
急速に取引シェアを伸ばしている「ダークプール」とはなにか
ネット証券大手のSBI証券と松井証券が、「ダークプール」を活用した取引サービスを提供することを発表しました。耳慣れないダークプールですが、国内外で急速に取引実績を拡大している新しい取引市場の一つです。
今回は、ダークプールの仕組みと普及状況、メリット・デメリットを見てみましょう。
この記事のもくじ
証券会社内部で注文を付け合わせる「ダークプール」
ダークプールとは、取引所を通さずに証券会社が投資家同士の注文を付け合わせる(マッチング)取引です。通常の株式取引では取引が公開されているので、板情報で注文状況がわかります。
これに対して証券会社内部で注文をマッチングするダークプールでは、投資家の注文価格や注文数量といった流動性が外部から見えず、匿名性が確保されているのが特徴です。
個人投資家向けの整備が進むダークプール
本来は機関投資家向けのサービスとして提供がはじまったダークプールですが、個人投資家向けのサービス提供もはじまり、2018年に入るとSBI証券や松井証券、auカブコム証券などで独自のダークプールの提供がはじまっています。
シェア拡大と多様化が進むダークプール
注文情報の匿名性が確保されていることに加えて、約定率や約定単価の改善などが期待できることから、ダークプールの取引規模は近年拡大しています。
東京証券取引所(東証)の調査によると、国内証券市場でのダークプールのシェアは2014年をピークに一度減少したものの、2016年には過去最高の5.6%を記録するなど、一転して増加傾向にあります。
呼値変更をきっかけに中小型株のシェアが拡大
これまでのダークプールの取引は「TOPIX Core30」や「TOPIX Large70」といった大型株に集中する傾向がありました。しかし、2014年の呼値単位の変更をきっかけとして、「TOPIX Mid400」や「TOPIX Small」といった中小型株式が取引シェアの多くを占めています。
ダークプール取引のメリット・デメリット
投資銀行やヘッジファンドに代表される機関投資家は株式市場のトレンドを決定する重要な参加者であり、その注文数量は出来高のかなりの部分を占めます。そのため、機関投資家の注文が他の取引参加者の行動を加速させ、取引市場の不安定性を引き起こすことは珍しくありません。
ダークプールでは注文の匿名性が確保されているため、取引市場そのものに影響を与えるような注文でも、想定外の価格変動がない取引を低コストで実現できるというメリットがあります。
取引の正当性を誰が検証する?
このようなメリットがあるダークプールは、匿名性の高さから発注した取引が実際に執行されるかどうかの面で不確実であることは否定できません。
また、通常の取引所取引との間にタイムラグが生じてしまうため、取引所の板情報が切り替わるタイミングによっては、取引所よりも不利な価格で約定する懸念があります。
まとめ
欧米諸国を中心に活発なダークプールでの取引ですが、日本でもネット証券を中心に個人投資家に向けてダークプールを開放するなど、独自の道を歩みはじめています。
この記事や後述するダークプールに関する書籍を参考に、オープンな市場取引(リットプール)とは異なるダークプールに関する知識を深めましょう。
ダークプールの実態を知るための3冊
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