
GDPから日本の経済活動が読める?「三面等価の原則」とは
国内の経済活動で新たに生み出された財・サービスの付加価値の合計を国内総生産(GDP)といい、四半期ごと・通年のGDPの変動は、大きく取り上げられます。
GDPの推移の解釈はいくつかありますが、その中の一つに、「三面等価の原則」と呼ばれるものがあります。今回は、GDPの意味と三面等価の原則について見てみましょう。
この記事のもくじ
ある国の経済力を表す指標である国内総生産(GDP)
国内総生産(GDP)とは、ある国の経済力を表す指標の一つであり、国連統計委員会の勧告に基づいて各国が算出しています。なお、GDPは「国内」総生産であるため、日本人が海外で経済活動を行って生み出した結果は含まれませんが、外国人が日本でした経済活動の結果は含まれます。
2017年現在の国別ランキングを見ると、トップがアメリカ合衆国、2位に中華人民共和国(中国)、3位が日本となっています。2009年までは日本が長らく2位につけていましたが、2010年に中国に抜かれて以来、3位に落ち着いています。
日本のGDPは四半期ごとに内閣府によって発表されます。GDPの伸び率は経済成長率でもあるため、GDPの内容で株価が大きく変わることもあります。
GDPには名目GDPと実質GDPがある
一口にGDPといっても、「名目GDP」と「実質GDP」の2種類があります。名目GDPは、取引額に基づいて算出されるGDPであり、原材料や商品価格の物価上昇・下落は考慮されず、単純に金額のみで算出します。
一方の実質GDPは、物価上昇・下落を考慮して算出されるGDPであり、ニュースで報じられるのはもっぱら実質GDPであることがほとんどです。
「三面等価の原則」の生産とは?
マクロ経済の用語に「三面等価の原則」という言葉があります。これは、GDPを生産面・分配面・支出面の3つに分けたときに、生産と分配と支出の金額が同じになることです。
ここで述べられる「生産」は、国で生産された付加価値の合計です。自動車を製造する企業を例に見ると、鉄やアルミ等の原材料を購入して自動車に加工した上で販売することになります。原材料の購入代金が500万円、製造・完成後に販売した価格が800万円だった場合、生産された付加価値は800万円-500万円=300万円となります。
「三面等価の原則」の分配とは?
では、「分配」とはどのようなことなのでしょうか。こちらは、生産された付加価値の「分配」の意味になります。従業員への給与も分配に当たりますが、それだけではありません。
付加価値の一部は企業自体の収入にもなり、納税もされることで分配になります。これで「生産=分配」になる仕組みが理解できるでしょう。
「三面等価の原則」の支出とは?
最後に「支出」の項目を見ると、「国内需要」と「純輸出」に分かれ、さらに「国内需要」は「民間需要」と「公的需要」に分かれます。
現在の日本では、民間需要内の個人消費をあらわす「民間最終消費支出」の割合が一番高く、60パーセントほどを占めています。貿易立国と言われている日本経済ですが、そのイメージと異なり個人消費によって支えられているのです。
企業在庫や個人投資はどの項目に当てはまる?
気になるのが、企業も国も分配されたものを全て支出に回しているわけではないのに、どうして「生産=分配=支出」になるのか、というところです。企業が製造したもの全てが売れるとは限りませんし、個人の家でも全ての給与を使って買い物しているわけではありません。
企業では売れ残った商品を「在庫」と呼び、個人でも支出をして残ったお金を「投資」していることがあります。これらが三面等価の原則では「支出」の項目に入れます。これで「生産=分配=支出」という式が成り立つのです。
まとめ
GDPの数値だけではなく三面等価の原則を意識して内訳を見ると、日本が何にお金を使っているのか、個人消費の伸びがどのようになっているかが分かります。細かく項目が分かれているため、読み込むのに非常に手間がかかるかとは思いますので、代表的なところだけでも見てみても良いでしょう。
そして、これらの数値や内訳を自分の株式投資に生かすことも可能です。お金の使い道を読むことができると、今後伸びそうな分野も見えてくるでしょう。そこから関連業種の株式に投資してみるのもいいかもしれません。
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