
利益から株価の割安度を測る。「PER(株価収益率)」の考えかた
株価の割安・割高を判断する株価指標はいくつかありますが、その一つに株価と利益の関係を見る「株価収益率(PER)」があります。株価水準を判断する株価指標でも同業他社との比較に強みを発揮するPERですが、どうやって求めるのでしょうか。
今回は、株価指標としてのPERや、PERを利用した銘柄分析の判断基準を見てみましょう。
この記事のもくじ
PERは何を表す指標なのか
株価収益率(PER)とは、株価が1株あたりの純利益(※)の何倍かを示唆する株価指標であり、下記のような数式で表すことができます。
PER=(株価)÷(1株あたり純利益)=(時価総額)÷(税引き後純利益)
同じ利益を上げているなら株価が安い方が優良銘柄であり、同じ株価水準で推移しているなら利益が多い方がよい銘柄と言えます。そのため、低PERなら株価は割安、高PERでは株価は割高と判断されます。
PERは業種によって適正水準がある
同じPERなら必ず同水準で割安・割高になるのかというとそうではありません。日本取引所(JPX)が公表している東証プライム上場銘柄全体の加重平均PERは、2017年1月末時点で18.7倍ですが、これは東証プライム全銘柄での話であり、業種によって適正なPER水準があります。
適正なPER水準はその時の相場環境によって変動しますが、2017年時点での業種別PERを見ると、医薬品では26.7倍、機械で20.0倍、電気機器で27.5倍、情報・通信業で18.3倍などとなっています。
PERを判断するときに注意すべき点は?
PERを使って株価水準を判断するときには、「いつの利益を使って計算しているか」を意識する必要があります。PERの計算に使用する純利益は、決算や業績予想で発表された数値を使うのが一般的ですが、決算は過去の実績であり、現在も同水準の利益を上げるのかも考えなければなりません。
また、業績予想は会社の立てたシナリオ通りに進んだときの数値であるため、シナリオと会社の置かれている環境に違いがないかを考える必要があります。
PERを基準とする売買判断は正しいのか
PERの算出時点の予想利益よりも業績悪化が予想されているなら、買いを入れるべき低PERとは言えないことになります。決算発表で明らかになった利益でPERを計算しなおすと、PERが割高水準に跳ね上がるからです。
逆に高PERでも、業績がよくなることが見込まれているのであれば、決算の利益ベースではPERが大きく下がると考えられます。そのため、必ずしも割高なPERと言い切ることはできないでしょう。
赤字企業でも投資対象から
赤字決算の場合、計算上のPERはマイナスとなりますが、通常は、赤字決算の場合にはPERが表示されず、株価の割高・割安を判断することができません。
しかし、PERが算出されない赤字企業だからといって、投資対象ではないと判断するのは早計です。赤字には「積極的な赤字」と「消極的な赤字」があるからです。
赤字でも将来性が期待できる企業はある
積極的な赤字を計上している会社は、前向きな投資をしている傾向があります。多額の固定資産を購入して減価償却費がかさんだり、研究開発費が巨額になっていたりする場合などです。
こういった費用は、将来の売り上げを確保するための投資であり、思惑通りに成長することができれば、利益を出せて株価の上昇期待も出てきます。
まとめ
PERは、ある時点の会社の利益に対して株価が割高かどうかを判断するための指標ですが、会社の利益がどのような条件でのものなのかを確認した上で用いることが欠かせません。
利益水準とPERの数値によっては、高いように思えても割高でないケース、反対にに低いように思えても割安ではないことは珍しくありません。PERの数値だけで判断するのではなく、会社の置かれている状況を考えた上で買うべきかどうかを考えるようにしましょう。
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