
損失を抑えるサヤ取りのメリット・デメリット
投資初心者にも信用取引の「空売り」と「信用買い」は比較的知られている用語ですが、現物取引の「サヤ取り」は耳なじみがないかもしれません。
今回は、サヤ取りの手順やメリット・デメリットについて見てみましょう。
この記事のもくじ
サヤ取りとはどういう取引?
サヤ取りとは、同じ業種の似たような値動きをする銘柄をセットで取引することで、損失を抑えることを狙う取引方法です。
具体的な取引手順を見ると、(1)2つの銘柄の株価に差(サヤ)が出たタイミングで値上がりしている銘柄を空売り(2)同時に値下がりしているもう1つの銘柄を信用買い(3)サヤが縮小したタイミングで反対売買で決済する ことで利益を確定します。
サヤ取りで取引する銘柄の選びかた
サヤ取りの対象となる銘柄を人力で探すのは簡単ではないので、専用のパソコンソフトを活用します。ソフトによって多少の違いはあるものの、ペアにする銘柄や取引や反対売買のタイミングまでアドバイスしてくれるので、サヤ取りの成功率を大きく引き上げてくれます。
サヤ取りでは何ができる?
サヤ取りの最大のメリットは「リスクヘッジ」です。どのようにリスクヘッジができるのか、簡単な例で順を追って見ていきましょう。
- 4月1日…銘柄A、Bともに株価は800円
- 4月5日…銘柄Aの株価が1,000円、銘柄Bの株価が700円に変動(サヤが発生)。同日、Aを空売り、Bを信用買い
- 4月30日…銘柄A、Bともに株価が800円に戻る(サヤの縮小)。同日、反対売買
この場合の損益は、
- 銘柄A…1,000円で空売り、その後800円で買い→200円の利益
- 銘柄B…700円で空売り、その後800円で買い戻し→100円の損失
となります。
銘柄Bの取引だけならば100円の損失でしたが、銘柄Aをサヤ取りすることで損失を相殺して、100円の利益が出せるのです。
リスクヘッジだけではないサヤ取りのメリット
信用買い・空売りどちらかのみの取引(片張り)では、取引機会を逃さないように相場に張り付く必要がありますが、サヤ取りはサヤが縮小した時点で反対売買をすればよいので、値動きをひんぱんに気にする必要がありません。
サヤ取りでは一日一回程度の頻度で株価をチェックして、サヤが縮小していないか確認すればいいので、忙しくて信用取引を諦めた人にもできる投資方法です。
サヤ取りのデメリット
リスク管理では魅力的なサヤ取りですが、サヤ取り特有のデメリットもいくつかあります。その中でも、損益を相殺して全体の利益を狙う取引であることから、短期間で大きな利益を狙うのが難しいことです。
また、制度信用取引では6か月以内の反対売買が必要なので、取引に一定の制限があるのもデメリットです。値動きによっては損失を出す可能性もゼロではありません。
費用面では不利になる
また、サヤ取りは専用のパソコンソフトなどの費用負担が大きいのもデメリットです。こうした費用負担はかなり大きいので、取引で期待できる利益を上回らないように注意が必要です。
まとめ
大きな利益は期待できないサヤ取りですが、損失を抑えるのに役立つ取引方法であり、比較的余裕をもって取引できるのが魅力です。
取引のリスクヘッジを考えるのであれば、取引にサヤ取りを取り入れることも検討に値するといえるでしょう。
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