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ゴム製品(2017年3月)

東京証券取引所では上場した各企業を、基本的に最も売上高が大きい事業を基準に33業種に分類している。その中でも東証1部に上場している銘柄を業種ごとに算出した指数が「東証業種別株価指数」で、主に時価総額の大きい銘柄に左右されやすい。ここから業種ごとの動向を読み取れるため、株式市場全体を見るにあたっても重要な指数と言えよう。今回は「ゴム製品」に焦点を当てる。

「ゴム製品」とは

「ゴム製品」に分類される銘柄は全部で19銘柄、そのうち東証1部は11銘柄。天然ゴム輸入や合成ゴム生産、またそれらを加工して販売する産業で、日本では自動車用タイヤとチューブなどの工業向けがほとんどを占める。そのほか応用製品として免震・防振ゴムやスポーツ用品などを取り扱う企業も含まれる。

時価総額トップはブリヂストン

ゴム製品の時価総額トップはブリヂストン(5108)。株価指数は為替による輸出環境の悪化や鉱物価格の低迷に伴う鉱山でのタイヤ需要の減少、海外における競争価格の激化懸念から、2015年6月をピークに下落傾向が続いていたが、昨年7月に底打ちを確認。現在は下落前水準の3500ポイントまでの回復を見せている。直近ではブリヂストンの自社株買いと消却、横浜ゴム(5101)の好決算による急伸がセクターを牽引、2月に業種別上昇率トップに躍り出た。

主力は自動車タイヤ

時価総額ランキング上位5位の内4銘柄がタイヤを主力とするため、積雪が観測される時期にはスノータイヤの販売増加期待から相場が活況となる傾向がある。今年1月には東洋ゴム工業(5105)がスノータイヤ関連としてゴム製品トップの上昇率(+5.1%)で引けた経緯もあり、シーズンに向けた気象庁予報のチェックなども必要となってくるだろう。過去には北米向けを中心とした世界的な自動車生産台数の減少により下落を続けていた業界規模も、高騰を続けていた天然ゴムなどの原材料価格急落などが寄与し、近年は再び増加に転じていることがうかがわれる。

ただ、北米エリアの需要回復が見られてきている一方で、一部新興国における景気停滞による販売数量の減少などはいまだ継続中と、まだ完全回復とまでは至らないようだ。国内については日本ゴム工業会が2016年の合成ゴム品種別出荷実績をまとめているが、輸入出荷が微増で推移したものの、国内ゴム工業向けのタイヤ出荷の落ち込みが響いているもよう。出荷量は前年同期比0.2%減と、15年に続き前年実績を下回ったという。こうした背景もあってか、最近では耐震・免震などの老朽化対策、航空・宇宙部品、医療向けといった成長産業に向けた展開を行う銘柄に物色が向かう動きも観測される。

時価総額ランキング上位3位をピックアップ

ブリヂストン(5108)

タイヤ世界3強の一角で、国内では首位。海外売上比率の高いグローバル企業として強力な販売網を持つ。好財務内容にも定評があり、豊富な手持ち資金で積極的にM&A(企業合併・買収)を実施している姿も印象的。予想1株利益は今期357円(前期339円)、年間配当金予想も140円と高水準ながら、指標面ではPER13倍、PBR(株価純資産倍率)1.5倍程に留まる。最近の注目トピックスと言えば、油圧駆動のハイパワー人工筋肉の開発か。内閣府の革新的研究開発推進プログラムの一環として取り組まれたもので、極限の災害現場で活躍可能なタフなロボット実現のカギのひとつとなる。将来的には小型軽量で高出力の産業用・家庭用ロボットへの展開も期待されている。

住友ゴム工業(5110)

「ダンロップ」「ファルケン」などのブランドで知られるタイヤ国内2位。米グッドイヤーとの提携解消により減益が続くが、国内市販用タイヤは低燃費タイヤや氷上性能の高い製品の推進で出荷が好調。海外は円高影響が大きいものの、北米・欧州、中近東、アフリカ、中南米と各国で市販用・新車用ともに販売を伸ばしている。今年1月には英国大手のタイヤ販売会社を買収。グローバル展開拡大にあたっての新たな有力パートナーを手に入れた。今後成長が期待されるのが制振事業。熊本地震の際の顧客からの高い評価もあり、住宅用制振ユニット「ミライエ」の販売が好調。前12月期においては年間目標の6000棟の販売を達成している。

横浜ゴム(5101)

タイヤの老舗大手で、今年10月に操業100周年を迎える。直近の石油化学系原材料の高騰を受け、国内市販用タイヤのメーカー出荷価格を4月から値上げ予定。海外市販用タイヤは北米・欧州の新車用タイヤが好調なほか、小型車向けの減税により自動車販売の回復が見られている中国も好調な推移に。大需要地・得意市場でのプレゼンス向上のため、国内外でタイヤ生産拠点を増強中。直近ではノーパンクタイヤ専業メーカーで、日系の産業車両用メーカーに強い愛知工業タイヤを買収している。MB事業では航空部品などを展開するが、耐圧性を高めた水素ステーション用高圧ホースなどの新規分野も今後拡大していく予定。

おわりに

時価総額ランキング上位3社が国内タイヤトップ3となるわけだが、共通して言えるのは、3社とも海外で稼ぐ企業として位置付けられているという点だろう。これを前提に、今後はM&A(企業合併・買収)による規模拡大や新事業領域の拡大により、国内でも稼ぐ体制をいかに構築できるかが焦点となってくるだろう。

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