
非上場大企業はなぜ上場しない?株式公開のメリットとデメリット
「身近で知っている企業に投資したい」と思って銘柄探しをしても、その企業が上場していなかったという経験がある人もいるでしょう。実は、大企業だからといって必ず上場しているというわけではなく、大企業でも理由があって非上場を続けている会社も多くあります。
今回は、なぜ世界的な大企業でも非上場を選択することが珍しくないのか、その理由を見てみましょう。
この記事のもくじ
非上場の有力企業は少なくない
誰もが知っている有名企業が非上場企業であることは、実は珍しいことではありません。飲料メーカーのサントリーや旅行会社のJTB、ゼネコンの竹中工務店などが非上場です。運送会社の佐川急便を中核とするSGホールディングス(9143)も、2017年12月までは非上場でした。
これらの企業は上場企業と比較しても全く遜色のない有名な大企業ですが、上場することのメリット・デメリットを考慮したうえで非上場という判断を下しています。これらの企業はなぜ非上場という選択肢を選んだのでしょうか。
中長期的での安定経営にはマイナスの上場
上場することで株主から目先の利益を求められるので、中長期的な経営を重視している企業にとって魅力的でない場合があります。
業績悪化で株価が低迷すると、投資ファンドに目をつけられ、経営権を奪われるリスクも出てきます。こういったデメリットを重く見る企業は、安定した経営を実現するために非上場を選択するのです。
上場することのメリットとは?
非上場企業の株式は自由に売買できない株式であり、流動性の低さからあまり高い金額で発行できない「非流動性ディスカウント」があります。上場株式になれば時価での株式発行ができるので、資金調達のハードルは格段に低くなります。
また、上場には証券取引所の審査があります。その審査を通過した企業ということで社会的信用が高まるだけではなく、ブランド力の強化や従業員の採用にも好影響が期待できます。
上場のデメリットとは?
上場することのデメリットは、誰でも株主になれることです。誰でも株主になれるということは、会社の経営方針に反対する人でも株主になれることでもあります。
その結果、物言う株主が増えて経営上のリスクが大きくなります。また、企業買収のリスクや上場維持に多額なコストがかかることもデメリットの一つです。
経営を左右する株主と株主総会の存在
株主は、会社の経営に参加する権利があり、株主総会での「議決権」という形で与えられます。株主総会では経営者の選出などを決議しますが、投票数は保有株数に応じて与えられるため、多くの株を保有する大株主は会社の経営に大きな影響力を有しているのです。
経営者は株主が納得する利益を出していなければ、クビになってしまうかもしれません。株主の追及する利益は会社の純利益ではなく、株価が上昇して得られるキャピタルゲインや配当金といった、株主にとっての利益が重視される傾向が強くなります。
「物言う株主」の増加が経営の足を引っ張る?
かつての日本企業の株主には、経営者に対して文句を言う株主は多くありませんでしたが、近年では機関投資家やヘッジファンドを中心に、経営に対して要望を伝える「物言う株主」が増えています。
物言う株主は大株主であることが多く、発言権の大きさを武器に少数株主に対しても「経営方針を改めるべきだ」というメッセージを発するなど、株主目線での利益の最大化を実現する経営を求めます。その結果、株主を納得させるために中長期的な成長を犠牲にし、短期的な成果を求める会社もあります。
まとめ
非上場を貫く企業が、何を目的として上場しないか知ることで、上場のメリットとデメリットを理解することにもつながります。それを理解していれば、投資ファンドが考えていることも少しずつわかるようになります。
投資ファンドが大株主の企業は、投資ファンドの動きで株価が大きく変動することがあるため、その動きを推測するための参考にできるかもしれないのです。
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