
リスク回避に本当に役立つ?スプレッド取引とはどんなものなのか
株式取引に限らず、さまざまな金融取引で使われる取引手法が、スプレッド取引です。スプレッド取引は多少複雑な仕組みですが、使いこなせば市場の状況に左右されにくい安定した利益を狙いやすくなる取引手法として知られています。
今回は、スプレッド取引の仕組みやメリット・デメリットがどのようなものかを見てみましょう。
この記事のもくじ
スプレッド取引と深く関わる裁定取引(アービトラージ取引)
スプレッド取引と関係の深いのが裁定取引(アービトラージ取引)です。これは、同一価値の商品に一時的な価格差(歪み)が生じたときに、割高なほうを売って割安なほうを買い、両者の価格差が縮小した時点で反対売買をすることで利益を獲得しようとする取引です。
アービトラージ取引は値上がり・値下がりのどちらの場面でも利益を狙えることから、リスク回避に有効な手法であり、スプレッド取引はアービトラージ取引の一種として扱われます。
FXとは違う株式のスプレッド
スプレッドは、外国為替証拠金取引(FX)でよく聞く言葉です。FXでのスプレッドは売値(Bid)と買値(Ask)の差額を指し、この価格差はFXの取引に必要なコストとしてFX会社が設定しています。
これに対して株式や債券などの金融商品のスプレッドは、二つの商品における金利差や価格差を指します。スプレッド取引は、商品間のスプレッドを利用して、割高な銘柄を売って割安な銘柄を買うことで、利ザヤ(利益)を狙う取引です。
スプレッド取引の代表例「カレンダースプレッド取引」
限月間スプレッド取引とも呼ばれるカレンダースプレッド取引は、同じ商品で一方の限月(先物の期限が満了になる月。日経平均先物であれば3、6、9、12月)を売り、もう一方の限月を買うという手法です。基本的に期近のオプションが売り、期先のオプションが買いになりますが、最初から組み合わせて取引されているものもありますので、売買一括で注文を出すことも可能です。
カレンダースプレッド取引は、決まった範囲内で株価が動くレンジ相場で利益を得やすいというメリットがあります。また、期先のものを買うことによって期近の売りのリスク軽減にもつながります。
カレンダースプレッド取引のデメリット
カレンダースプレッド取引のデメリットとして、値動きリスクがあります。例えば、期近の価格が期先の価格を下回ってしまったらリスクヘッジにはなりませんので気を付けないといけません。
また、現物株よりも投機的に投資をしてくる人たちが集まるのもデメリット。少しでも動きに乗り遅れたら、大きな損失を出すリスクがあるのです。
市場ごとの価格差を狙う「インターマーケットスプレッド取引」
インターマーケットスプレッド取引は、同じ限月でも市場によって価格差が出ることを利用して利益を得ようとする取引です。この取引は、片方の市場の商品を売買する時より、リスク回避と利益を狙うことができる取引となっています。
この取引では割高な方を売って割安な方を買い、その2つの差額を利ザヤとして得ます。同じ様な日経平均先物でも、市場によって参加者や流入資金の額、そして思惑の違いから価格差が生じることは珍しくありません。
インターマーケットスプレッド取引のデメリット
インターマーケットスプレッド取引は異なる市場で売買しているため、大きな値動きがあると、市場ごとに追加の証拠金を差し入れる必要が発生します。売買で出る損だけでなく、追加証拠金の負担もありますので、取引は慎重にしましょう。
まとめ
スプレッド取引は通常の取引とは取引方法が異なるため、難しく感じる部分があるかもしれません。また、市場をまたいだ取引も含まれるため、商品や市場の特性にも注意する必要もあります。
しかし、リスク回避が期待できる取引として、現物取引よりも力を入れる投資家も少なくないようです。
証券会社を選んで口座を作ろう!
- 証券会社の人気ランキング!実際にユーザーが利用した14社のクチコミと評価アンケート調査を実施して集計した、ユーザークチコミによる証券会社の人気ランキング! 各証券会社の証…
- 証券会社を基本サービスで比較してみよう!各証券会社が行っている基本サービス一覧。信用取引はもちろんのこと、投資に際して海外株式、NISA口座の有無などを確認する…
- 一番安いネット証券は?株取引の手数料を比較しよう!初めて口座開設をする際は、どこを見て選べば良いのかわからない、証券会社ごとの違いがわからない、という方も…
- IPOに適した証券会社は?IPO取扱数や抽選方法で比較各証券会社のIPOの取扱いに関する比較です。これから株式市場に上場する新規公開株は、高い確率で初値を上回…