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鉱業(2016年12月)

東証33業種から見る有望銘柄 ~鉱業~

東京証券取引所では上場した各企業を、基本的に最も売上高が大きい事業を基準に33業種に分類している。その中でも東証1部に上場している銘柄を業種ごとに算出した指数が「東証業種別株価指数」で、主に時価総額の大きい銘柄に左右されやすい。ここから業種ごとの動向を読み取れるため、株式市場全体を見るにあたっても重要な指数と言えよう。今回は「鉱業」に焦点を当てていきたい。

「鉱業」とは?

「鉱業」に分類される銘柄は全部で7銘柄、すべてが東証1部銘柄となっている。非金属、貴金属、石炭などの農業や工場、化学合成によって生み出せない地下資源を採掘し資源として生産する産業で、ここでは広義で石油や天然ガスなどの再生不可能資源も含まれる。

足元の株価指数動向

「鉱業」指数週足チャート(期間1年)
株価指数は昨年6月に444ポイントの戻り高値を付けて以降は下降基調に転じ、今年7月には215ポイントまでの下落を演じた。これは「鉱業」の時価総額トップが国際石油開発帝石(1605)であることからも“原油価格”の動向が大きくかかわっている。原油安は多くの企業が水道光熱費や原材料安効果といった恩恵を受けることから、日本経済にとってはプラスに働くとの見方が多いが、その原料を供給する側である「鉱業」にとっては業績縮小の要因となってしまう。現に指数の急落が見られた7月は、長らく続いていた原油価格の低迷に加え、英国のEU(欧州連合)離脱による影響で世界的にリスク資産を売る流れが活発化、原油先物価格も急落したといったことが背景にあった。最近では原油市況も上昇してきたほか、足元では中国における炭鉱生産能力の削減などにより石炭価格も急上昇ことで、株価指数は270ポイント程度まで回復してきている。

世界で取り組むエネルギー開発支援

原油市況の低迷が続いていたこともあり、2016年は世界規模で資源エネルギー情勢を見直す動きが活発化した。5月に開催されたG7サミット(主要7カ国首脳会議)では、エネルギーの安定供給に加え「官民による継続的な上流投資が重要」とし、7カ国が主導的な役割を担って民間企業の開発を後押しすることで一致。これにより、日本政府はエネルギー基本計画で石油・天然ガスの自主開発比率を15年3月末の24・7%から30年までに40%以上へ引き上げる目標を掲げており、このほか経産省では探鉱や資産買収を継続するために「中核的な上流開発企業の育成に取り組む」との方針を打ち出している。6月に中国で開催されたG20エネルギー大臣会合でも新興国における石炭を含む高効率火力発電の重要性について取り上げられほか、8月末から9月初頭にかけては日本の資源エネルギー問題にとっても重要な関係を持ちうる外交イベントが目白押しとなっていた。

時価総額ランキング上位3位をピックアップ

◎国際帝石(1605)

原油・ガス開発生産の国内最大手で、政府が筆頭株主として約19%を保有する国策会社でもある。そのため各国政府を通じた海外事業に強く、現在は4月にインドネシア政府当局より受領したアバディLNGプロジェクトの最適開発について政府当局と協議を進めているほか、10月からはカザフスタン共和国北カスピ海沖合鉱区内のカシャガン油田からの原油出荷を開始した。10月末には経済産業省資源エネルギー庁より受託した「平成26―28年度国内石油天然ガス基礎調査事業(海上基礎試錐)」の島根県および山口県沖合における掘削調査を終え、新たなガス層の存在を確認するなど、国内資源開発企業の中でもその存在感は圧倒的だ。

◎石油資源開発(1662)

主に国内の天然ガス田の開発が基盤で、近年はカナダやイラク、中東などの海外重点地域での取り組みを強化中。カナダオイルサンドの半キングストーン拡張開発については2017年前半より生産開始を予定している。国内でも福島県・相馬港における天然ガス火力発電事業の事業化を決定するとともに、当事業へ新たなパートナーとして参画するなど事業強化に取り組むが、採算悪化や為替差損により業績は今期から営業赤字への転落を見通す。今3月期は売上高1980億円(前期比17・6%減)、営業損益5億4900万円の赤字(前期は46億5200万円の黒字)を計画する。

◎K&Oエナジーグループ(1663)

水溶性天然ガス開発では国内最大手で、ガス事業とヨード事業の2本柱で成り立っている。世界的にヨードは天然ガス採取後のかん水から抽出される貴重な資源とされており、日本は世界生産量の30%超を占めているとのこと。その日本におけるヨードの生産量の約80%は同社の地盤である千葉県で、同社ではこれを主に欧米などの海外に輸出している。業績は減収減益が続くが、経済産業省の「総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会報告書」では、同社グループの操業エリアである南関東ガス田をはじめ水溶性天然ガスの開発推進が掲げられている。

おわりに

産油国の国内景気の後退が加速するなど、世界の資源エネルギー情勢にはまだまだ不安が募るが、各資源価格は底打ちし、回復の兆しが見られつつある。各社の業績に反映されるまでにはもう少し時間がかかりそうだが、世界がテコ入れを急ぐ分野でもあることから、この先着実に改善が進んでいくと想定される。

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