
「ふるさと納税は節税に有利」はどこまで本当か?
実質2,000円の負担で全国各地の名産品などを手に入れられることから、節税方法として定着した「ふるさと納税」です。ただし、節税のためには確定申告が必要なことや本当に2,000円の負担で済んでいるのかなど、注意しなければならない点もあります。
今回は、ふるさと納税をするときに本当に節税の役に立つのかをチェックするために観ておきたいポイントを見てましょう。
この記事のもくじ
ふるさと納税はどんな制度なのか?
ふるさと納税は所得控除の一種であり、居住自治体とは異なる自治体に寄付することで所得控除の一種である「寄付金控除」の対象となり、その分居住自治体への納税額を節税できる制度です。
最も少なくなるケースでは、実質的な負担額が2,000円まで下がるだけではなく、寄付金額に応じた返礼品を設定している自治体を寄付先にすれば、事実上2,000円の出費で地方の名産品などをもらうことができます。
ふるさと納税の完結には確定申告が必要
ふるさと納税では、希望する自治体に寄付金を納めることで「寄付金受領証明書」が発行されます。翌年の確定申告でこの寄付金受領証明書を添付することで所得税・住民税控除の対象となるのです。
確定申告は翌年3月15日までに手続きをしなければなりませんが、所得税の還付はその1~2か月後、住民税控除は翌年6月から手続きがはじまります。なお、ふるさと納税の納付先が5自治体を下回れば、ワンストップ特例により確定申告不要となります。
ふるさと納税の注意点:控除上限額がある
ふるさと納税では収入や家族構成によって寄付金の控除限度額も変動します。上限額を超えてふるさと納税を利用しても、上限額を超えた分は寄付をするだけになってしまうのです。
また、「上限額があるなら、めいっぱい使わない損だ」と考えるのも失敗の原因。前述の通り、ふるさと納税では寄付金額を前納する必要があるため、寄付のし過ぎで家計が苦しくなっては本末転倒です。
ふるさと納税の注意点:人気商品はなかなか手に入らない
ふるさと納税の返礼品には、限定数が決まっているものも多く、人気商品はすぐに申し込みが締め切られてしまいます。そのため、必ずしも欲しいものがみつかるわけではありません。ふるさと納税をした方がお得だからと、必要ないものをもらおうとするのは本末転倒です。
ふるさと納税の注意点:想定外の負担になることもある
ふるさと納税で注意したいのが、実質2,000円の負担に収まらないケースです。この判断には、所得税の還付や住民税の控除の金額が決まるのかを知っておく必要があります。
所得税控除のあと、「(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率」が控除されます。仮に、20,000円をふるさと納税して所得税率が10%なら、所得税額で1,800円だけ還付される計算になります。実質負担が2,000円になるには、残り16,200円分を住民税から控除されなければなりません。ふるさと納税で税負担が減るのは、その大半が住民税からです。所得税や住民税をあまり支払っていなければ、ふるさと納税で税金を減らすことができず、実質的な負担額が2,000円を超える可能性があるのです。
ふるさと納税の注意点:住宅ローン控除とバッティングする
ふるさと納税の実質負担額が2,000円を超えるのは、住宅ローン控除の対象世帯によく見られます。住宅ローン控除をうけるときには、住宅ローン残高が1,500万円あれば、所得税と住民税で総額15万円までの税額控除を受けることができます。
配偶者控除や扶養控除・生命保険料控除などの課税状況で所得税額は変わりますが、住宅ローン控除対象で所得税非課税となると、ふるさと納税での所得税還付は受けられません。また、住宅ローン控除が所得税のみで控除しきれなければ住民税からも控除されますが、住民税の控除がしきれない可能性もあります。
まとめ
ふるさと納税は、所得税と住民税の関係を把握していないと、節税ではなく実際上は損をするリスクもあります。
自分できっちり計算するのは難しいかもしれませんが、ふるさと納税で節税できるかどうかをシミュレーションできるサイトを利用するなどして、事前に確認することをおすすめします。
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