
テニス生まれの経済用語?「ウィンブルドン現象」とは
日経平均株価が2017年秋に連騰記録を更新し、10月には16営業日続伸の大相場を記録して、株価もバブル崩壊以来の高値をつけています。一方で、国内投資家はこの流れを素直によろこべないことも事実です。投資部門別売買動向を見るとこの動きを牽引しているのは外国人投資家であることは明らか。
今回は、日本の株式市場を取り巻く現状と、それを端的に表すウィンブルドン現象について詳しく見てみましょう。
この記事のもくじ
海外勢が優勢の状況を表す「ウィンブルドン現象」
ウィンブルドン現象とは、テニスにおける四大大会(グランドスラム)の一つであるウィンブルドン選手権の状況を揶揄した言葉です。
ウィンブルドンはイギリスで開催される歴史ある大会ですが、海外勢に門戸を開いてからの優勝者は毎年のように海外勢が続いています。このように地元勢が海外勢に勝てない状況を揶揄して「ウィンブルドン現象」といいます。
さまざまな場面で現れるウィンブルドン現象
市場経済でもウィンブルドン現象と同様の現象が起きています。例えば、日本が海外の投資銀行に門戸を開いたことにより、企業の買収・合併(M&A)業務のシェアが奪われるようなことがあれば、これもウィンブルドン現象の一つと言えます。
株価上昇の恩恵は海外勢が独占
このところの株価上昇の恩恵を最も色濃く受けているのは海外勢です。これは、バブル期と現在の国内株式市場が様変わりしていることを示唆します。バブル期の国内市場に占める海外勢の取引高は10%程度だったのに対して、現状では70%前後を占めていて、現状の国内株式市場の最大の資金の出し手は海外勢にシフトしています。
投資部門別売買動向を見ても、うまく立ち回る海外勢と裏腹に、個人投資家は乗り遅れる傾向が明らか。日本のマーケットにおいても、ウィンブルドン現象が顕在化しているのです。
ウィンブルドン現象は長期的な傾向
バブル前からの過去30年間を振りかえると、2016年までに海外勢は累計74兆円を買い越しているに対して、国内勢は63兆円を売り越しています。リーマンショック後に一時株価が8,000円台を割り込んだことを考えても、アベノミクスがはじまってからの株価上昇が海外勢による上昇であることは明らか。国内勢で買いに回っているのは年金基金と日銀がメインです。
個人投資家の買いが広まらない以上、日本の株式市場もウィンブルドン現象が進行していると言わざるを得ないでしょう。
金融におけるウィンブルドン現象はイギリスが顕著
金融におけるウィンブルドン現象は、イギリスが最も顕著な例と言えます。1980年代にサッチャー政権は、金融ビッグバンと呼ばれる金融市場の大規模な規制緩和を行いました。
金融ビッグバンより海外の金融機関がこぞってイギリスの金融機関の買収に動いたことで運用残高の急拡大が急速に進み、イギリスの金融街であるロンドンシティーは世界でも有数の金融街となっています。
ウィンブルドン現象は悪いこととは限らない
衰退の象徴とされるウィンブルドン現象は悪い印象を持たれがちですが、グローバルな目線で見ると必ずしも悪とは言い切れません。なぜなら、中長期的に国際競争力をもたらすことになるからです。
市場経済は競争の原理の下に成り立つので、国際競争力のない企業は淘汰されてしかるべきと考えられています。中長期的な視野に立って考えれば、ウィンブルドン現象は必ずしも悪とは言えない側面もあるのです。
まとめ
経済のグローバル化により、日本の株式市場やイギリスの金融市場のように、ウィンブルドン現象が進んでいるセクターは世界各国で散見されます。
しかし、競争力のない企業が淘汰されるなどの効果が期待できるため、ウィンブルドン現象は必ずしも悪とは言い切れません。
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