
株主優待のただ取りに節税効果まで!?クロス取引のメリット・デメリット
つなぎ売りとも呼ばれる「クロス取引」は、機関投資家だけではなく個人投資家でも実践できる取引方法です。
しかし、クロス取引には特有のリスクもあり、取引内容次第では大きな損失を招く原因にもなります。今回は、クロス取引の仕組みとメリット・デメリットを見てみましょう。
この記事のもくじ
クロス取引とはどんな取引手法?
「つなぎ売り」とも呼ばれるクロス取引は、同一銘柄で同数量の買い注文と売り注文を出す取引方法です。
資金量が必要になることからクロス取引は機関投資家が中心となりますが、個人投資家でも特定の場面のメリットがあることから、ある時期に集中して活発になる取引方法として知られています。
クロス取引の魅力は優待ただ取りと節税効果
同じ銘柄を同時に売買しても、保有銘柄に動きがなければ株価変動による損益は発生しません。それでも個人投資家の間でクロス取引が活発なのは、株主優待のただ取りできることと、節税効果が大きな魅力です。
クロス取引で株主優待のただ取りをする方法
株主優待は現物株の保有数量に応じて受け取れるので、理論上はクロス取引をすれば、現物株と空売りの売買手数料、貸株料を支払うだけで、株主優待を手に入れることができます。
なお、配当金は現物株の保有数量に応じて受け取ることができますが、空売りしている分は株式を貸してくれた人に配当金相当額として支払う必要があるため、配当金はプラスマイナスゼロとなります。
節税手法としても使えるクロス取引
クロス取引のもう一つの使い方が「節税」です。すでに確定済み利益があり、保有銘柄に含み損があれば、クロス取引により納税額を圧縮することができます。当面の課税額を抑えて投資資金を効率よく回転させるという意味でも、クロス取引による節税は意味があると言えるでしょう。
例えば、100万円の確定済み利益には、所得税・住民税を合わせて20万円程度が課税されます。しかし、含み損が50万円ある銘柄をクロス取引すると一旦損失を確定させることで見かけの年間トータルの損益を50万円に引き下げて、課税額を10万円に圧縮できます。
想定外のコストが発生することもある「逆日歩」
クロス取引を活用した優待のただ取りは広く知られており、株主優待のただ取りを狙ったクロス取引をしている個人投資家は少なくありません。そのため、権利確定日には空売り残高が非常に大きくなり、貸株需要が高まります。
貸し株需要が高止まりすると、貸し株を調達するコストである「逆日歩(ぎゃくひぶ)」の支払いが必要になります。
逆日歩が株主優待のメリットを上回るリスクがある
逆日歩は翌営業日に1株あたりの金額が公表されるので、事前に金額はわかりません。そのため、貸し株需要が集中して逆日歩が高額になると、株主優待をただ取りした分よりも費用がかさむリスクがあります。
また、信用売りと買い戻しの「受渡日」が週末をはさむと、土日祝日分の逆日歩も必要になります。
まとめ
「クロス取引」と言葉だけを聞くと難しいことのように思えるクロス取引ですが、大まかにでもその仕組みを知ることで、活用法とそのメリットを理解することができます。
とっつきにくいと思っても、株主優待や節税で、少しでも賢く有利に資産運用ができるようにしたいものですね。
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