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魅力的だけどご用心。タコ足配当企業への投資は避けよう

魅力的だけどご用心。タコ足配当企業への投資は避けよう

株の知識レベル:★★★★☆

「タコ足配当」とは、利益が出ていないのに配当金を支払うことです。配当金が定期的に支払われているため、一見すると高い利回りの投資先に見えますが、長い目で見ると危険な投資先である場合も多いのです。配当利回りの魅力だけに気を取られて投資してしまわないよう、タコ足配当の影響とタコ足配当企業の見分け方を理解しておきましょう。

利益以上の配当を出すのが「タコ足配当」

「タコ足配当」とは、配当金の原資となる利益よりも多額の配当を出すことです。利益を超える部分の配当は会社の資産を株主に返還しているため、自分の足を食べることがあるタコに例えて、タコ足配当と呼ばれています。
タコ足配当をしている場合は、利益のわりに配当が多いため、配当利回りが高い場合があります。そのため、高い配当利回りが魅力的に見える傾向にあるのです。

タコ足配当をするとどうなってしまうのか

タコ足配当の原資となるのは、企業がこれまでに積み上げてきた「利益剰余金」や、資本金に組み入れられなかった部分である「資本剰余金」です。配当金は現金で支払うことになるため、現預金や資産を売却した資金を元にして支払われます。企業内の資産が社外の株主のもとに移されるため、事業資金が減少することになります。その結果、貸借対照表の財務状況はタコ足配当を続けるほど悪化します。

どうしてタコ足配当をする企業があるのか

どうして事業資金を減らしてまで、タコ足配当する企業があるのでしょうか。それは、株価が下がってしまうのを防ぎたいと考えているからです。現在はタコ足配当をしている企業でも、順調に成長しているときには利益の範囲内で配当金を支払っていたはずです。しかし、業績が悪くなってくると、利益とともに株価も低迷してしまいます。上場企業の経営者は、株価が下がってしまうと株主から追及を受けて解任されることもあるため、株価を下支えしたいと考えます。株価が下がらなければ、業績悪化について厳しい追及をしない株主もいるためです。その結果、株価を下げる原因となる「配当金の引き下げ」を決断できず、タコ足配当をして株価の下支えをしようとするのです。

タコ足配当ができなくなった時はインパクトが大きい

株価対策としてタコ足配当を行っていても、現預金や資産に余剰がなくなったり、剰余金が減ったりすると、配当ができなくなります。そうなると、配当を止める以外の方法はありません。いきなり無配に転落してしまうと、株価へのインパクトも大きくなります。これまでのタコ足配当で、企業の財務状況が悪化しているところに無配というネガティブなニュースが重なってしまうためです。

タコ足配当をしていると、成長する力が失われていく

タコ足配当をしていると、成長する力が失われていく

タコ足配当をしている企業の問題点には、もうひとつあります。それは、タコ足配当をすればするほど、成長するための余力が失われてしまうことです。
どんな企業でも、事業を成長させるためには、多額の投資が必要です。その資金となる会社の資産をタコ足配当で減らしてしまうのは、いざという時に使える資金を自ら減らしていることになるため、中長期的には成長する力が弱い企業だと言わざるを得ません。
確かに、食料品やエネルギーなどのように業界自体が安定しており、成熟しているのであれば、投資するものに限界があるため、配当金をたくさん支払っても問題ないでしょう。
とはいっても、新しい技術が登場して、新規参入企業や研究開発に力を入れている企業と競争することになると、一気に不利な立場に追いやられる可能性は無視できません。また、前述のように、タコ足配当によって財務体質が弱くなってしまっていたら、資金調達しようと思っても、不利な条件(金利が高い・増資するときの株価が安いなど)での調達を強いられる可能性もあります。

タコ足配当かどうかは配当性向を見ればわかる

タコ足配当をしている企業かどうかを判断するためには、「配当性向」を確認しましょう。配当性向は、ある年度の税引き後利益に対する配当金(支払総額)の割合で、「1株あたり税引き後利益÷配当金」で簡単に求めることができます。配当性向が100%を超える企業への投資は、慎重になる必要があります。

まとめ

タコ足配当自体は問題のある行為ではありませんが、それによって起きる、財務上の問題と将来の成長力といった副作用を理解しておきましょう。ある意味では、タコ足配当を決めるということは、その企業の経営者が「今は将来への投資は後回しにしています」というメッセージを発していると言えます。
業績があまりよくないのに、タコ足配当で成長するための資金を準備しようとしない企業は、長い目で見ると厳しい判断をする方がいいのかもしれません。

大阪でファイナンシャルプランナーとして活動。
資産運用に関する記事やビジネス関連の記事を多数執筆。
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