
損失が見えているのにやめられない?それはコンコルド効果かも…。
コンコルド効果とは、それまで投資してきたことが足かせとなって、損失が目に見えているのに投資をやめられなくなること。値下がりした株を塩漬けしてしまう心理をあらわしたものです。
誰もが知らずに陥ってしまう心理現象ですので、今後もしかするとあなたも陥ってしまう可能性があるのです。今回は、コンコルド効果とそれを投資に活かす方法についてお話ししましょう。
この記事のもくじ
コンコルド効果の由来は?
コンコルド効果は、かつて飛行していた超音速旅客機「コンコルド」の商業的失敗に由来しています。
コンコルドは通常の旅客機の2倍のスピードで飛行できる超音速旅客機として開発されました。しかし、開発の遅れや、受注キャンセルなど採算の目処が立たなくなり、開発を中止した方が損失を抑えられると試算されます。
しかし、これまでに投資した資金が無駄になることが受け入れられず、開発をその後も進め、さらに損失を拡大させてしまったのです。
投資したものが無駄になる現実を直視できない
このようなコンコルドの実例をもとにできた言葉が「コンコルド効果」です。すでに投下したコストという意味で「埋没費用(サンクコスト)効果」とも呼ばれます。
これはコンコルドに限らず、普通の会社での取り組みや株式投資においても同様のことが起こります。「これだけ投資したんだから」、「ここまでがんばったんだから」といった心理が働くことで、簡単にコンコルド効果の状態に陥ってしまうことを理解しておきましょう。
投資家が陥るコンコルド効果の例
では、株式投資をしているときに陥りやすいコンコルド効果の例を紹介しましょう。
ひとつ目は、「塩漬け」です。
1,000円で購入した株式を数か月間保有していますが、なかなか株価が上昇しません。それどころか、900円まで値下がりしてしまいました。
この時、「まだ含み損だから、確定するまでは損失ではない」「いつかは株価が上昇するはずだ」という心理が働いて塩漬け状態にしていましたが、一向に株価は反転せず800円まで下落してしまいました。
シナリオの正当化をせず、下落した理由を考える
この場合、1,000円で株式を購入した資金が無駄になって欲しくないという心理が働いています。1,000円が900円に減ってしまった事実を直視できていないのです。
また、株価が上昇すると信じて過ごしてきた時間も同様です。「数か月という時間」も投資し続けてきたのに損失が発生するという現実から目を背けてしまっているのです。
うまくいかずに含み損が発生してしまったときには、「株価が上昇するはずだ」と購入当時に信じていたシナリオが外れてしまったことを客観的にとらえるようにしましょう。そして、どうして下落したのかを冷静に考えることです。
しっかりした理由があって株価が下落し、回復する見込みが薄いのであれば、早く見切りをつけて他の投資先を見つける方が賢明でしょう。
企業が陥るコンコルド効果の例
もうひとつは、投資先の企業がコンコルド効果に陥っている場合を見てみましょう。
ある企業の決算が振るいません。その理由について、株主総会で次のように説明されていました。
「利益が上がらなかったが、現在開発中の新製品が発表できれば、一気に状況は好転する」と昨年と同じ説明をしていました。
また、不振事業部について「これは創業当時からの事業で、全社を挙げて利益が出る体質に変えていく」という説明がありました。
一見マイナスに見えることが好材料として捉えられることも
このような説明がなされたときには、確実にコンコルド効果の状態に陥っていると言い切ることはできません。しかし、コンコルド効果に陥っている「よくあるパターン」だということは理解しておくべきでしょう。
新製品の開発が一向に進まないのに、うまくいったときのことだけを見ているのは、典型的なコンコルド効果です。開発は、期間が長くなればなるほど投資金額が増えてしまいます。仮に新製品を発表できたとしても、投資額が多くなりすぎ、新製品が生み出す利益も少なくなるはずです。
また、「創業当時の事業だから」と不採算事業を切り離すことができない場合は、会社全体の採算が悪くなってしまう可能性があります。もちろん、他の事業部とのシナジー効果が得られるといった理由がある場合も見られますが、(金銭的には)なくてもよい事業を抱え続けているのであれば、株価が上昇しにくい要因となるかもしれません。
このように、企業側がコンコルド効果に陥っているかどうかを見極めることができれば、投資すべき企業かどうかを判断する材料のひとつにすることも可能です。
まとめ
以上のように、コンコルド効果はどこにでもある現象です。逆に、コンコルド効果を取り去ることができれば、もしくはコンコルド効果に陥っている企業を投資先から除外することができれば、投資成績を上向かせられる可能性が高まります。
株価は数字ですが、それを後ろで動かしているのは「ヒト」です。だからこそ、ヒトの心理を知り、それを投資に活かすことも必要なのです。
証券会社を選んで口座を作ろう!
-
証券会社の人気ランキング!実際にユーザーが利用した14社のクチコミと評価アンケート調査を実施して集計した、ユーザークチコミによる証券会社の人気ランキング! 各証券会社の証…
-
証券会社を基本サービスで比較してみよう!各証券会社が行っている基本サービス一覧。信用取引はもちろんのこと、投資に際して海外株式、NISA口座の有無などを確認する…
-
一番安いネット証券は?株取引の手数料を比較しよう!あなたはネット証券で口座開設するとき、どうやって証券会社を選びますか?初めて口座開設をする際は、どこを見…
-
IPOに適した証券会社は?IPO取扱数や抽選方法で比較各証券会社のIPOの取扱いに関する比較です。これから株式市場に上場する新規公開株は、高い確率で初値を上回…