
増資すると株価が下落するというのは誤解?
上場企業が増資を発表すると、ほとんどの投資家は反射的に「株価にネガティブな材料だ」と考えます。実際に、増資の発表をきっかけに株価が下落する銘柄の方が多いため、そう考える人が多いのも仕方ないでしょう。
しかし、「増資すると株価が下落する」のではありません。今回は、増資が株価に与える影響を理解した上で、増資をきっかけとした売買のチャンスについて考えてみましょう。
この記事のもくじ
「増資=株価下落」は誤解
大前提として、増資=株価下落ではないということを理解しておきましょう。個人投資家の多くが、増資=株価下落と誤解していますが、理論上では増資をしても株価は変動しないことが証明されています。
その要因の一つとして、増資がネガティブに受け止められても仕方ない相場の状況は大きく影響しています。増資とは、新しく株式を発行することです。これにより、一株あたりの持ち分が少なくなる株式の希薄化が起こります。
増資による持ち分の希薄化が起きる
株式の希薄化が起きると一株あたりの純利益(EPS)が低下するため、一株の価値が下がると考えられることで株価の下落を招くのです。
例えばEPSが100円の銘柄が、増資によってEPSが90円まで下がってしまうと、それに応じて株価も1割程度下がることになります。
増資目的は株価を動かす理由になる
ここまでは「増資した瞬間の利益」についてのみの話でしたが、「増資の目的」まで含めて考えると見方が変わってきます。
そもそも、増資は会社が必要としている資金調達を目的とするものです。つまり、調達した資金で何をするのかが重要であり、その目的によって株価が変動するのです。
現状維持のための増資はネガティブ
資金不足を予防する増資は、現状維持を目的とする増資であり、希薄化を招くだけで、株価にとってネガティブに働きます。ただし、増資によって上場廃止が一時的に回避できることを評価して、ポジティブに評価されることもあり得ます。
それでも、増資なしに生き延びられない会社の株式は、リストラなどの構造改革に踏み出さなければ投資自体を避けるべきという判断もまた成り立ちます。
成長期待があれば株価は上がる
増資で得た資金を「事業の成長資金」にあてるなら、ポジティブに評価されることも多くなります。「投資資金に余裕があればさらに成長できる」という企業が増資すると、それだけ成長が期待できます。
そうなると、一時的に株式の希薄化が起きても、いずれは株価も回復してEPSも上昇する可能性があります。そのような期待があれば、増資はポジティブに受け止められ、株価が上昇すると考えられます。
成長目的の増資でも、株価が必ず上がるわけではない
ただし、成長のための増資であれば必ず株価が上がるかというと、そういうわけではありません。重要なのは投資することで十分な成長が見込めるのかという点です。
例えば、投資家は会社に対して年10%の成長を求めているのに、増資で得た資金で取る戦略で年5%しか成長できないというのであれば、その増資は投資家から評価されないでしょう。一方、年15%成長を見込む戦略を発表しても、その内容がどう考えても達成できそうにないものであれば、やはりマイナス評価となります。
まとめ
増資が株価に与える影響は、一概にネガティブとは言えません。長い目で見れば増資がきっかけで会社も株価も大きく成長していくケースも少なくないため、「増資=株価下落」と決めつけるのではなく、企業戦略や直近の株価を分析するようにしましょう。
また、増資で株価が下落したタイミングが買いのチャンス、というケースも見極められると、投資成績も大きく上昇するかもしれません。
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