
新規公開株(IPO)で重要な役割を果たす「主幹事証券会社」
新規株式公開(IPO)では、大きな値上がり益を期待できることから個人投資家の注目を集めるイベントです。
IPO通常の売買とは異なる仕組みであり、耳慣れない言葉もたくさん出てきます。その1つが「主幹事証券会社」です。今回は、IPOの成功率を上げるために欠かせない主幹事証券がどのようなものかを見てみましょう。
この記事のもくじ
IPOを取り仕切る「主幹事証券会社」
幹事証券会社とは、新規株式公開(IPO)の準備や審査対応、アドバイスなどをする証券会社です。証券取引所の審査を通過して上場承認が下りると、売出しの引き受けや公募価格の仮条件を決定するなど、IPOで重要な役割を果たしています。
複数の幹事証券会社があると、そのうちの1社が代表として主幹事証券会社を務め、残る証券会社が「幹事証券会社」となります。幹事証券会社以外でIPO銘柄の売り出しを引き受ける証券会社は「引受証券会社」と言います。引受証券会社は幹事証券会社と一緒になってIPO銘柄を引き受け、幅広い投資家に対して売り出します。
幹事証券会社は限られている
幹事証券会社は、IPOにあたって投資家のリスクに関わるさまざまな業務を担うため、どの証券会社でも務められるわけではありません。
金融商品取引法の施行令第15条の7では、主幹事証券会社を務められるのは30億円以上の資本金、引受証券会社になるには5億円以上の資本金の証券会社と定めています。そのため、幹事証券会社は大手の証券会社がそのほとんどを占めています。
IPOは主幹事証券会社からの申し込みがセオリー
2017年3月上場の力の源ホールディングス(3561)を例に見ると、公募株式数100万株のうち、引受証券会社のSMBC日興証券など7社が1万~7万株の範囲で引き受けたのに対して、主幹事を務めた野村證券は82万株を引き受けました。
人気が集中しやすいIPO銘柄は好きなだけ購入できるわけではなく、抽選方式が基本となるので、IPO銘柄を手に入れるためには当選確率を上げることが必要です。
割り当て株数の少ない株数の証券会社から申し込むよりも割り当て株数の多い証券会社で申し込みをするほうが当たりやすいため、もっとも当選確率が高いのは、主幹事証券会社から公募に申し込むときです。IPOでは主幹事を務める証券会社から申し込むのがセオリーと覚えておきましょう。
主幹事を務めることが多い証券会社5社
主幹事を担当することが多い証券会社として、対面証券の野村證券・大和証券・みずほ証券・SMBC日興証券と、ネット証券のSBI証券の5社が挙げられます。この5社で9割程度のシェアを占めているので、IPOを念頭に置くならこの5社の証券口座を検討することになるでしょう。
ただし、IPOの売り出し銘柄の配分方法は、証券会社によって異なります。すべて平等に抽選で配分されるわけではなく、対面証券では「お得意さま」へ傾斜配分することもあるようです。その点、SBI証券は割合こそ公表されていないものの、売り出し株式の半分程度をネットでの抽選申込みに割り当てられているのです。さらに、当選確率アップできるサービスもあるため、IPO当選には欠かせない証券会社です。
複数口座から申し込むなら余力と相談
IPO当選確率を上げるためには、複数の証券口座から申し込むというテクニックもあります。しかし、購入に30万円必要なIPO銘柄を5社から申し込むためには、150万円分の余力が必要になります。
余力が無ければほとんどの証券会社では抽選対象から外されてしまうので、資金が足りなければ、主幹事証券会社での申し込みに絞りこむようにしましょう。
主幹事によって上場企業の規模に差が出る?
主幹事証券会社にる銘柄の選び方はそこまで大きな差はありません。特定の証券会社が主幹事だから初値が公募価格を下回りやすい(公募割れしやすい)ということはないでしょう。
過去のIPOでは、投資家より証券会社や既存株主の利益が追求されたのでは?と疑われたケースもありますが、それは証券会社というよりも担当者による問題だと考えられます。
ただし、最大手の野村證券は規模が大きい会社の上場案件を引き受けるケースが多く見られます。規模が大きいと、その分だけ売り出し株数も大きくなり、初値が何倍にもなるようなケースは極めて限られることとなります。
まとめ
主幹事証券会社は、最も多くIPOの割り当てを持つ証券会社であり、主幹事証券会社からIPOの申し込みをすることで、IPOの当選確率を少しでも上げることができるのです。
主幹事証券会社を務める証券会社は対面証券が中心となるため、IPO投資を真剣に検討しているなら主幹事証券会社の実績が多い証券会社の証券口座は開設するのがおすすめです。
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