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投資家が知るべきアベノミクスが株式市場に与えた影響

投資家が知るべきアベノミクスが株式市場に与えた影響

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徳田陽太
徳田陽太
記事の難易度:★★★☆☆

第二次安倍政権の発足と同時にアベノミクスとしてパッケージされた諸政策を背景に、株価は右肩上がりが続いています。マーケットフレンドリーなアベノミクスですが、その功罪はどのようなものなのでしょうか。

今回は、金融政策から見たアベノミクスの内容と、マーケットに与えた影響を大まかに振り返ってみましょう。

三つの政策を柱とするアベノミクス

アベノミクスとは、「大胆な金融政策」と「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の3本柱からなる第二次安倍政権の目玉政策です。安倍政権が長期化するにつれて追加政策を打ち出していますが、基本方針は一貫しているといえます。

大胆な金融政策では、2%の物価目標(インフレターゲット)の設定とその達成までの量的・質的金融緩和(異次元緩和)の導入、機動的な財政政策では国土強靭化を目的とした大規模な公共投資と日本銀行(日銀)による国債の買い入れと長期保有、そして民間投資を喚起する成長戦略では、特区戦略を活用しながら、健康長寿や全員参加を核とした戦略を提唱しています。

異次元緩和による資金供給で円安・株高を演出

アベノミクスのカギとされてきたのが、年率2%の物価目標の設定と目標達成のための異次元緩和の導入です。インフレ目標達成のため、大量の資金供給で低金利に誘導、円安・株高を演出するのが、アベノミクスの特徴です。

2008年のリーマンショック以降、リスク回避の円買いにより急激に円高が進んで1ドル80円台を記録するなど、記録的な円高傾向が続きました。

この傾向は2012年の第二次安倍政権の発足まで続き、政権発足をきっかけに円安傾向に転じて、1ドル120円台まで円安が進みました。この円安により日本の輸出関連企業の業績が回復して、株高につながったのです。

アベノミクスと外国人投資家による日本株の買い越し

アベノミクスをきっかけに、外国人投資家も日本市場に回帰しています。

リーマンショックと世界金融危機からの回復が遅れた日本市場では、外国人投資家は日本株を売り越す傾向がありましたが、アベノミクスによる企業業績の回復を背景に、日本回帰の動きが強まったのです。特にアベノミクス直後の2013年の勢いは凄まじく、1年間の外国人投資家の買い越し額が15兆円を超えるなど、日本株の回復を印象付けました。

投資部門別売買動向で海外勢の動向を確認する

国内最大の株式市場であるプライム上場銘柄の外国人投資家のシェアは約7割を占めます。外国人投資家の資金の流れを見ることで、相場の動向を把握できます。

外国人投資家の資金の流れは、投資部門別売買動向で週単位で発表されています。

金融緩和やマイナス金利政策の影響はどうなる

長引く景気低迷から抜け出すきっかけとなったアベノミクスですが、金融緩和の長期化によりその副作用も表面化しつつあります。特に2016年に追加政策として導入されたマイナス金利政策は、地方銀行を中心とする金融機関にとって大きなダメージを与えるものとなっています。

異次元緩和の長期化だけではなく、マイナス金利政策やイールドカーブ・コントロールといった非伝統的金融政策の導入は、金融機関の経営に大きな重しとなることが懸念されています。

行き過ぎた金融政策は出口戦略の難しさにつながる

当初目標「二年間で2%の物価目標」を掲げていたアベノミクスですが、その目標はなし崩しに後ろ倒しにされて金融緩和が続き、日銀の国債保有残高は国内総生産(GDP)を上回り、大規模な上場投資信託(ETF)の買い入れが続いたことで、「官製相場」リスクが避けては通れないものとなりつつあります。

終わりが見えない金融政策が続く中でも、安倍首相の任期満了が見えてきたことで、日銀は国債買い入れ額のゆるやかな縮小をはじめるなど、出口戦略を探りはじめています。

まとめ

アベノミクスは円安・株高により企業業績の回復に大きく貢献した一方で、長期化した金融緩和の弊害は小さくありません。

個人投資家が出口戦略を考えるときには、日本市場の動向を左右する外国人投資家の動向を把握することが欠かせません。いち早く動向を知るためにも、投資部門別売買動向に注目するなど、アンテナを張る必要があります。

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