
知っておきたいNISA口座の「ロールオーバー」と出口戦略
2014年(平成26年)からはじまった少額投資非課税制度(NISA)の最初の非課税期間が、2018年(平成30年)末をもって満了します。NISA口座の資産を繰り越すロールオーバーが適用できますが、ロールオーバーにはメリット・デメリットがあります。
今回は、NISA口座の仕組みのおさらいとロールオーバーの仕組み、NISA口座を活用した投資の出口戦略について見てみましょう。
少額投資非課税制度(NISA)とは
毎年一定額が非課税となる「少額投資非課税制度(NISA)」
少額投資非課税制度(NISA)とは、2014年(平成26年)1月からスタートした個人投資家のための税制優遇制度です。2014年から2023年までの10年間・毎年120万円の非課税投資枠が設定され、株式や投資信託などの配当・譲渡益などが非課税対象となります。
一度使った非課税枠は再投資できない
NISAでの非課税投資枠は1年ごと・毎年120万円を上限として設定されます。非課税投資枠で保有している株式や投資信託は、いつでも払出し・売却ができますが、一度払出し・売却をした分の非課税投資枠は再利用できません。
NISA口座の「ロールオーバー」と上限の見直し
NISA口座の非課税期間終了後の3つの選択肢
5年間の非課税期間が終わったら、口座内の金融商品は翌年以降の非課税投資枠に移す(ロールオーバー)か課税口座への移動、又は売却のいずれかを選ぶ必要があります。
翌年以降のNISA利用に影響する「ロールオーバー」とその見直し
非課税期間が終了して翌年以降の非課税投資枠にロールオーバーをすると、それだけ非課税投資枠を使うので、新たに投資できる非課税枠が少なくなります。
これまでのNISAの仕組みでは、ロールオーバーの有無にかかわらず非課税投資枠の上限は120万円までであり、この枠を超える部分は課税口座に移動するか売却する必要がありました。しかし、ロールオーバーの上限の適用については見直され、非課税期間が終了した時点で非課税枠で保有している資産は、翌年以降の非課税枠に全額ロールオーバーできるようになりました。
ロールオーバーした分は投資枠として使えない
NISAを最大限に生かすためにも活用したいロールオーバーですが、ロールオーバーした分だけ非課税投資枠が少なくなります。ロールオーバーの上限額が撤廃されたため、120万円を超えてロールオーバーできるようになりましたが、全額をロールオーバーすると新規の非課税枠はゼロとなります。
2019年からはじまるNISA口座の出口戦略
2014年からはじまったNISAですが、2019年にはじめて5年間の非課税期間の終了を経験する口座が出てきます。そのため2018年中に、非課税投資枠で投資していた資産をどうするか考えておく必要があります。
一部資産の課税口座への移動や売却による利益確定も選択肢の1つですが、より長く非課税の恩恵を受けるためには、つみたてNISAへの切り替えも選択肢の1つです。
NISAよりも有利?積立投資に向く新制度「つみたてNISA」
全体の非課税枠がより大きいつみたてNISA
2018年(平成30年)からはじまったつみたてNISAは、最長20年間・年間40万円までの非課税枠が設定されているNISAのバリエーションです。
つみたてNISAは年間の非課税枠こそ年間40万円とNISAと比べて小さいものの、投資期間が最長20年間と長くとられているので、一般NISAと比べるとつみたてNISAのほうが非課税枠の総額が大きくなっています。ロールオーバーの手間などを考えると、タイミングを合わせてNISA口座からつみたてNISA口座への切り替えるのは、有力な選択肢の1つと言えるでしょう。
NISA口座とつみたてNISA口座は併用できない
NISA口座での乗り換え先として有力なつみたてNISAは、NISA口座のバリエーションなので、NISA口座とつみたてNISA口座を併用することができません。また、NISA口座はその種類に関わらず一人1口座しか設定できないので、証券会社を変えてNISA口座とつみたてNISA口座を設定することもできません。
まとめ
貯蓄から投資への動きをうながすために導入されたNISAですが、今回ふれたロールオーバーの上限額撤廃に限らず、ジュニアNISAやつみたてNISAの新設など、さまざまな制度改正や追加がおこなわれています。
確実なマイナス要因である課税を回避できるNISA・つみたてNISAを使いこなすためにも、NISAに関連する制度改正のニュースには注意を払い、機会損失を避けることが欠かせません。
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