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IPOなら損しないは本当か。でも大損失を被ることがある?

IPOなら損しないは本当か。でも大損失を被ることがある?

横山研太郎
横山研太郎
記事の難易度:★★★☆☆

一般的に、新規公開株(IPO)投資はローリスク・ハイリターンが期待できる投資方法と思われがちですが、実際には必ず儲かるというわけではありません。IPO投資の体験談を詳しく分析すると、大きく儲けた投資は限られています。

イメージと違って、なぜIPO投資で大きな利益を得られないのでしょうか。今回は、IPO投資の仕組みから見直してIPO投資で利益を得られない理由を見てみましょう。

初値が高い株と公募割れの株を比較

2017年4月に上場した二つのIPO銘柄について比較してみましょう。一つは「LIXILビバ(3564)」、もう一つは「アセンテック(3565)」です。

LIXILビバアセンテック
仮条件1,950~2,200円1,840~2,000円
公募価格2,050円2,000円
初値1,947円5,950円
公募価格比95.0%297.5%
結果公募割れ3倍近い初値

LIXILビバは残念ながら公募割れとなってしまいました。公募価格が仮条件の上限で決まっていないので、公募割れする可能性が高い銘柄と判断されていたのでしょう。

そもそも公募価格が仮条件の上限にならないのには理由があるはずです。

IPOするときの売り出し条件に注目

IPOでは会社が新たに株式を発行する「公募株」と、既存の株主が売却する「売り出し株」に分けられ、その株式数に公募価格をかけたものが「資金吸収額」と呼ばれます。実際のLIXILビバとアセンテックの資金吸収額を見てみましょう。

LIXILビバアセンテック
仮条件1,950~2,200円1,840~2,000円
公募価格2,050円2,000円
初値1,947円5,950円
公募価格比95.0%297.5%
結果公募割れ3倍近い初値

このように、LIXILビバが500倍近い資金を吸収しています。もちろん公募価格で買える投資家の数にも差があります。極端な言い方をすればLIXILビバの初値が公募価格の何倍にもなるためには、金額ベースでアセンテックを買いたいと考える投資家の500倍が必要だということです。

日程が重なると資金管理が難しくなる

資金吸収額が大きいとそれだけ買いが集まりにくくなり、初値が上がりにくい傾向にあります。その結果、人気が低迷している銘柄で公募割れが起きてしまうことがあるのです。

IPOに申し込みをすると、購入金額の分だけ資金拘束されて普段の売買に充てることができなくなります。結果として、数日中に複数の会社のIPOが集中しているのであれば、資金吸収額を合計して考えなければならないのです。

IPOの勝率=取引の勝率ではない

証券会社がIPOで高確率をうたうときは「銘柄数ベース」で初値が公募価格を上回った割合を指しますが、投資家個人の目線で考える勝率は、「自分が購入できた銘柄数ベース」での割合です。

初値が高くなりやすい銘柄は当選確率が極めて低く、「自分が購入できた銘柄」は不人気で公募割れしやすい銘柄に集中しているはずです。IPOはしかるべきスクリーニングをしなければ利益を出せる投資方法ではないということを理解しておきましょう。

冷静な判断ができずに保有し続けるのは危険が大きい

さらなる値上がりを期待して、初値で売らないときにも注意が必要です。「初値がとても高くなったから、まだ上がるのではないか?」、「初値が低かったけど、成長が評価されれば上がるはず」と考えて保有する人も少なくありません

IPOに限らず、投資では客観的にその会社を評価する冷静さが必要です。人間は先入観に左右されやすく、手元の情報に判断を左右される傾向があります。これを「アンカリング効果」と言い、正しい判断を阻害する要因となります。

冷静な判断ができないと想定外の損失の原因になる

アンカリング効果に影響された投資判断は、無意味な塩漬けにつながりがちです。IPOを塩漬けにすると、初値天井で株価が下がり2~3割の損失というのはよくある話です。IPO投資に限らず、ときには思いきって利益確定・損切りをすることが欠かせません。

まとめ

「IPOは確実にもうかる」と思い込んで投資することが、IPOで大きな損失を出す原因です。IPO投資で利益を上げるためには、ここまで見てきたような事柄に注意して申し込みするようにしましょう。

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