
投資リスクを視覚化する「格付け会社」とは
株価は格付け会社の格付け(レーティング)で上下することが珍しくありません。高格付けのほうが魅力的であることは漠然とわかりますが、格付けが意味するものを正しく理解している人はあまり多くないでしょう。
今回は、格付け会社と格付けの役割について、簡単に説明してみます。
この記事のもくじ
格付け会社が決定する「格付け」の意味
格付けとは、政府や企業、金融商品などの信用状態に関する評価を簡単な記号または数字で表示した等級です。出資金がどれだけ確実に帰ってくるかを客観的に判定する判断材料の一つとなります。
格付けは投資判断の重要な材料の一つであり、格付けに合わせて株価が変動することは珍しくありません。ただし、格付け自体が株式の売買を推奨しているものではない点には注意が必要です。
第三者として格付けをする格付け会社
格付け会社は格付け対象とは直接の利害関係がない民間企業であり、格付けの対象となる政府・企業の財務状況や業界の状況などを分析し、総合的に判断して格付けを付与します。
世界的に有名なところでは、アメリカに拠点を置くムーディーズやスタンダード&プアーズ(S&P)、ヨーロッパを本拠とするフィッチが知られています。日本の格付け会社としては日本格付研究所(JCR)が有名です。
2種類ある格付け手法
格付けには企業が格付け会社に格付けを依頼する「依頼格付け」と、格付け会社が独自に実施する「勝手格付け」の2種類があります。どちらも格付け会社が高い格付けをした企業が次々破綻してしまうと信頼を失うため、安易に甘い格付けはしないというのが前提です。
依頼格付けは企業が依頼して必要な費用をその企業が支払うため、格付け会社にとって優良顧客となり、不当に有利な格付けをするリスクがあります。実際にサブプライム問題の原因となった金融商品で不適切な格付けがされていたとする指摘や、破綻寸前の企業に高い格付けがなされていたケースがあったことも事実です。
格付け会社で異なる格付け表示
格付け会社の格付けは、その表示方法が各社で異なります。また、各ランクでもさらに細かく分けられていて、その違いを数字や記号で表すといった細かい違いがあります。
細かい違いこそあるものの、「投機的要素がある」と判断される境目は「ダブルB(BBまたはBb)」で共通しています。どの会社の格付けであっても、「トリプルB以上は投資適格級、ダブルB以下は投資不適格級」と判断できます。
格付け基準も各社で異なる
格付けの付与基準も格付け会社によって異なり、公開・非公開の扱いも異なります。基準を公表している格付け会社であっても、その詳細までは公表されていません。
ただ、さまざまな角度から分析して、その政府や企業が債務不履行におちいる確率(デフォルトリスク)を求め、それを格付けに反映させています。
同じ企業でも複数の格付けが存在する
ある企業の格付けを確認すると、複数の格付けが存在していることがあります。これは、企業の信用状態は状況によって変動するうえ、債券発行ごとに「債券ごとのデフォルト率を表した格付け」が公表されることがあるためです。
前述の通り、格付けはその政府や企業が破綻しないことを保証するものではありません。格付けが変わることで株価が上下することはありますが、あくまで参考程度に考えるようにしましょう。
まとめ
格付けは、投資判断をするときの参考にしやすい簡便な指標の一つですが、格付け会社は「安全性」に重点を置いた分析をしていることを意識しましょう。
株式投資では、安全性以外に収益性や成長性も重視する必要があります。そのため、格付けを参考にしながら、他の側面でも投資をする魅力があるかを判定するようにすると良いでしょう。
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