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日本経済にも影響を及ぼす、「移転価格税制」を詳しく解説

日本経済にも影響を及ぼす、「移転価格税制」を詳しく解説

徳田陽太
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株の知識レベル:★★★★★

移転価格税制は、多国籍企業にとって非常に重要な問題です。移転価格税制を取り巻く環境は複雑で、国内の大手企業も課税を巡り、国税局と争うケースがありました。

近年では、国税庁が移転価格税制について、相談窓口を設置する等、問題解決に動き出しています。多国籍企業にとっては、二重課税問題に発展する可能性もあるゆゆしき問題です。

ここからは、移転価格税制の基礎知識、その問題点や現状について確認して行ければと思います。

移転価格税制は、多国籍企業による租税回避を防ぐための措置

移転価格税制は、多国籍企業による租税回避を防ぐための措置のことを言います。法人実効税率の高い国内に比べ、タックス・ヘイブンで商品を販売した方が、課税額は少なくなりますよね。これによる、租税回避を防ぐ措置を移転価格税制と言います。

多国籍企業が持つ国内法人が、同社傘下の海外グループ企業に安く商品を流す訳です。ちなみに、本邦法人と海外法人におけるグループ間取引を移転価格と言います。この価格を安くすることで、海外での販売利益を大きくする。そうすることで、租税回避の抜け道的な存在になるのです。

移転価格は第三社への取引価格と同額とみなされる

では、移転価格は企業間で自由に設定することができるのでしょうか。実際には、移転価格操作の効果は限定的です。理由は、第三者への販売価格が移転価格とみなされるからです。

仮に、国内に籍を置く多国籍企業が、安く海外の子会社にA商品を販売したとしましょう。一方で、第三者には、移転価格よりも高い価格でA商品を販売したとします。このようなケースでは、後者の販売価格が移転価格とみなされる訳です。

よって、恣意的な移転価格操作の効果は限定的と言えるのです。ちなみに、移転価格と第三者への販売価額の差額分に課税することを更生と言います。

更生を受けた際には二重課税リスクが発生

上述したように、海外子会社への販売価格よりも、第三社への販売価格を高めに設定した場合には、更生で追加課税されます。この際には、日本国内で差額分を課税されることになります。

では、海外子会社における課税額は減少するのかというと、その限りではありません。追加課税される差額に対しては、両国ともに課税されます。つまり、更生を受けた場合には二重課税リスクが発生するのです。

日本の法人実効税率は、対外的に見ても高額であることが特徴です。しかし、このようなケースでは二重課税の影響で、日本の法人実行税率を上回る課税リスクがあるのです。

移転価格の設定は年々複雑化している

移転価格の設定を上手に行うことで、国内本社と海外子会社間で課税額が変わります。また、籍を置いている国によっても、税制が異なります。

日本の高額な法人実効税率を鑑みれば、利益の海外移転は得策とも言えます。しかし、上述した二重課税問題に発展する等、課税額増大のリスクも内包しています。

グローバル化が進む現状、多国籍企業にとっての移転価格の設定は、非常に難しい問題ととなりつつあるのです。実際に、大手企業と国税庁が課税を巡り、争うケースも出てきています。

課税処分を巡り、裁判沙汰に発展するケースも

課税処分を巡り、裁判沙汰に発展するケースも

では、具体的にどのような企業が国税庁と争うケースに発展してしまったのでしょうか。確認してみると、国内発の多国籍企業でも、移転価格を巡り裁判沙汰になるケースが散見されます。

移転価格を意図的に低めに誘導し、課税額を圧縮したとして、武田薬品やデンソーが申告漏れを指摘されました。また、ホンダに関しては、ブラジルの現地子会社を巡り課税処分を通告され、以後、10年以上移転価格税制について争ってきました。ちなみに、ホンダと武田薬品については、企業側の訴えが認められています。

このように、国内大手企業も移転価格税制を取り巻き、非常に多くの問題を抱えているのです。

移転価格税制の複雑化を受け、国税庁が窓口を設置

移転価格税制を取り巻く環境は非常に複雑化し、多くの多国籍企業が移転価格の設定に頭を悩ませています。いまや、移転価格税制は日本経済にも影響を及ぼす、非常にゆゆしき問題なのです。

それを受けて、2017年7月以降には移転価格税制に係る相談所を主要都市に設け、問題の解決に動いています。あらかじめ、国税局の窓口を介し移転価格を相談することで、追徴課税リスクを避けるわけです。

まとめ

経済のグローバル化に伴い、移転価格税制を取り巻く環境も年々複雑化している傾向にあります。特に、対外的に見ても、日本の法人実効税率は非常に高く、海外に利益移転させるケースもあります。

一方で、二重課税に代表される追徴課税リスクを始め、日本における法人実効税率よりも高額の法人税が課されるケースも少なくありません。多国籍企業にとっては、移転価格税制に係る対策は急務となっているのです。

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