株の教科書.com

0

上場廃止で見る「マネーゲーム」で行われていることはなんなのか

上場廃止で見る「マネーゲーム」で行われていることはなんなのか

株の知識レベル:★★★☆☆

上場廃止が決まった銘柄は、しばしばマネーゲームのターゲットになります。激しい値動きで出来高も多く、うまくすれば多額の利益を得られそうに見えます。しかし、一歩間違うと多額の損失をこうむる、ハイリスクな取引です。デイトレーダーでなければ参加すべきではない銘柄です。今回は、上場廃止株の取引ではどんな取引が行われているのかについてお話しします。

上場廃止になった株式は、近いうちに取引できなくなる

上場廃止が決まった銘柄は「整理ポスト」に送られ、約1カ月後には株式市場での取引ができなくなります。上場廃止になる理由はさまざま。他の会社に買収されるケースもありますが、多くの場合、倒産や民事再生手続き、債務超過など「会社の存続が危うい」ケースです。そんな会社の存続が危うい会社の株式は、保有している価値はほとんどありません。にもかかわらず、大量の取引が行われています。

上場廃止株を取引しようとするのはどんな人か

上場廃止株を取引しようとするのはどんな人なのでしょうか。大きく、2つのグループに分けることができます。

  • 既存株主
  • デイトレーダー(投機家)

この2グループが買い方と売り方に分かれ、それぞれの思惑が交錯することで、大量の取引が行われて値動きが激しくなっています。
では、上場廃止になった株は、どのような過程をたどるのかを見てみましょう。

既存株主が投げ売りして、株価が暴落する

上場廃止が決定されると、約1カ月後には株式市場で取引できなくなるため、倒産などの理由であれば、既存株主が一斉に売却しようと考えます。倒産する会社の株を買いたい人はいないため、売り物ばかりが集まり、連日ストップ安になってなかなか値が付きません。株価の気配値がどんどん安くなるにつれ、値はつかないものの、徐々に買い注文が増えてきます。「買って1円でも高く売れれば、それなりの利益になる」と考える投機家やデイトレーダーが増えてくるためです。50万円の資金があるトレーダーは、100円のときには5,000株の注文になりますが、50円まで下がれば10,000株の注文が可能です。気配値がかなり下がってくると、どんどん買い注文が増えて、どこかのタイミングで寄り付きます。その瞬間がマネーゲームのはじまりです。

寄り付いた直後から、買い方と売り方が入り乱れる

寄り付いた時の出来高は、その会社の浮動株数(発行済み株式総数から安定保有されているものを除いた分)と比べるとかなり少ないはずです。寄り付いた直後にマネーゲームがはじまるとわかっていて、少しでも値上がりしたタイミングで売ろうとする既存株主もたくさんいるためです。マネーゲームに参加しようと集まってくる買い方と、売却しようとする既存株主に加え、投機的な取引をして株を買った人たちは売り方に回ります。中には、何度も売買を繰り返して利益を得ようとするトレーダーもいるでしょう。

上場廃止決定後のマネーゲームは時間との戦いでもある

上場廃止で見る「マネーゲーム」で行われていることはなんなのか

このようなマネーゲームは、上場廃止が近づくにつれて収まっていきます。既存株主もデイトレーダーも最後は売却できなければ意味がないため、上場廃止の日が近くなると売り圧力の方が強くなっていきます。上場廃止決定後、株価は激しく上下していますが、ほとんどの場合、上場廃止日に向けて株価は下落傾向となります。徐々に株価が下がっていくことがわかっている中で、株価が上昇するタイミングを見極めて取引するのは難しいことです。デイトレーダーでも難しいことなので、日中に板を見ることができない会社員などは手を出すべきではない銘柄だと言えます。

上場廃止決定後のマネーゲームは利益を出しにくくなった

倒産銘柄の売買で利益を出そうとするマネーゲームの参加者が多くなったきっかけが、2003年の「あしぎんフィナンシャルグループ」での出来事がきっかけです。上場廃止決定後、1円で寄り付いたあと、24円まで上がる場面があったのです。そこで利益を出したトレーダーが展望台から大量の紙幣をばらまいたニュースで注目を浴びるようになりました。しかし、倒産銘柄のマネーゲームに参加するトレーダーが増えたことで、上場廃止決定後に寄り付く株価が高くなり、デイトレーダーがいち早く利益を確定させようとすることで、劇的な利益をあげられることは滅多になくなりました。リスクのわりにリターンが小さくなっているとも言えます。

まとめ

上場廃止が決定された後のマネーゲームは、既存株主とデイトレーダーの思惑が交錯して発生しているものです。確かに、ほんの数分で多額の利益を得ることができる取引かもしれませんが、それは「投資」ではなく「ギャンブル(投機)」です。普段から堅実な投資を心がけている投資家であれば、このようなマネーゲームには参加しないのが賢明です。

大阪でファイナンシャルプランナーとして活動。
資産運用に関する記事やビジネス関連の記事を多数執筆。
総合評価
(0)
Pocket