
初心者は取引できない自由市場「オフショア市場」とは?
国や地域をまたぐ資産運用などで、国内とは別の規制や税制が適用される、国外居住者のための市場を「オフショア市場」といいます。オフショア市場は金融市場の活性化への貢献が期待される反面、租税回避地(タックス・ヘイブン)や不正取引の温床になるといった負の側面も指摘されています。
今回は、オフショア市場がどのような金融市場であり、どのようなメリット・デメリットがあるのかを見てみましょう。
この記事のもくじ
オフショア市場とはどのような金融市場なのか
オフショアとは「岸から離れた」を意味する言葉で、オフショア市場とは国内市場から切り離された市場です。取引の規制や課税方式が国内とは異なり、取引の大部分が非課税なのが特徴です。国外からの投資が活発になり、経済全体の発展に貢献している部分も少なくありません。
著名なオフショア市場としては、イギリスやシンガポール、香港などが知られています。
日本のオフショア市場「JOM」
知名度はあまり高くありませんが、日本でもオフショア市場が開設されています。それが1986年に開設された東京オフショア市場(JOM)であり、原則として、取引する双方が海外の居住者、外国資金同士の「外外取引」だけが認められています。
JOMで取引をする金融機関は、オフショア市場で取引している部分を明確にするために、通常の取引を処理する一般会計とは別に「オフショア勘定」を使って会計処理することが義務付けられています。
オフショア市場で投資をするメリット
オフショア市場で取引できるのは、富裕層や機関投資家、グローバル企業といった一部の資産家に限られますが、税制優遇を活用して大きなリターンが期待できる金融商品が少なくありません。
また、投資先も分散されるため、リスクヘッジ効果もあります。分散投資していれば、特定の国や地域が大きく落ちこんだときに、損失の限定も期待できます。
オフショア市場に投資するリスク
オフショア市場では、高いリターンを得られる可能性がある代わりに、極めて複雑な仕組みで運用する金融商品が数多く取引されています。知識がないままこうした商品に投資すると、得られるものは損失だけという結果になりかねません。
また、オフショア市場で得た利益も、居住地域の税務署に申告をする必要があります。普通の投資であれば、源泉徴収ありの特定口座を開設することで確定申告の手間を省けますが、オフショア市場の所得はすべて自分で計算して申告する必要があります。
タックス・ヘイブンが不正の温床になる懸念
一部のオフショア市場では、事実上無税となることから、一部の富裕層やグローバル企業が租税回避地(タックス・ヘイブン)して活用しているケースも少なくありません。
これだけなら課税回避として黙認されるものの、反社会的勢力が資金洗浄(マネーロンダリング)に活用していることもあります。こうした犯罪行為や行き過ぎた節税に疑惑の目が向けられていることから、各国の税務当局はオフショア市場に目を光らせています。
流出文書で問題視されるタックス・ヘイブン
最近ではオフショア市場、なかでもタックス・ヘイブンでの機密文書が流出したり・リークされるケースが相次いでいます。特に、2016年の「パナマ文書」や2017年の「パラダイス文書」をめぐる報道の過熱ぶりは記憶に新しいところです。
こうした文書で明らかになるのは、租税回避行動に関する内容です。租税回避行動は、あくまで合法な行為のリークであり、文書が犯罪行為の証拠となるわけではありませんが、そのような取引の中には、実際に不正行為に該当するものや、犯罪行為による収益が混ざっていることが考えられるため、大きな注目を集めたのです。
まとめ
オフショア市場は、個人投資家には無縁の世界ですが、オフショア市場での取引金額は非常に巨額であり、その動向が世界の金融市場に大きな影響を与えることも考えられます。
同じ金融市場で取引をしているのですから、万が一の場合は対岸の火事ではすみません。オフショア市場がニュースで取り上げられたら、気をつけてチェックしておくのがよいでしょう。
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