るので、物価が継続して上昇するインフレ状態になります。
インフレが続くと景気過熱やバブルを招くため、金融当局は金利引き上げなどの金融引き締めによりインフレにブレーキを掛けます。そのため、長短金利の金利差が拡大しやすく、スティープ化が見られれば景気拡大を示唆するものと考えられるのです。
イールドカーブのフラット化は景気後退のシグナル
イールドカーブのスティープ化は景気上昇のシグナルと捉えられますが、反対にイールドカーブのフラット化は景気後退のシグナルと捉えることができます。
景気後退局面では供給が需要を上回って物価が継続して下落するデフレになるので、需要喚起のために低金利に誘導する金融緩和を採用します。長短金利の金利差が縮小してフラット化が見られれば、景気後退を示唆するものと考えられるのです。
日銀が導入した「イールドカーブ・コントロール」
日本銀行(日銀)はアベノミクスの一環として、「量的・質的金融緩和(異次元緩和)」の名目で、資産買い入れの大幅な拡大による資金供給を続けてきました。当初は大きな効果を発揮した異次元緩和ですが、その効果が薄れてきたことから2016年9月の金融政策決定会合で新たに導入したのが「イールドカーブ・コントロール」です。
これは、2016年1月に導入したマイナス金利政策に加えて、10年物国債の金利が概ねゼロ%程度で推移するように買い入れをすることで、金利全体の動きをコントロールすることを目指す政策です。
徐々にスティープ化へアプローチ
時系列別に日銀の政策を振りかえってみましょう。異次元緩和の導入当初から、需要喚起を目的とするイールドカーブのフラット化を目指す政策は積極的に導入されていました。
イールドカーブ・コントロールの導入は、それまでのフラット化ではなくスティープ化に舵を切ることで、低迷している資金需要を喚起する方針への転換を示唆しています。日銀は積極的にイールドカーブにアプローチする金融政策を導入しているのです。
まとめ
イールドカーブは市況を読む上で非常に重要な指標であり、その状態を確認すれば債券市況から景気の先行き、さらには金融政策の動向の予測までできます。
数ある指標の中でも比較的理解しやすい指標でもあるため、イールドカーブを理解して、投資の精度を高めていきましょう。
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