
総資産利益率(ROA)とは?総資産で測るROEとの違い
スチュワード・シップコードの高まりやROEに着目した株価指数のJPX日経400指数の誕生をきっかけに、日本でも投資指標を重視する投資が注目されていますが、総資産利益率(ROA)もよく活用される投資指標の一つです。
株主資本利益率(ROE)と混同されがちなROAですが、実は似て非なるもの。今回は、ROEとの違いを交えながら、ROAの意義や算出方法、活用の仕方を見てみましょう。
この記事のもくじ
総資産に対する利益の割合を表すROA
総資産利益率(ROA)とは、その名の通り総資産に対する利益の割合を表します。ROAは当期純利益を総資産で割ることで求められます。
ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
総資産に対して生み出した利益の割合を確認すれば、どれだけ効率よく利益を上げているかが分かります。ROAが高ければ高いほど、効率的な経営が実践できていると判断できるのです。
ROAを求めるときの総資産の考え方
ROAを正しく理解するには、総資産の考え方が重要です。総資産には返却を要する資産も返却を要しない資産も含まれますが、ROAを求めるときの総資産には、他人資産も含まれます。
ROAを求めるときの注意点は、あくまで分母は総資産であるということ。自己資本も他人資本もひっくるめて計算する必要があります。
ROAとROEの違いはどこにある?
資本には自己資本と他人資本がありますが、総資産利益率(ROA)と株主資本利益率(ROE)では、資本の考え方が異なります。
自己資本に勘定される株主資本は株主が拠出した資金であり、安定した企業経営に不可欠な資本です。対して総資産は、借入金などの他人資本も含めた数値です。ROAとROEの分母である株主資本と総資産の違いを知れば、投資指標の意味を正しく理解できます。
ROEとROAは経営の効率性を測る指標
自己資本に対する収益性を調べるROEと、他人資本を含めた総資産からのリターンを確認するROAは、どちらも経営の効率性を測る指標という点で共通しています。
ただし、企業経営の状態を包括的に判断するときには、ROAが重宝されるケースがあります。たとえ上場企業でも、有利子負債を抱えているケースがほとんどだからです。
ROAとROEは使い分けが肝心
仮にROEが同一のA社とB社があったときに、企業の財務状況を見るためにはROAを比較するのが効果的です。高ROAは他人資本が少ないことを意味するため、借入が少ないことを示唆します。ROAが同じ値であれば、ROEが高いほうが資本を活用して利益を生み出していると考えられます。
ROAとROEはどちらか一方に偏るのではなく、両方の値を比較・検討することが重要なのです。
ROAに頼りすぎた分析は避ける
ROAが高いほど効率的な経営を実践していて、魅力的な投資対象と考えられますが、借入金の状況は把握できないという欠点を考えると、ROAのみに頼った投資判断は避けるべきです。
借金が多くても経営が順調なら問題ないとも考えられますが、株価急落のリスクは無視できません。上場企業の多くが有利子負債を抱えていることを考えると、ROAに頼りすぎるのではなく、銘柄分析の手がかりとしての活用を考えましょう。
まとめ
銘柄分析では投資効率性を測る指標が非常に重視されるので、個人投資家も最低限その意味と使い方を知っておく必要があります。
こうした指標の悪化は投資対象から除外される要因になりやすく、投資対象から除外されたことを原因にさらに指標が悪化する悪循環に陥るので、企業も投資指標の改善に積極的です。指標が改善傾向の企業には、投資チャンスがあるかもしれませんね。
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