
消費者インタビューから景気の現状と先行きを知る「景気ウォッチャー調査」
内閣府が調査・公表している各種景気指標の一つに、「景気ウォッチャー調査」があります。景気に敏感な業界に対するアンケートが中心となるこの調査は、迅速な景気判断に欠かせない資料です。
その調査方法から、景気ウォッチャー調査は肌感覚の景気動向を判断できる貴重な景気指標と言えます。今回は、景気ウォッチャー調査の概要と、調査内容の見方について確認していきましょう。
この記事のもくじ
景気ウォッチャー調査とはどんなものなのか?
景気ウォッチャー調査とは、2000年から内閣府が毎月調査・公表している景気指標であり、景気に敏感な業種にたずさわる2,050人にインタビューした結果が発表されています。
景気ウォッチャー調査は国内総生産(GDP)や株価のような数値指標と異なり、実際に労働者として働く人にインタビューした結果を数値化することで、より生活に密着した景況感が計れることから「街角景気」とも呼ばれています。
インタビュー対象となるのはどんな職種?
景気の影響を適切に計測するため、景気ウォッチャー調査では次の職種のような人たちに対してインタビューを実施しています。
- 百貨店売り場担当者、スーパーの店員、レストランのスタッフ、住宅販売会社の従業員
- ホテルや旅館のスタッフ、タクシー運転手、レジャー施設職員
- 職業安定所職員、人材派遣会社社員
幅広い景気敏感業種にアンケート調査をすることで、より生活実感に近い景気動向を補足できるようになっています。どのような業種にインタビューをするかは毎回少しずつ変化していますが、大きな変化がないようにバランスよく対象者を選別しているようです。
速報性の高い景気ウォッチャー調査
景気ウォッチャー調査は、主要な景気先行指標として注目されており、速報性が非常に高い景気指標としても知られています。調査結果によっては公表時間の14時を境に株価が急変することもあります。
毎月25日から月末にかけてインタビューが実施されて、翌月10日ごろ(翌月第6営業日)には集計し公表されます。政府が集計・発表する指標の中でも特に発表が早いのは、景気敏感職種で働く人たちの声に基づいているため、調査から公表まで時間がかかると内容の鮮度が落ちてしまうのです。
業態別・地域別の景気も確認できる
景気ウォッチャー調査は、インタビューをまとめただけの調査ではありません。家計動向関連(小売・飲食・サービス・住宅)・企業動向関連(製造業・非製造業)・雇用関連の3つの大分類と7つの小分類に分けた結果が集計されています。
さらに、全国を12の地域に分けて、それぞれの地域で約7割を家計動向関連、約2割を企業動向関連、残る約1割を雇用関連の人たちにインタビューしているため、全体としての景気動向だけでなく、おおまかな業態別・地域別の景気動向も見ることができるのです。
景気ウォッチャー調査から景気の現状と先行きを見る
インタビューでは、「景気の現状に対する判断とその理由」や「景気の先行きに対する判断とその理由」が聞かれています。景気の現状と先行きは、景気がよい・やや良い・どちらともいえない・やや悪い・悪いの5段階で評価した結果を数値化したディフュージョン・インデックス(DI)として指標化されています。DIは50を超えると「景気が上向き」、下回ると「景気が下向き」と判断されます。
また、毎月算出されているDIがどのように変動しているかグラフで示されているため、「DIが上昇し続けて、景気がよいという実感が広がっている」、「DIが上昇から下落に転じたため、景気の先行きに不安が広がり始めているのでは」といった分析をすることも可能です。
自由回答から景気実態を予測する
景気ウォッチャー調査では、全国を12の地域に区切り、地域ごとの景気動向もまとめられています。これにより、地域別の景気の差も一目瞭然です。また、地域別に景気判断の理由が一部掲載されますが、そこではリアルな景気の実態が浮き彫りになっています。
衣料品専門店や通信会社、家電量販店などの具体的な業態とともに、自由回答による景気に対する判断とその理由が率直に書かれているので、地域経済の生の姿をうかがい知れます。さらに、「景気判断理由集」も公表されており、こちらもかなりの人数分の景気判断に対する理由が記載されています。
まとめ
企業ベースの景気動向指標の中でも、景気ウォッチャー調査は消費者により近い生の景況感を把握できる景気動向指数として注目されています。
消費者に景気改善の実感があらわれるのは、企業業績がよくなってきた後になってからです。そんな変化をいち早く知ることができる景気ウォッチャー調査は、簡単に読むことができますので、一度内閣府のホームページをのぞいてみてはいかがでしょう?
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