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建設業・東証33業種(2016年12月)

東証33業種から見る有望銘柄 ~建設業~

東京証券取引所では上場した各企業を、基本的に最も売上高が大きい事業を基準に33業種に分類している。その中でも東証1部に上場している銘柄を業種ごとに算出した指数が「東証業種別株価指数」で、主に時価総額の大きい銘柄に左右されやすい。ここから業種ごとの動向を読み取れるため、株式市場全体を見るにあたっても重要な指数と言えよう。今回は「建設業」に焦点を当てていきたい。

「建設業」とは?

「建設業」に分類される銘柄は全部で180銘柄、そのうち東証1部は98銘柄。主に土木一式工事、建築一式工事など、建築物・建設物の工事完成までを請け負う業種で、いわゆる“ゼネコン株”が多く属している。そのほか板金、塗装、電気通信工事なども含まれている。

足元の株価指数動向

「建設業」指数週足チャート(期間1年)

「建設業」の時価総額トップは大和ハウス工業(1925)。株価指数は国土強靭(きょうじん)化政策の成立により2013年頃から右肩上がりの推移が続く。昨年8月は大林組(1802)や清水建設(1803)が“JPX400”に新規採用されたことで注目を集め、1149ポイントをマークした。ちなみに“JPX400”とはグローバルな投資基準で様々な要件を満たした「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される株価指数のことで、ここでは「過去3期いずれかの期で債務超過」「過去3期すべての期で営業赤字」「過去3期すべての期で最終赤字」に該当する銘柄は選定しない、といった基準も含まれる。そのため、大手ゼネコン2銘柄がこの基準をクリアし“JPX400”に採用されたということは、業界全体の事業環境好転、財務体質の改善が進んでいるといったことの裏付けとも言えるのだ。ピークに達して以降は国内景気の低迷からおよそ960―1080ポイントの往来に甘んじているが、足元の好実態や業界の先行きの明るさを考えれば、評価不足状態ともみられる。

東京五輪に大阪万博、防災意識の高まりも好材料

この先の建設業界への期待が最も大きいのはやはり2020年開催の東京五輪特需。最近では経費削減に焦点を当てた競技会場の見直し案が進められているが、9月末に都政改革本部の調査チームが提出した報告書によると、新国立競技場整備費1645億円、都の施設整備費2241億円、仮設整備費2800億円、選手村整備費954億円などが試算されている。施設に限らず、同時に都市再開発や震災・防災対策としてのインフラ補強なども進められていくこととなるため、建設株の需要は大規模なものとなるだろう。さらに東京五輪後の景気浮揚策として挙げられている、25年の国際博覧会(万博)の大阪誘致も好材料だ。こうしたビッグイベントはもちろんのこと、熊本地震の復興関連でも注目を集めるほか、相次ぐ震災からは今後、施設の老朽化対策などの減災需要も本格化してくるとみられる。

時価総額ランキング上位3位をピックアップ

◎大和ハウス工業(1925)

住宅大手で商業建築やホテルなども手掛ける。東京五輪に向けては商業施設の複合開発や再開発事業、インバウンド需要が見込まれるエリアにおけるサービスアパートメントやホテル開発等の推進による恩恵享受が想定される。足元ではコア事業の拡大や積極的な不動産開発投資の奏功により当初計画を上回る業績推移となっており、最高益更新を見通していた通期業績予想はさらに売上高3兆4600億円(前期比8・4%増)、営業利益2800億円(同15・2%増)へと引き上げられた。なお、同社は2020年東京五輪・パラリンピック大会の施設建設&住宅開発分野におけるオフィシャルパートナーでもある。

◎大東建託(1878)

主に賃貸住宅の建設や管理を中心に事業を展開。東京五輪による直接的な恩恵享受はないとみられるが、五輪効果で景気が改善されれば不動産投資信託が活性化し、賃貸市場全体にも好波及が及ぶとの見方もある。また、「DK―フロート工法」などの同社独自の新基礎工法は、この先震災・防災対策の側面からも注目を集めてきそうだ。業績推移も好調で、これまでに8期連続増収増益を達成しているほか、前期は売上・各段階利益で過去最高を更新し、営業利益・経常利益も上場来初となる1000億円を突破している。今期は売上高1兆4980億円(前期比6・1%増)、営業利益1180億円(同16・8%増)を見通す。

◎積水ハウス(1928)

昨年11月に大阪の老舗ゼネコンである鴻池組と業務提携し、今年1月には持ち分法適用会社としている。これにより鴻池組が強みとするホテルや商業施設建設ノウハウが加わり事業領域の拡大が可能に。6月にはシンガポールのフレザーズ社と共同で、インバウンド需要や東京五輪に向けて増加が見込まれる上質なホテルへのニーズに対応するため、東京・赤坂にて高級サービスアパートメント事業を開始することを発表している。2017年着工、2020年春開業を予定する。業績面も好調で、前期に引き続き今期も最高益更新を見通している。

おわりに

近年は積水ハウスのように大手ハウスメーカーがゼネコン業者との資本提携や業務提携を結ぶケースが目立ち始めている。開発事業との相乗効果が期待できるといったメリットから、今後も東京五輪に向けて新たな動きが見られるかもしれない。投資の面では、円高に業績が左右されにくい業種であることもポイントだ。

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