
クオンツとは?金融工学による分析が株式市場を動かす
近年の証券市場で大きな存在感を示しているのが、金融工学を使った市場分析や予測を目指す「クオンツ」です。クオンツが開発した投資手法が活用される場面が増えたことで、証券市場がその影響を受けて大きく値動きすることも珍しくなくなりつつあります。
クオンツとはどのような人々であり、その分析や予測が個人投資家にどう影響するのかをみてみましょう。
この記事のもくじ
量子力学の考えを金融業界に応用した「クオンツ」
クオンツ(Quants)とは、高度な金融工学の手法を用いて、マーケット(市場)の動向などに対して分析や予測をする業務や、その専門家です。金融派生商品(デリバティブ)取引やリスクマネジメントなど分野で盛んに用いられています。
クオンツは1980年代のアメリカで、アメリカ航空宇宙局(NASA)でロケット工学を専攻した科学者や数学者が金融業界に転職して量子力学等の考えかたを金融工学に導入したことで誕生しました。
過去のデータを使って市場の未来の予測を目指す
クオンツによる分析は、株価や企業業績、市場環境など過去のさまざまなデータを定量化して分析することで市場の先読みを目指します。身近な投資手法で例えるなら、各種テクニカル指標を駆使するテクニカル分析を、より精緻にしたものと言えます。
もちろん、実際の分析では膨大なデータをより高度な方法で分析するため、個人投資家がテクニカル指標を使うよりもより確実な相場予測が期待されています。
証券市場での存在感を増すクオンツ
クオンツによる分析と運用は、コンピュータの能力が高まるとともにより精密な予測ができるようになることで存在感を増してきました。
より高いリターンを確保できる取引の確率も高くなったことで、年金基金やヘッジファンドなどの機関投資家や個人投資家を問わず、クオンツの分析やクオンツ運用を取り入れるケースは少なくありません。
結果と取引内容が似通うのが弱点
クオンツの分析は、過去の株価データや企業業績を活用しますが、これらは誰が見ても同じ数値であり、企業業績や市場環境の変化、ある時期の株価の変動が、その後の株価変動にどんな影響を与えるかを分析するだけでは、取引手法まで落とし込むとあまり差がなくなってしまうのです。
また、クオンツ運用は高頻度取引(HFT)と不可分であるため、似通った分析と取引が集中することで株価の急落と急回復(フラッシュクラッシュ)を招く要因ともみなされています。
想定外の事態でのボラティリティに注意
2008年のリーマンショックとその後の世界金融危機では、金融システムに対して不安が広がりました。金融業界はそれに対して、リーマンショックを超える金融危機が起きても耐えられるとするクオンツを開発するなどの対策を講じています。しかし、これらの対策がどこまで実効性があるのかは疑問符が付けられています。
クオンツの台頭が相場の変動要因になる?
クオンツの台頭は市場のフラッシュクラッシュのリスクの高まりや、市場のボラティリティの高まりの原因になることも指摘されています。
個人投資家も、クオンツ運用を取り入れるだけではなく、クオンツ運用による市場への影響に備えた運用方針の決定が必要になってきているといえるでしょう。
まとめ
株式市場に対するクオンツとクオンツ運用の影響力は大きく、近年の乱高下の裏にはクオンツが大きく関わっているとのうわさは絶えません。
個人投資家がその激しい値動きに巻き込まれて想定外の損失を受けないためには、余裕資金での投資や時間や資産などの分散など、基本を心がけることが欠かせません。
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