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近年注目されている株価指標「自己資本利益率(ROE)」とは?

近年注目されている株価指標「自己資本利益率(ROE)」とは?

横山研太郎
横山研太郎
記事の難易度:★★★☆☆

個別株投資をするときに注目される株価指標はいくつかありますが、その一つが「自己資本利益率(ROE)」です。自己資本でどれだけの利益を出したかを表すROEは、会社の状況を総合的に見ることができる総合的な指標と言えます。

ROEを深く理解すれば、その企業が本当に成長力のある企業なのかを見極めることができます。今回は、ROEを詳しく説明します。

投資の世界で注目される「自己資本利益率(ROE)」

自己資本利益率(ROE)とは、自己資本を使ってどれだけ効率的に利益を上げたかを表す株価指標であり、次の式で求められます。

ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100

ROEは、株主の出資資金である「自己資本」をベースに算出するので投資家目線の株価指標とされていて、欧米の企業経営では重要視されています。

日本でも注目度が上昇しているROE

日本の企業経営でも、ROEは注目を集めるようになっています。これには、国際会計基準(IFRs)の導入や財務や経営が優秀な日本の株式市場をけん引する銘柄で構成される株価指数である「JPX日経インデックス400」の算出開始などが影響していると考えられます。2014年に経済産業省が公表した「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~(伊藤レポート)www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/kigyou-toushika.html 」でも、「日本企業はROE8%以上を目指すべき」という趣旨の内容が含まれています。

一般にROEが8%を超えると株価も高くなる傾向にありますが、ROEが高ければどんな企業でも株価が高くなるというわけではありません。

ROEを分析すれば、会社の状態がより詳しくわかる

ROEは、計算式を分析することができます。

ROE=(売上高当期純利益率)×(総資産回転率)×(財務レバレッジ)
=(当期純利益÷売上高×100)×(売上高÷総資産)×(総資産÷自己資本)

売上高当期純利益率は売り上げに対する純利益を、総資産回転率は会社の資産を使ってどれだけ売り上げを上げているか、財務レバレッジは借り入れでどれだけの資産を調達できているかを示します。

それぞれを一言でいうなら、「収益性」と「効率性」、「安全性(の逆数)」であり、この3要素を兼ね備える会社はROEが高くなるので、ROEは総合的な指標だと言われるのです。

高すぎる財務レバレッジは危険なサイン

財務レバレッジは「総資産÷自己資本」で求められますが、この値が高いと注意が必要です。会社の財務体質が健全かどうかを見るための指標に「自己資本比率」がありますが、これは「自己資本÷総資産」で求められます。財務レバレッジは安全性を示す自己資本比率の逆の値だということです。

財務レバレッジが高いと総資産に占める借り入れの割合が多くなっている可能性が高く、借り入れが多いと利息負担で利益を上げにくくなり、会社の経営に悪影響を与えるリスクが大きくなります。

ただし、前受け金が発生するビジネスモデルでは、借り入れが多くなくても財務レバレッジが高くなることがあるため、このような場合は借り入れで財務レバレッジが高い場合よりも、安全性は高くなります。

ROEの高さが評価できるのはどんなときか?

ROEは収益性と効率性、安全性(の逆数)の3つに分けられ、収益性が高くてROEが高い状態が理想です。これは、会社が高い利益を生み出していることを意味して、会社が成長するための資金を、自己資金で調達できるからです。

次に、効率性が高いのも評価できます。少ない資産でより多くの売り上げを生み出すことができるため、よりも大きな利益を得ることができていると考えられるためです。

ROEが高くても慎重に考えるべきタイミングは?

財務レバレッジによってROEが高い場合には注意です。自社株買いでROEの改善を狙う例は少なくありませんが、収益性や効率性を上げる施策が打ち出せないなら、長期的な成長は望みにくいと言えます。収益性が高くても、営業利益(や経常利益)が低いままで特別利益が収益に貢献している状態なら、翌年の収益性は悪化してROEも下がってしまうでしょう。

高い効率性を誇っていても、極端に収益性が低いのも要注意。大きな売り上げを計上しても収益性が低ければ利益額は大きくならず、成長資金を借り入れや増資で調達しなければならないため、必ずしも良好な経営状態とは言い切れないでしょう。

まとめ

自己資本でどれだけの利益を上げたかを示すROEは、会社の総合的な力を判断できる株価指標でもあります。ROEの高さの源泉が、収益性と効率性、安全性のどこにあるのかを見極めることで、より高いレベルで株価を見極めることができるでしょう。

こうした判断には財務諸表を読み込む力が必要ですが、専業投資家は当たり前のように分析していることです。投資家としてレベルアップするためにも、ROEを細かく分析できるようになっておいて損はないでしょう。

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