
信用取引の決済方法
信用取引では現物取引と違い決済期限があるため、一定の時期までに決済注文を出す必要があります。
信用取引の決済方法には「差金決済」と「実物決済」がありますが、決済方法の違いを知らないと思わぬ損失を生む原因になります。今回は、信用取引の決済方法である差金決済と実物決済の違いと、メリット・デメリットを見てみましょう。
この記事のもくじ
信用買いの決済方法「差金決済」
「買い」から信用取引をはじめたら「売り」で決済をする必要があります。
投資銘柄が値上がり時点で売却すれば利益を得られますが、値下がり局面で売却すると損失が確定することになります。この点は現物取引の考え方と同じです。取引の利益(損失)は、次の計算式で算出できます。
「反対売買時(売り)」の時の株価-「信用買い」の時の株価)×信用買いしている株数=利益(マイナスならば損失)
ポイントとなるのが、証券取引所が銘柄を指定する「制度信用取引」では、6カ月以内に反対売買(決済取引)で決済をする必要があることです。
信用買いの決済方法「実物決済」
信用買いでの反対売買以外の「現引(もしくは品受け)」と呼ばれる決済方法が実物決済です。実物決済は、証券会社からお金を借りて「信用買い」している株式を、自己資金を支払って自分の保有株式にする決済方法であり、支払金額は信用買いの買い付け金額になります。
実物決済の魅力として、通常の取引のように現物株式の購入時にかかるような手数料は必要ないことや、配当金や株主優待などのインカムゲインを得られる点です。
信用売りの決済方法の違い
続いて、信用売りの時の決済について見ていきましょう。まず、差金決済についてですが、株式を借りて信用売りしている株式を反対に「買う」ことです。尾信用買いとは逆に、値下がり局面での利益を狙いう取引方法となります。
利益(損失)は以下のように算出します。
(「信用売り」の時の株価-「反対売買(買い)」の時の株価)×信用売りしている株数=利益(マイナスならば損失)
※手数料等は考慮していません。
制度信用取引では「売り」からはじめた取引でも、信用買いと同様に6カ月以内に反対売買による決済取引が必要です。期間中に投資銘柄が値上がりすると、損失が発生します。
信用売りの決済方法「実物決済」
信用売りの実物決済は「現渡(もしくは品渡)」と呼び、信用売りをした銘柄・株数と同じ銘柄・株数を証券会社に返却すれば決済となります。信用売りでは現物株式のように取引手数料はかかりませんが、借り入れ中に発生する手数料(逆日歩・ぎゃくひぶ)を支払う必要があります。
「信用取引」のメリット・デメリット
信用取引の最大のメリットは、投資資金以上の利益が期待できることでしょう。信用取引では証券会社に差し入れている委託保証金を上回る金額が投資できるので、自己資金以上の投資をする最適な投資方法です。
また、一日のうちに何度も売買できて、値下がり局面でも利益を狙える「信用売り」ができますので、現物取引と合わせて利用すると、自分が持っている銘柄が下がっていても、リスクを軽減することもできます。
リスクの大きさは無視できない
このように資金効率の良い取引が期待できる反面、自己資金以上の投資ができるため、大きな損失をこうむるリスクはデメリットとして無視できません。
特に制度信用取引では反対売買の期限も決まっているので、現物取引のように任意のタイミングまで値上がり・値下がりを待てないのもデメリットといえます。
「実物決済」のメリット・デメリット
信用買いでの現引は、反対売買の期限を気にすることなく長期保有できる利点があります。今は値下がりしていても、将来的には値上がりが期待できる銘柄の取引では、この方法を使うといいでしょう。
「信用売り」の時も、銘柄が値上がりしていたとしても、「現渡」で決済をすることで、さらなる損失から免れることができます。信用売りした銘柄と同じものを現物株で持っているなら、無視できないメリットがある決済手段と言えます。
同じ銘柄を保有していないと決済できない
現渡での決済であれば信用取引でも長期保有に対応できますが、「信用買い」で現引をすると、その銘柄が値上がりしなければ塩漬けになるリスクがあります。
また、「信用売り」の現渡は同じ銘柄・株数を準備する必要があり、現物株式を持っていないと選べないのも無視できないポイントです。
まとめ
信用取引の決済方法である「差金決済」と「実物決済」の違いと、メリット・デメリットを見てきましたが、それぞれのメリット・デメリットがあるため、その違いを踏まえて取引をすることが重要です。
自分の投資スタイルや市場の状況をよく見極め、的確な投資判断と投資方法を選べるようになりましょう。
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