
魅力的だけどご用心。投資を避けたい「タコ足配当企業」
「タコ足配当」とは、利益が出ていないのに配当金を支払うことです。配当金が定期的に支払われているため、一見すると高い利回りの投資先に見えますが、長い目で見ると危険な投資先であることは珍しくありません。
配当利回りだけに気を取られて投資しないためにも、タコ足配当を出していないかは重要なポイントです。今回は、タコ足配当の影響とタコ足配当企業の見分け方を見てみましょう。
この記事のもくじ
利益以上の配当を出す「タコ足配当」
タコ足配当とは、配当金の原資となる利益を上回る配当を出している状態です。利益を超える部分の配当は会社資産を切り崩して株主返還に充てているため、自分の足を食べるタコになぞらえてこう呼ばれています。
タコ足配当をしている銘柄は利益に対する配当が多くなるため、見かけの配当利回りが高くなり、投資対象として魅力的に見えることもあります。
タコ足配当が続くとどうなるのか
タコ足配当の原資となるのは、それまで積み上げてきた利益剰余金や、資本金に組み入れられなかった資本剰余金です。
タコ足配当は企業資産を株主に移すことでもあり、長期間続くと事業資金の減少につながり、貸借対照表(バランスシート)の財務状況はタコ足配当を続けるほど悪化します。
企業の成長が止まるとタコ足配当がはじまる
現在はタコ足配当を出している企業でも、成長過程では利益の範囲内で配当を支払っていたことがほとんど。しかし、業績悪化により株価が低迷すると、株主からの突き上げを恐れる経営陣が株価の下支え策の一環として、経営へのダメージを無視してタコ足配当に踏みきるのです。
タコ足配当が終わったときの影響は大きい
タコ足配当を導入すると、企業資産を使い果たした時点で配当そのものをやめなければなりません。高配当銘柄から無配銘柄への転落は、通常の業績悪化よりも強烈なネガティブインパクトであり、株価への悪影響がさらに大きくなるリスクもあります。
タコ足配当は企業の成長力も失わせる
タコ足配当が続くほど企業としての成長余力が失われるリスクも大きくなります。事業の成長には投資が必要ですが、その源である企業資産をタコ足配当で流出させることは、自ら成長余力を毀損させているのです。
成熟業種であれば投資対象も限られているので、高配当による株主還元にも一定の正当性がありますが、新技術の登場による技術革新や新規参入企業による競争の誘発など、変化に備えた資金の用意が求められます。こうしたときに自己資金の余裕がなければ、不利な条件での資金調達が余儀なくされるのです。
配当性向を見ればタコ足配当か判断できる
ある銘柄がタコ足配当かそうでないかを確認するためには、ある年度の税引き後利益に対する配当金(支払総額)の割合である配当性向を確認しましょう。
配当性向は1株あたり税引き後利益を配当金で割ることで求められて、配当性向が100%を超える企業への投資は慎重になるべきでしょう。
まとめ
タコ足配当をするということは、その企業が「今は将来への投資は後回しにしています」というメッセージを発していると言えます。
目先の株価維持のためのタコ足配当をに走る企業は、長い目で見ると厳しい判断をする方がいいのかもしれません。
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