
株式投資にかかる費用は経費扱いにできるのか?
会社や個人事業主にとって、確定申告でどれだけ節税できるかは重要な問題です。そのためにも、株式取引にかかった費用もできるだけ経費に含めたいと考えるのも当たり前と言えます。
今回は、会社・個人事業主の株式取引は、どこまで経費扱いにできるかを見ていきましょう。
この記事のもくじ
株の売買をすれば税金を払う必要がある
上場株式の売買をするためには、証券会社に「特定口座」もしくは「一般口座」を開設します。特定口座は取引で発生した利益に応じて税金が引かれる源泉徴収ありと引かれない源泉徴収なしに分かれています。
特定口座(源泉徴収あり)を選べば確定申告は必要はありませんが、特定口座(源泉徴収あり)や一般口座を選ぶと、確定申告の必要が出てきます。
特定口座(源泉徴収あり)の場合は以下の通りです。
- 自分で確定申告しなくてもよい
- 年間20万円以下の利益でも自動的に税金が引かれてしまう
特定口座(源泉徴収なし)、一般口座の場合は以下の通りです。
- 年間20万円以下の利益の場合は確定申告不要
- 自分で確定申告を行わないといけない
会社や個人事業主の株式取引、税金はどうなる?
会社や個人事業主であれば、年度内の売却損益は本業の同一年度の営業損益と合算されます。例えば、株式の売却損益がマイナス200万円、本業の営業損益がプラス1,000万円の時に税金のかかる金額は、経費・控除等を考慮せずに計算すると
1,000万円 - 200万円 = 800万円
となります。この800万円を利益として、法人税や法人住民税が計算されます。このときに株式取引の損益も含めてマイナスが出ていれば、9年間は繰り越しができるようになっています。9年間の繰り越しは平成20年4月1日以降に終了する事業年度分に適用されます。個人の繰り越しは最長3年なので、この点は会社や個人事業主が株式取引をするメリットと言えます。
個人事業主の場合は会社の課税方法と異なり、事業での損益と株式取引の損益が別に計算される「分離課税」に基づいて課税額が決定されるのも見逃せないポイントといえるでしょう。
株式取引の必要費用を経費にすることはできる?
株式取引の税金ですが、一般の個人投資家と同様、特定口座(源泉徴収あり)を選ぶと取引結果に応じて税金が引かれて、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座を選ぶと自分で確定申告が必要になります。
では、株式取引にかかる費用は経費にできるのでしょうか。この場合は残念ながら株式取引が本来の業務に関連しない事業とみなされて、経費にできないという見方が主です。
株式取引で利益を出しても、副業であれば本業の経費と通算することはまず認められないと考えておくべきでしょう。
勉強に使った費用は経費として認められるか?
株式取引に使ったお金は経費と認められないという見方がほとんどですが、株式投資の勉強に使ったお金ならばどうでしょうか。勉強に使ったお金というのは、株式投資関連の書籍代やセミナー参加費用、勉強するために使ったインターネットの接続費用(通信費)です。
こちらは、「どちらともいえない」というのが答えですが、個人事業主には経費として申告している人もいるようです。実際にどう扱われるかは、税務署に問い合わせて確認しましょう。
不明な点は税務署に問い合わせ
株式投資に関わる費用が経費として扱われるかは、何とも言えないのが現状です。もし分からないことがあったら自分で判断せずに税務署で聞きましょう。ただ、株式関連の費用を経費として提出する人が少ないためなのか、税務署の回答も時と場合によって違うこともあるようです。
無理やり「経費扱い」にするとどうなる?
特に個人事業主は確定申告書類を自分で作成する人が多いため、好きな項目を経費に計上することができますが、何でもかんでも経費として計上するのは、大きなリスクが考えられます。
税務署側は、申告書類に漏れやミスがないかをチェックしているので、何でもかんでも経費に含めていると脱税が疑われて、チェックが厳しくなるリスクがあります。経費で申告した項目が拒否されたら、断られたら引き下がるくらいにした方が賢明かもしれません。
まとめ
会社・個人事業主が株式取引を経費扱いとするのはとても難しいようです。株式投資の勉強にかかる費用についても同じです。あくまで株式投資と本業は分けて考えるようにすることをおすすめします。
また、残念ながら、書籍・セミナー等の「株式投資関連費用を経費に入れる」というのも現実的でないという見方がほとんどです。経費扱いにはなりませんが、株式取引で利益が出ることはとても嬉しいことです。状況が許すならば、ぜひとも株式投資を続けていってください。
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