
確定申告の必要書類や手続きの流れ、おすすめ会計ソフトを徹底解説
毎年2月中旬からはじまる期間中に書店の店頭で関連書籍コーナーが作られる「確定申告」。面倒な確定申告ですが、その仕組みややり方を知ることで、その利益を大きくすることができます。
今回は知っているようで意外と知らない「確定申告」の仕組みと、確定申告に必要となる書類や手続きについて見てみましょう。
この記事のもくじ
前年の所得と課税額を確定する「確定申告」
確定申告とは、前年1年間に生じた全ての所得の金額と、所得に対する所得税と復興特別所得税の額を計算して申告することで、納税したお金の過不足を精算する手続きです。
「所得」とは、給与や賞与などの年間の収入(年収)から、必要経費を差し引いた後の金額であり、その性質によって「利子所得」や「配当所得」、「給与所得」など、10種類に分けられていて、収入や必要経費の範囲、所得の計算方法などが定められています。
納税額の圧縮に役立つ「控除」制度
課税所得金額は、前年1年間の全ての所得から個人的な事情を加味して税負担を調整する所得控除を差し引いて算出します。
所得控除には、所得から一定金額を控除する「基礎控除」を基本に、「扶養控除」や「配偶者特別控除」などの家族関係の控除や、「生命保険料控除」や「地震保険料控除」などの保険が関係する控除など、14種類の控除があります。
準備から還付手続きまで。確定申告の大まかな流れ
所得の種類や控除の内容によって必要になる書類は多岐にわたるので、国税庁ホームページのお問合せ事項Q&Aの【申告書用紙】と、確定申告期に多いお問合せ事項Q&Aの【申告書の提出】を確認しておくことをおすすめします。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/03.htm#q11
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/06.htm#q22
申告書を作成・提出する
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に従って金額等を入力することで税額などが自動計算され、所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税並びに贈与税の申告書や青色申告決算書などを作成できます。
https://www.keisan.nta.go.jp/h29/ta_top.htm#bsctrl
作成した書類は、国税電子申告・納税システム(e-Tax)で送信するか、印刷して郵送などで提出します。e-Taxでの申告が推奨されていますが、マイナンバーカードやICカードリーダ・ライタなどが必要となります。
納税(還付)手続きをする
申告書の提出が完了したら、申告内容に基づいて納税と還付の手続きを進めます。
納税手続きにはe-Taxを利用した電子納税と指定口座からの振替納税、金融機関または所轄税務署などの窓口納税、クレジットカードでの「クレジットカード納税」と4つの納税方法があります。還付金の受け取りは、指定口座への振り込みか、最寄りのゆうちょ銀行各店舗又は郵便局で受け取る方法があります。
株式取引と確定申告の関係とは
株式取引の利益を確定申告するときには、「申告分離課税」と「総合課税」のどちらかを選ぶ必要があります。その違いは、上場株式などの配当などにかかる「配当所得」の扱いの違いであり、配当控除を受けないなら「申告分離課税」、配当控除を受けるなら「総合課税」を選択します。
申告分離課税では固定税率、総合課税では累進税率を採用しているので、総合課税では課税額が大きくなると税率も大きくなります。
確定申告の流れが違う「特定口座」と「一般口座」
もっとも手軽な「特定口座(源泉徴収あり)」では、金融商品取引業者(証券会社)などが手続きを代行して、1年間の取引や利子所得・配当所得をまとめた「特定口座年間取引報告書」を発行するので、基本的に申告は不要です。
これに対して同じ特定口座でも「簡易申告口座」は特定口座年間取引報告書は発行されますが、損益通算がされていないので自分で申告をする必要があります。また、特定口座年間取引報告書が発行されない一般口座では、自力で1年間の取引を計算して確定申告をしなければなりません。
確定申告に欠かせない所得金額と所得税額の計算方法
株式を含む有価証券の譲渡による所得のうち、上場株式などの譲渡に係るものは、原則として課税対象となります。課税されるのは所得税と住民税であり、申告分離課税と総合課税のどちらを選ぶかで課税率は大きく変わります。
また、2013年度(平成25年度)から2037年度(平成49年)まで、東日本大震災からの復興を図るための施策に必要な財源を確保するため、原則として各年分の所得税額の2.1%を「復興特別所得税」として、所得税と併せて申告・納付することとされています。
所得金額と所得金額の計算方法
上場株式などにかかる譲渡所得などの金額の計算は、
として求めます。なお、同じ銘柄を複数回に分けて購入したときの取得は、取得価格の平均額に取引株数をかけた金額で算出します。所得税額とは別に所得金額を知るための計算は、
で求めることができます。
課税負担を軽減する「損益通算」と「繰越控除」
株式取引では、安定して利益をだすことは難しく、一年単位で見ると損失を出して終わることも珍しくありません。取引の結果として発生した損失を有効活用する方法には、利益と損失を通算する「損益通算」と、損益通算をしても残った損失を繰り越す「繰越控除」があります。
損失を所得から控除する「損益通算」
損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一部のものについて、一定の順序にしたがって、他の各種所得の金額から控除することです。株式取引では、確定申告をすることでその年の配当所得などの金額と損益通算をすることができます。
控除しきれない損失を繰り越す「繰越控除」
損益通算しても控除しきれない損失の金額については、翌年から3年間にわたって繰り越すことができる「繰越控除」の対象となります。繰越控除を適用するためには、損益通算をする年まで、毎年確定申告をする必要があります。
「少額投資非課税制度(NISA)」と確定申告の関係
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をすると、これらを売却して得た利益や受け取った配当には所得税と住民税が課税されます。
少額投資非課税制度(NISA)は、所定の口座で購入したこれらの金融商品の利益を、一定の範囲内で非課税とする制度です。
基本となる「一般NISA」
基本となる一般NISAは、2014年1月にスタートしました。非課税投資枠は当初年間100万円・最長5年間の500万円まででしたが、現在では年間の非課税枠が拡大された年間120万円・最長5年間の最大600万円となっています。
積立投資に特化した「つみたてNISA」
つみたてNISAとは、2018年1月からはじまったもっとも新しいNISA制度であり、特に少額での長期・積立・分散投資を支援することを目的としています。非課税投資枠は年間40万円とNISAの3分の1にとどまりますが、非課税機関が最長20年に設定されているので、最大800万円まで利用することができます。
確定申告の手続きを簡略化する「クラウド会計ソフト」
会計ソフトウェアは、会計を記録し処理するソフトウェアであり、各種台帳や試算表から構成される、会計処理に欠かせないソフトとして知られています。
日本ではクラウドコンピューティングを用いた会計ソフトの普及が急速に進み、主なソフトウェアとして「freee(フリー)」と「MFクラウド確定申告」、「やよいのオンライン」シリーズがシェアの多くを占めています。
クラウド会計ソフトfreee(freee株式会社)
freee株式会社のクラウド会計ソフト「freee」は、個人事業主やサラリーマンの確定申告から、企業の経理までを効率化するクラウド会計ソフト。帳簿の作成だけでなく、請求書の発行や資金繰りレポート等で経営状況の把握が簡単にできるようになります。
MFクラウド確定申告(株式会社マネーフォワード)
株式会社マネーフォワードの「MFクラウド確定申告」は、明細データの自動取得や仕訳など、面倒な作業の自動化を進めているのが特徴。確定申告の必要書類の自動作成や、e-Tax送付にも対応した確定申告ソフトです。
やよいのオンラインシリーズ(弥生会計株式会社)
弥生会計株式会社の「やよいのオンライン」シリーズは、白色申告と青色申告に対応したクラウド会計ソフトであり、取引データやスキャンデータ、専用スマホアプリで撮影したデータを自動仕訳するので、入力と仕訳の手間が省ける会計ソフトです。
もちろん、確定申告書の作成はもちろん、登録した取引から、青色申告に必要な帳簿やレポートが自動で集計・作成できるなど、会計ソフトトップシェアの弥生会計ならではの機能が魅力です。
»やよいの白色申告オンライン(弥生会計株式会社)
»やよいの青色申告オンライン(弥生会計株式会社)
まとめ
株式取引などの資産運用をしている人にとって、確定申告は損益通算や繰越控除など、活用したい仕組みを備えた制度です。
面倒な印象が強い確定申告ですが、使いこなせればより大きなリターンが期待できるため、ぜひとも使いこなせるようになっておきましょう。
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