
経営の安全性がわかる指標:連結剰余金
企業の財務状況を確認する上で欠かせない投資指標が、剰余金や税引き後利益を計上する科目である「連結剰余金」であり、数々の法律改正により変遷を遂げてきました。
今回は、財務諸表に記載されている連結剰余金の考えかたと、その算出方法について見てみましょう。
この記事のもくじ
剰余金の意味と種類を知ることが重要
剰余金と聞くと、貸借対照表(B/S)の純資産の部、貸方の下部に記載される「利益剰余金」を連想する方も多いと思います。厳密には純資産から資本金を差し引いた金額が剰余金であり、この金額が大きいほど設備投資に回せるお金は増えるので、経営の自由度も高まります。
また、余剰金の積み上がりは、財務健全性の観点からもポジティブに判断されます。継続的に利益剰余金を積み上げていれば、経営状況は盤石で、財務・経営共に好調な企業であると分析できます。
余剰金は利益剰余金と資本剰余金に大別できる
剰余金は利益剰余金と資本剰余金に分けられ、その性質には違いがあります。
利益剰余金は会社に残った利益であり、経営活動の結果を読み解く上で、非常に重要な指標と言えます。これに対して資本剰余金は株主からの出資金に起因する剰余金です。剰余金がどこからくるかの違いは、基礎知識として必ず押さえておきましょう。
投資効率向上のポイントは連結分析
最近の上場企業は、持ち株会社に子会社がぶらさがる「ホールディングス制」を採用しているケースが多く、企業業績を単体で判断すると企業の正しい姿を見えにくくします。
例えば、傘下のA社の企業業績がよくてもB社の企業業績が悪いケースもあります。投資判断のために財務諸表を見るときには、企業単体ではなく連結で分析することが重要なのです。
単体での経営活動だけを見ると投資判断を誤ることがある
ホールディングス制を導入している企業が上場するときには、親会社の上場が一般的であり、これに合わせて企業分析も余剰金も単独の余剰金ではなく連結剰余金の確認が重要です。これに合わせて、財務諸表の分析も、単体ではなく連結で判断することが非常に重要になるのです。
連結剰余金は連結財務諸表で確認する
連結財務諸表とは、ホールディングス傘下すべての企業業績を総合的に勘案した財務諸表です。具体的には、(1)連結貸借対照表(2)連結損益計算書(3)連結余剰金計算書(4)連結キャッシュフロー計算書 の4表で構成されます。
連結財務諸表を確認することで、グループ会社全体の企業業績を判断できます。単体ではなく連結の経営結果を表す材料なので、連結余剰金についても連結財務諸表で確認することができます。
連結剰余金計算書は廃止されている
2005年の会社法改正により、株主総会や取締役会等の決議だけで資本金や配当の支払い額を変更できるようになりました。このため、期中の剰余金の増減に連続性がなくなり、連結剰余金計算書の廃止と合わせて、投資初心者には株主資本の変動を知ることは簡単ではありません。
現在では余剰金計算書ではなく株主資本等変動計算書が作成されているので、これを見ることで、資本金や剰余金の数値を詳しく確認することができます。
まとめ
財務諸表分析では、貸借対照表や損益計算書といった主要な書類の分析方法を覚えることが先決です。連結余剰金は、プラスアルファ程度の認識でよく、固執しすぎることはありません。
企業の安全性は貸借対照表の純資産の部や、株主資本比率でも確認できます。その他の安全性判断材料を総合的に勘案しながら、財務の健全性分析をするようにしましょう。
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